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国内外の大会で上位入賞した焙煎技術で届ける、風味豊かなこだわりのコーヒー

素材の個性を引き出す焙煎で味わい豊かなコーヒーを届けるプロ

中村一輝

中村一輝 なかむらかずてる
中村一輝 なかむらかずてる

#chapter1

素材それぞれの味わいを引き出したコーヒーをカフェとオンラインで提供

 信濃川支流の河川敷に程近い、のどかな雰囲気のカフェ。自然光に包まれた店内で、世界十数カ国の産地から選び抜いたコーヒーを提供しているのが「ナカムラコーヒーロースターs」の中村一輝さんです。

 「手軽な缶コーヒーもいいですが、やっぱり入れたては特別です。普段は口にしない人にも『コーヒーってこんなにおいしいんだ』と気づいてもらうきっかけになれば、うれしいですね」

 そう語る中村さんのこだわりは大きく二つ。「飲みやすさ」と「酸」です。
 「コーヒーは、『風味を伴っている』『奥行きを与えている』など、さまざまな酸の質を楽しむドリンクだと思っています。コーヒー通の方だけでなく、多くの人に違いを感じてもらいたいですね」

 エスプレッソは、季節やその時々の品質によって使用する豆を変えており、それを目当てに訪れるリピーターも少なくないとか。

 もともと焙煎が専門で、国内外の大会で入賞歴を持つ中村さん。特に意識しているのが「素材の味を素直に引き出す」ということです。
 「『自分の味を出す』のではなく、それぞれの豆が持つ個性を最大限に表現したいと考えています。焙煎中の豆のリアクションを見ながら、豆ごとに細かく調整しながら焙煎を進めていきます。

 製品化の前にはテストローストを繰り返し、バリスタである妻と方針を固めているそうです。

 「スパイシーなインドネシア産はカレーに合い、すっきりとしたエチオピア産は梅干しのおにぎりによく合いますよ」と提案。バリエーション豊かな自家焙煎の豆は、店頭に加えてオンラインでも販売しています。

#chapter2

20代半ばで焙煎士に転身、有名店のヘッドロースターを経て独立

 中村さんがコーヒーの魅力を感じたのは大学生時代でした。
 「友人宅にたまたまドリッパーがあって、スーパーで粉を買い、ざばざばとお湯を注いで入れたコーヒーがすごくおいしかったんです。それまではコーヒー牛乳を飲むくらいだったのですが、毎日自分で入れるようになり、友人とも各地の気になるお店を巡るようになりました」

 大学卒業後は、いったんは別の業界で働きますが「自分が本当にやりたいことは何か」と突き詰めます。その結果、20代半ばで喫茶店営業や卸売業を手掛ける「丸山珈琲」に転職。焙煎士としての道を歩み始めます。

 「何度怒られても、はいつくばってやってみよう」という気概で、手探りの状態から技術を身に付け、入社5年ほどで社内のヘッドロースターに就任した中村さん。

 「ワールドロースターズコンペティション」「ジャパンロースティングチャンピオンシップ」といった国内外の大会で上位入賞を果たし、バリスタチャンピオンら数々のトップバリスタから焙煎を依頼されるまでになりました。

 経験と実績を積んだ32歳の頃、同僚だった妻とともに独立を決意。ゆったりとコーヒーが楽しめる環境を探し、現在の新潟県長岡市の地にたどり着きました。

 「店に立つようになったことで、お客さまの笑顔に触れる機会が増えました。『中村さんの入れた一杯を飲まないと1日が始まらない』『ずっとここの味を求めていたけど、雪がやんでようやく来られた』といったお声をいただき、お客さまに喜んでもらえるのがやりがいですね」

中村一輝 なかむらかずてる

#chapter3

顧客と生産者の橋渡し役として、コーヒーが手元に届くまでのプロセスを発信

 カフェでは、リーフパイやマドレーヌ、スコーンにケーキといったお菓子も用意。夏場には、涼をとれる水出しコーヒーやアイスカフェラテも展開し、地域の人に憩いの場として愛されてきました。

 自らの店を構えて約10年の年月を重ねた今、コーヒーに親しむ顧客と、コーヒー豆を栽培する生産者との橋渡し役になりたい、そんな展望を描いています。
 「コーヒーは、誰が、どこで、どのようにお世話をして収穫し、どういう道筋をたどって日本にやってくるのか。身近な飲み物でありながら、一般の方にはまだまだそのプロセスは知られていません。お客さまと作り手さんの間に立つ者として、きちんと伝えていきたいと思っています」

 2017年には、ネットを通じて資金を募るクラウドファンディングを活用し、丸山珈琲の社長とともにコーヒー豆の一大産地であるブラジルのミナス・ジェライス州を訪問。現地で品質の良さを確かめつつ、生産者と直接交流をしてきました。
 「自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じたことは、ちゃんと自分の口で伝えていきたいという思いから、帰国後は、お客さまに向けた報告会を当店で開催しました。すごく小さな力かもしれませんが、手塩にかけて育てている現場の方たちにスポットライトが当たるよう、これからも続けていくつもりです」

 豊かな香りと個性あふれる味わいで、日常にくつろぎのひと時をもたらしてくれるコーヒー。手元に届くまでのストーリーを、中村さんは丁寧に紡いでいきます。

(取材年月:2023年3月)

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中村一輝

素材の個性を引き出す焙煎で味わい豊かなコーヒーを届けるプロ

中村一輝プロ

コーヒー豆の販売

株式会社ナカムラコーヒーロースターs

有名店「丸山珈琲」でコーヒー焙煎士として経験を積み、20代半ばでヘッドロースターに。国内外の大会で上位入賞した実績を持つ。「飲みやすさ」と「酸」にこだわり、豆本来の味わいを引き出したコーヒーを届ける。

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