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がんとともに生きるために、よりよいライフプランを

がん患者とその家族のライフプランニングを支えるプロ

樋口貴士

樋口貴士 ひぐちたかし

#chapter1

がん患者と家族の暮らしを支えるお金の無料相談

 国立がん研究センターの「2021年がん統計」によると、今や日本人の2人の1人が、生涯でがんと診断される時代です。がんと告知されたとき、治療費や収入面など経済的な不安(経済毒性)に悩む人が増えています。

 「日本対がんファイナンシャルプランナーズ協会」では、がん患者やその家族が安心して治療に専念できるよう、お金に関する無料相談を行っています。

 「がんの治療期間は長く、高額療養費制度の適用後でも、月数万円程度の自己負担が生じるケースもあります。また、体調や通院により仕事が続けられず、収入が減る人も少なくありません。がん治療の専門知識を備えたファイナンシャル・プランナー(FP)が、不安を解消するために寄り添います」
 こう話すのは、常務理事でFPの樋口貴士さん。同協会の独自資格である「がんファイナンシャル・プランナー2級」も保有しています。

 理念に掲げるのは、「告知よりも先に、安心を設計する」という考え方。未病の段階からリスクを知り、正しい知識を得ることが重要と話します。

 「がん保険に加入していても、給付期間や条件をきちんと把握しているでしょうか。今は、入院日数が少ない傾向にあるため、通院時の給付金の有無など、実情に即した保障内容を確認します」

 強みは、治療と生活の両立を見据えた提案ができる点です。障害年金など公的制度を含め、医療費と生活全体を踏まえたライフプランを設計します。

 「がん治療の実情まで踏まえて相談できるFPは、全国的にもまだ多くありません。病気に直面した場合でも、子どもの教育資金や老後資金の備えは必要です。生活全体を見直す視点が重要になります」

#chapter2

資格認定や企業向けセミナーなど、がんについて考える機会を多くの人に

 同協会では、独自資格である「Cancer FP(がんファイナンシャル・プランナー)」の認定も行っています。3級から1級まであり、保険代理店のFPや医療従事者からの関心も高まっているそうです。

 資格取得には、金融の専門知識に加え、がんについての医学的知識や社会保障制度、就労支援など幅広い知識が求められます。上位の級では、がん治療の先端とされる遺伝子パネル検査やゲノム医療など、より高度な知識を身につけます。

 「相談者から『治療費についてもっと早く知っておきたかった』という声をいただくことは多くあります。例えば遺伝子パネル検査は、保険適用後でも一定の自己負担が発生する場合があります。“いざというときに活用できる備え”を整えられるよう、全国にがんファイナンシャル・プランナーを増やしていきたいと考えています」

 企業に向けては、従業員ががんについて考える機会づくりを提案。がん検診の受診率向上支援や、がん保険セミナーなどを行う一方、経営者には従業員の休業時に給付金が受け取れる法人保険の活用を勧めます。

 「がんの発症リスクは40代後半から高くなります。管理職やベテラン社員の年代と重なり、離職は経営課題になり得ます。治療と仕事を両立できる環境づくりは、リスクマネジメントの一つといえます」

 将来的には自治体とも連携し、地域包括支援センターなどで相談機会を広げることで、誰もが気軽にお金の相談ができる環境づくりを目指しています。

#chapter3

理学療法士として医療現場の経験を経て、FPに転身

 FPとして活動する以前、樋口さんは理学療法士として、医療機関でリハビリに携わっていました。高齢者を中心に、骨折や脳卒中患者に対応する中で、30代の患者が印象に残っているそうです。

 「脳卒中をきっかけに、ご家族も含めて生活が大きく変わる姿を目の当たりにしました。予期せぬ出来事は誰にでも起こり得ると実感し、治療とお金は切り離せないと考えるようになったのが原点です」

 その後、自身の将来への不安をきっかけに資産運用を学び、マネーセミナーに参加。同協会代表理事の川原拓人氏と出会い、その考えに共感したといいます。

 ファイナンシャル・プランナーの資格を取得し、生命保険代理店に転職。医療現場での経験をもとに、2025年に「日本対がんファイナンシャルプランナーズ協会」の立ち上げに関わり、出身地である大分県に拠点を移しました。

 「どの治療を選ぶかだけでなく、遠方の医療機関を受診する際の交通費など、お金の不安があることで選択をためらう場面もあります。そうした悩みを抱える方を一人でも減らしたいと考えています」

 病気そのものは予測できませんが、備えることは可能です。
 「“もしも”に備えてお金の不安を軽減できれば、納得のいく治療を選択できる可能性が広がります。信頼できる情報をもとに、早い段階から向き合うことが大切です」

(取材年月:2026年4月)

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がん患者とその家族のライフプランニングを支えるプロ

樋口貴士プロ

ファイナンシャル・プランナー

日本対がんファイナンシャルプランナーズ協会

がん患者さまやご家族さまの生活を支えるライフプランニングを行う「がんファイナンシャル・プランナー」。先端治療や公的制度を踏まえ、保険や制度の活用を含めた資金設計を提案し、経済的な不安の軽減に導きます。

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