和太鼓を通して、身体と精神の健康と文化を支えるプロ
山野内英雄
Mybestpro Interview
和太鼓を通して、身体と精神の健康と文化を支えるプロ
山野内英雄
#chapter1
「ドンドンドン」・・身体の芯まで響く音で、古くから日本人の心に、癒しと元気を与えてきた和太鼓。この伝統的な打楽器の魅力を伝えたいと、演奏や指導、販売・修理やレンタルなど、太鼓にまつわるあらゆる事業を展開しているのが、大分市にある『大分太鼓堂』。
演奏については、「鐵心太鼓」など所属する複数のチームが、依頼を受けて、大分県内外や海外でも活動しています。
「おおいた太鼓倶楽部」というスクールでは、初心者はもちろん、子どもからシニアまで、幅広い年代の50名ほど(取材時)が太鼓を習っています。
広々として、防音対策もしっかりした専用の練習場があり、演奏技術の向上や健康のためなど、各々が目的を持って練習に励んでいます。この練習場は、レンタルもできます。
店舗では、和太鼓やバチの販売を行っており、オリジナルの太鼓の製造、メンテナンス、修理のほか、太鼓のリースやレンタル、買取・下取りなども対応。
これらの事業の指揮を取るのは、太鼓堂のプロデューサー的存在・山野内 英雄さん。控え目な性格のため、自らは滅多に口にすることはありませんが、実は、大分県竹田市を拠点に世界的に活動する、和太鼓演奏グループ「DRUM TAO」が、大分に拠点を移すきっかけの一つをつくった人物でもあります。
#chapter2
山野内さんは、佐伯市の大島生まれ。父はもともと漁師で、のちに連絡船の機関長を務めた方で、母、妹とともに、15歳まで島で暮らしていました。小さい時は、海で素潜り、山で秘密基地づくりと、豊かな自然のなかで遊んで過ごしていたそうです。
太鼓を始めたのは、中学生の時。大島では、お祭りで、年頃の男の子が、女性用の着物を身につけ踊りながら太鼓を叩く「飛び太鼓」を披露する伝統があり、山野内さんにもその順番が回ってきたのがきっかけ。昔からこの伝統に憧れを持っていたため、当時、飛び太鼓ができることがとても嬉しかったといいます。
中学を出ると津久見高校に通うために島を離れ、下宿生活がスタート。最初は、ホームシックにかかった時期もありましたが、無事卒業し、新日本製鐵大分製鐵所に就職しました。
当時の製鐵所では、所内の各部対抗で競う水泳大会や運動会があり、その度に、合宿を行うほどに白熱していました。新入社員の山野内さんは、上司に声をかけられ、応援団に入り、そこで太鼓を担当することになりました。そこには、全国各地の製鐵所で太鼓をたたいていた人達が、転勤で大分製鐵所にいて、そのメンバーが、あるチャリティーショーに出演したことがきっかけで生まれた「鐵心太鼓」に、山野内さんも加わることに。
しばらく経ち、28歳でリーダーに就任。懸命に活動を支えていましたが、勤務が三交代制ということもあり、メンバーが揃わず、グループの存続が危ぶまれた時期もありました。そんな時も一人で練習を続け、昭和60年ごろからは、それまで男性社員のみとしていた参加条件を、女性社員や関連会社の方まで受け入れることに。徐々にメンバーが増え、活気を取り戻していきました。
現在では、歯科技工士やサービス業などさまざまな業界のメンバーが加わり、半数を社外の人が占めています。演奏活動は定期公演の「鐵心太鼓祭」、「大分七夕まつり」など地元のお祭りや、イベントのみならず、アメリカ、オーストラリア、韓国など海外まで広がります。
#chapter3
世界にまたがる演奏活動と並行して、子どもや高校生には、文化祭などの出し物として、太鼓の指導も行っていた山野内さん。若い人をはじめいろんな人に太鼓に興味を持ってもらいたいと、2014年からは、定期的に指導の場を設けることにしました。
当初は、会社の会議室を使わせてもらっていましたが、2017年には、私財を投じ、店舗と専門の練習場を建設。広さも防音対策も十分なおよそ90畳の大ホール、およそ4.5畳の小ホールの練習場は、倶楽部の練習だけでなく、レンタルもできます。
同時に、太鼓教室「おおいた太鼓倶楽部」を立ち上げ、「大分で太鼓文化を盛り上げる」という夢に向かって走り出しました。入会金4,000〜5,000円で月会費と教室代各2,000円〜(小学生・幼児1,500円〜。教室代は受講回数により変動)で入会・受講できる太鼓倶楽部の会員は、幼児から80代まで幅広い年代が在籍し、女性も少なくありません。
会員さんからは、太鼓と出会って肩こりが改善した、孫と一緒の趣味ができた、などの声が聞こえてきます。先生の印象は、「心底太鼓が好きな、情熱のある先生。背中で語る高倉健タイプ」。
太鼓文化の活性化はもちろん、次世代への文化継承、そして「飛び太鼓」の復活を通して、生まれ育った大島を元気にするー山野内さんのそんな思いは、多くを語らずとも、力強く響きながら、太鼓道を切り開いていくことでしょう。
(取材年月:2020年6月)
リンクをコピーしました
Profile
和太鼓を通して、身体と精神の健康と文化を支えるプロ
山野内英雄プロ
アーティスト
大分太鼓堂
始めは、ささいな興味からでも、実際にやってみて初めて、自分が太鼓を好きなのか、嫌いなのかがわかります。私は、太鼓を本当に好きになっただけで、勝手に発展していき、今では世界で公演するまでになりました。
\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /
プロの執筆コラム
掲載専門家について
マイベストプロ大分に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または大分朝日放送が取材しています。[→審査基準]