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検査研究機関として半世紀に及ぶ実績をもとに、食品、環境、臨床検査などに対応

食品の各種分析を軸に全国からさまざまな依頼が集まる分析のプロ

茨木和雄

茨木和雄 いばらきかつお
茨木和雄 いばらきかつお

#chapter1

精度の高い分析力で依頼は全国各地から。検査の様子も見学可能

 新潟県県央地域に拠点を構える「県央研究所」は、1975年に開設し、検査研究機関として半世紀近い実績を持ちます。

 精度の高い試験を行う機関として認定される国際規格「ISO/IEC17025」と、商品やサービスの品質管理で国際基準を満たす「ISO9001」を保有。添加物や残留農薬などを調べる食品分野を中心に、水質や土壌に関する環境分析、細菌や遺伝子といった臨床検査、病原体や有害物質汚染を確認する分析などを手掛けています。

 「全国から案件をいただき、当方が蓄積してきたノウハウが、広く認知されてきたと実感します。私どもは、単に数値を出すだけではなく、得られたデータから何が言えるのかをはっきりさせ、課題解決や改善につながるよう努めています。『県央さんにお願いしてよかった』と喜んでもらいたいのです」

 そう話すのは、2017年から同所の理事長を務める茨木和雄さん。現在約60人の職員を束ねています。

 「当方では、依頼主だけでなく、誰でもガラス越しに研究室を見学できるようになっており、幼稚園の子どもたちや小学生も社会見学に訪れます。優秀な人材がそろっているので、真剣に職務に臨む姿を見ていただけたら幸いです。」

 新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた2020年6月には、県内の民間機関として初めてPCR検査を開始。その日のうちに結果を伝えています。「世界的なパンデミックの中、先行き不透明で不安を覚える方が大勢いらっしゃいましたから。何とかみなさんの力になりたい、その一心でした。これからも、地域に貢献していきたいですね」

#chapter2

「おもしろいおやじ」がいると聞き県央研究所へ。初代理事長に導かれ修業

 1969年、長岡市で生まれた茨木さん。高校卒業後は北里大学保健衛生専門学院に進み、臨床検査技師の資格を取得しました。

 「臨床検査技師は採血したり心電図を図ったりしますので、医療現場で働くことが多いですが、私は『他にも道があるはず』と、病院に勤めることは視野に入れませんでした。就職先を探していたところ、偶然、県央研究所の求人を見つけ応募したんです。おもしろいおやじがいると聞いていたので、興味がありました」

 面接に向かった茨木さんを待っていたのは、「おもしろいおやじ」こと、初代理事長の故高野雅志さん。「3年間黙って付いてきなさい」と言われ、修行の日々が始まります。

 「臨床検査技師として鳴り物入りで入所したつもりでしたが、鼻を折られましたね。特に厳しく指摘されたことは試験管を丁寧に洗浄すること。洗い残しがあれば測定結果に大きな影響を及ぼしますから、ガラス器具はとにかく一生懸命洗いましたし、ものすごくたくさん割ってしまいました」と笑います。

 初めてのクレーム分析も、よく覚えているそうで「米の発育が悪くて困っている」という相談が寄せられ、調査に乗り出しました。「隣接する工場から漏れた重油によるものと考えられましたが、『関係ない』と突き返されました。さらに原因を追究したところ、やはり重油に起因することが判明し、工場側が納得して和解に至りました。稲も無事に育つようになり、農家の方に感謝していただきうれしかったですね」

茨木和雄 いばらきかつお

#chapter3

ハートを大切に暮らしを支え、人と企業を幸福にすることが自分の使命

 暮らしを支える研究所として、高野さんから「ハートを大事にしなさい」との訓示を受けていた茨木さん。入所から5年を迎えた頃には、渉外や衛生指導など対外業務を任されるようになり、県央研究所の発展に尽力してきました。

 48歳で理事長に就任してからは、社内外問わず精力的に活動。「慎重さが求められる分析関連の実務からは離れましたが、今は経営のプレッシャーがありますね」と心中を明かします。

 組織を率いる立場として心掛けているのは、職員が本領を存分に発揮できるように、一人一人の個性を大切にすること。「当方のスローガンは『be a scorcher』。scorcherとは、『とてつもない』といった意味で、メンバーには、熱い思いで仕事に取り組んでほしい」と語ります。

 また、「私たちにもできないことがあるのは事実。それでも、常に自分たちにできる最大限のことをしたい」と茨木さんは言います。「燕市が位置する県央地域は、抗菌ステンレス製品を生産するメーカーが点在しています。緊急事態宣言が発出されたばかりの頃、これらのメーカーから、製品の効能について第三者認証を頼まれる機会が多かったのですが、当方では請け負っていませんでした」

 だからといってにべもなく断るのではなく、全国のつてをたどって、代わりの認証機関を紹介したそうです。

 「仕事を通じて人と人とのつながりが生まれることは魅力で、やりがいでもあります。人と企業を幸福にすることが私の使命だと思っています」

(取材年月:2022年9月)

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茨木和雄

食品の各種分析を軸に全国からさまざまな依頼が集まる分析のプロ

茨木和雄プロ

研究分析

一般社団法人県央研究所

食品の各種分析を軸に臨床検査や環境検査・研究の依頼が全国から届きます。数値を出すだけでなく結果から何が言えるかを重視。2020年6月に県内の民間機関で初めて新型コロナウイルスのPCR検査を始めました。

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