PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

米の可能性を広げるため、「米粉だから」ではなく「おいしいから」選ばれる商品を展開

製粉技術と米粉の商品開発で米の可能性を広げるプロ

甲斐祐介

甲斐祐介 かいゆうすけ

#chapter1

きめ細かい32ミクロンに製粉した米粉で、パンやパン粉、お好み焼き粉などを製造

 「ほのかな甘みが広がる米粉ならではの味わいを生かし、多くの人に楽しんでもらえる商品づくりを目指しています」と話すのは、「大分製粉」代表の甲斐祐介さん。米粉と玄米粉の製粉工場を構え、100%県産米でオリジナル米粉を用いた米粉パンを展開しています。

 大きな特徴の一つが、硬い米を32ミクロンという微細な粉に製粉する技術です。水分を保持し、しっとり感やもちもち感を生むでんぷんの損傷が少ない「気流粉砕方式」を採用し、小麦粉に近いきめ細かな米粉を製造しています。また当店の米粉パンは気流粉砕方式+一手間の製粉方法で作られたオリジナル米粉を使用しています。

 「米粉は、生地を膨張させる酵母のガスを包み込むグルテンがないため、膨らませることが難しく、温度や湿度によっても仕上がりが変わります。当方は材料の配合を1グラム単位で調整し、パンとしてのおいしさを追求しています」

 商品は公式オンラインショップ「虹の穂KAI」で約10種類を販売。プレーンタイプの食パンや「あん食パン」、あっさりした風味の「カンパーニュ」、やわらかい口当たりで、あんやレーズンを練り込んだ「バタールシリーズ」など、個性豊かな品を冷凍で提供しています。

 「当社では、時間がたっても食感を保てるよう工夫し、凍ったまま軽く水を霧吹きして、電子レンジで温めるとふわふわ感が戻り、お好み時間でトースターでカリッと焼き上げるのもおすすめです。工場直売は完全予約制と珍しい形態です。最近では冷凍でのご注文が焼きたてを超えてきました。

 小麦を控える人たちの選択肢を広げるため、パン粉として使えるフレーク状の米粉をはじめ、お好み焼き粉、たこ焼き粉、から揚げ粉、パンケーキミックスなども用意。料理やお菓子作りなど幅広い用途に活用できます。

#chapter2

法人・個人を問わず全国から米粉の製粉を請け負い、最小5キロから対応

 「大分製粉」の原点は2011年。県産米の需要拡大を図る一環として、行政の支援も得ながら製粉設備を導入しました。

 「米粉は大分県学校給食会へ納品しています。各市町村のパン店に届けられて米粉パンになり、地域の小中学校で児童生徒の給食として使用されています。地元で生産されたお米が米粉となり、大分県産米の消費拡大に寄与し、子どもたちの成長を支える糧になる。地域の農業と食をつなぐ役割を担っていることをうれしく思っています」

 甲斐さんのもとでは、全国的にも珍しい最小ロット5キロ以上から32μ微細粉が製造出来るため全国から製粉業務も受託。法人・個人を問わず依頼を請け負っています。

 また、米粉のパン粉をフランスに輸出。グルテンフリーに加え、油を吸いにくいため食材がカラッと軽く揚がりやすく、保水性にも優れているので、ハンバーグなどの肉料理のつなぎで使っても肉汁を閉じ込め、ジューシーなうま味を引き出せるとか。

 「和食がブームで、健康志向も高まっていることから海外でもチャンスがあると見込んでいます。お米の消費量が落ち込み、社会課題となっている今、販路を拡大するためにもニーズを掘り起こし、国内だけでなく世界に向けてお米の魅力を発信していきたいですね」

#chapter3

先入観にとらわれず、できることは何でも試す姿勢でオリジナル商品を開発

 20代から総務・経理を中心にキャリアを積んできた甲斐さん。2021年に「大分製粉」のグループ会社に経理・財務担当として入社し、経営の立て直しに携わってきました。また個人で大分県で米粉パン屋専門店第一号の「田んぼのパン工房虹の穂」を買収し、米粉のパイオニア企業へと成長させていきました。

 「業界について知るため、基礎から必死に勉強しました。まずは小麦粉のことを学び、続いて米粉について調べ、パンの書籍も買い込んで研究を重ねました」

 先入観にとらわれず、できることは何でも試す姿勢で商品開発にも注力。オリジナリティーに富んだ商品も手掛けてきました。
「『お好み焼き粉』と『たこ焼き粉』スーパーでは別々に販売されています。当社の『お好み焼き粉』はたこ焼きも出来ます。家では娘とたこ焼きパーティーが多いですね」

 「当社の『あん食パン』は、マーブル状に折り込むのではなく、あんこを生地全体にいきわたるように入れ、あずき色に仕上げています。『どこから食べてもあんこの味がするパンをつくろう』と提案した際は、あんこが見えた方が良いと職人さんは難色を示しましたが、職人さんが『今まで食べた中で一番美味しいあんぱんかも』と驚いたあんぱんが完成しました」

 米粉は原料由来の課題もあります。比較的安価に流通している小麦粉の製品に比べて高めで、「価格に見合う価値」を提示することが重要だと言います。

 「お買い上げいただくお客さまのご満足に値するクオリティーが求められます。製粉工場を持つ強みを活かした真似が困難なオリジナル米粉とシンプルな素材を活かせる配合調整で期待にかなう品を生み出していきたいですね」

 甲斐さんは、グルテンフリーを必要とする人だけではなく、味を目的に選ばれる米粉パンを届けるべく創意工夫。「米粉だから食べるのではなく、おいしいから食べる」商品づくりに取り組んでいます。

(取材年月:2026年8月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

甲斐祐介

製粉技術と米粉の商品開発で米の可能性を広げるプロ

甲斐祐介プロ

製粉、米粉パン製造

株式会社大分製粉

米粉と玄米粉(もち粉)の大型製粉工場を構え、製粉技術を活用したオリジナル米粉を使った米粉パンを製造。パン粉などの粉もの商品も展開。法人・個人を問わず全国から少ロットの製粉依頼に対応します。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ大分に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または大分朝日放送が取材しています。[→審査基準]

MYBESTPRO