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防災訓練を企画・実施する防災事業と、鳥獣被害を防ぐ獣害対策事業を展開

実践的な防災訓練や獣害対策を提供するプロ

吉﨑祐治

吉﨑祐治 よしざきゆうじ
吉﨑祐治 よしざきゆうじ

#chapter1

保護猫カフェを運営する傍ら、空港消防職員・猟師の経験を生かし実践的な施策を提案

 大分県中津市で、保護猫と触れ合える「猫cafe C・F・D & cafe C・P・S」を運営する、マネージャーの吉﨑祐治さん。元空港消防職員であり、帰る家がない猫たちをレスキューする傍ら、2022年から二つの事業に力を入れています。

 その一つが防災事業。大分県防災アドバイザー兼大分県地域防災アドバイザーを務める吉﨑さんは、県から依頼を受け、教育機関や福祉施設における防災訓練を無償で企画・実施しています。

 「近年、全国で災害が頻発しており、防災訓練の実施、防災グッズの常備を国が強く推奨していますが、どんな訓練をし、何を備蓄しておくべきか分からない方は大勢います。私は空港消防職員の経験を生かし、現場に即したオリジナルの教科書を作成して講義を行う他、負傷者の応急救護などを組み込んだ実践的な訓練を行っています」

 第一種狩猟免許を持ち、猟師としても活動する吉﨑さんが、もう一つ注力しているのが獣害対策です。畑の作物を食い荒らしたり、家畜を襲ったり、庭を掘り起こす有害鳥獣を抑制するためのノウハウを地元の農家に伝えています。

 「農家さんの多くは高齢者で、対処が追い付かず、泣き寝入りして農業をやめる人も珍しくありません。動物が嫌がる臭いや光、音を使い、居心地の悪い状況を作りさえすれば、被害は軽減できます。最初は見回る必要があるものの、徐々に頻度を減らしていくことで効果を維持していけます」

 最近ではゴルフ場の経営者から声を掛けられることも。あるゴルフ場は、イノシシによる芝生の掘り返しに悩まされていましたが、吉﨑さんの施策により被害がなくなったと言います。

#chapter2

地元を守る消防団として活動し、救える命を救うために空港消防職員の道へ

 中津市で生まれ育った吉﨑さん。仕事に就きながら、21歳のときに地域の有志で組織される消防団に入団します。背景には、父親の金治さんから受け継いだ「地元の人間が助け合って地元を守らねばならない」という教えがありました。

 「父は長年消防団に所属しており、サイレンが鳴ったら夜中だろうが食事中だろうがすぐに駆け付けるような人でした。日頃はいい加減な面もある父でしたが、とても尊敬できる人です」

 吉﨑さんは26歳のとき、空港消防職員になる決断をします。きっかけは一件の火災事故でした。呼び出しを受け最初に現場に到着しますが、侵入の権利を持たない消防団の立場ゆえ、消火活動に専念するも、鎮火した建物から逃げ遅れた小学1年生の男の子が見つかったのです。

 「救える命を救えるようになりたい」と、年齢制限のない空港消防職員の道へ。同時に、ボランティアで防災訓練の指導にも携わるようになります。

 2018年には、北九州空港に勤務していたときに知り合った元空港消防所長と保護猫カフェもスタート。地域の人たちに防火や防犯の意識を高めてもらう講習なども開くようになり、自分が本当にやりたいことに集中するため、2022年に空港消防職員を引退しました。

 「空港消防職員ですから、原則副業は禁止です。私は保護猫カフェも防災訓練もボランティアでしていましたが、報酬を受け取っていると誤解されることが多々ありました。取り組みを続けていく上で限界を感じたことから、公職を辞することにしたのです」

吉﨑祐治 よしざきゆうじ

#chapter3

避難訓練によって想定外を想定内に。ペットを守る方法についても周知

 「避難訓練を面倒くさい、つまらないと考える人もいるかもしれません。しかしながら、想定外の事態が起きたとき、人間は何をしてよいか分からなくなるものです。訓練によって想定外が想定内になり、自分や家族、仲間の命を守れることがあると知ってほしいのです」

 非常時に生き残るには、日頃からの心構えが肝要。実際に地震や火事などが発生した際、どのように行動すべきか。知識を身に付けるとともに、一連の動きをシミュレーションし、実地演習を通じて経験しておくことが重要だと説明します。

 多くの人が災害を身近に感じ、適切に備えてもらうため、「防災に対するイメージを変えたい」と語る吉﨑さん。受講者が楽しく防災を学べるようさまざまな工夫を凝らしています。例えば、PTAの親子教室に呼ばれる際には、タイガーマスクをかぶって子どもの興味を引いているそう。

 さらには、ペットの守り方を周知していくことにも尽力。大規模な災害が発生し、避難が必要になったとき、ペット入室不可の避難所もあるからです。

 「受け入れが難しい場合どんな選択肢があるのか、何を準備しておけばいいのかを誰もが当たり前に知っているようにしたいと考えています」

 吉﨑さんは空港消防職員の知見をフルに活用し、有事におけるリスクをあらゆる角度から洗い出し、取るべき手だてを提示。会社の従業員や顧客、地域住民の命を預かる企業や自治体に向けても、安全を確保するための組織・仕組みづくりをサポートしていきたいと力を込めます。

(取材年月:2024年6月)

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吉﨑祐治

実践的な防災訓練や獣害対策を提供するプロ

吉﨑祐治プロ

防災訓練・獣害対策サービス

猫cafe C・F・D & cafe C・P・S

元空港消防職員として「想定外」を「想定内」に変える実践的な防災訓練を実施します。獣害対策については、猟師としてのノウハウを生かし、動物が嫌がる環境を整えることで人間と動物の共存共栄を目指します。

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