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より良い状態で長く企業活動が継続できるよう、企業と労働者、企業と行政の潤滑油であることを目指す

人事・総務部での実務経験を持つ社会保険労務士

大西正純

人事・総務部での実務経験を持つ社会保険労務士 大西正純さん
社会保険労務士の大西正純さん仕事風景

#chapter1

企業の人事・総務部での実務経験を生かして、幅広い問題に対応する

 「社労士(社会保険労務士)」は、企業の人事部・総務部が担当する業務のスペシャリストです。
 南都社労士オフィスの大西正純さんは、以前は「いったい、どんな仕事をするのですか?」とよく尋ねられたそうです。しかし最近は、労使関係の問題などがマスコミでも積極的に取り上げられるようになり、社労士の仕事内容が一般的に知られるようになってきたといいます。
 大西さんは企業の人事部・総務部で勤務経験があります。しかし、新卒で就職した会社が倒産、さらに転職した2軒目の会社も倒産するという経験をしました。「もし3軒目も倒産することがあれば、勤め人としてではなく自分の責任で対応したい」と考え、社会保険労務士の資格を取得して独立・開業しました。

 社労士の業界では得意分野を持つ人が多いため、大西さんは自分も得意分野を持たなければいけないと開業当時にはたくさんのセミナーに参加したそうです。社労士になる前は、「社労士はサラリーマン時代に人事部・総務部に属していた方ばかりだ」と思っていたそうですが、実際には実務経験が無いまま社労士資格を取得して開業する人が得意分野を求められていることをセミナーで知り、得意分野を持たなくても良いのではと思うようになったといいます。「仕事を依頼してくださる企業にとっては、得手不得手がある社労士より、どんな内容にも対応できる社労士のほうが役に立てるのでは」と思うようになったのがその理由です。
 一説では、大西さんのように資格取得以前に人事部・総務部での実務経験がある社労士は全体のおよそ3割と言われているそうです。

#chapter2

企業の成長の鍵となる「人」の問題解決にやりがいを感じる

 企業の経営の3本柱は「人・物・金」といわれます。ところが、小規模な企業では、数年前まで「金」と「物」が重視されがちで、「人」への対応が遅れ気味だったといいます。しかし、最近は深刻な人出不足などの影響もあり、「人」に対する企業の関心が高まっています。
「良い人材が集まれば、会社はどんどん伸びていきます。しかし、いくら経営方針が良く、設備が整っていても、良い人が集まらないと業績は悪化していきます。私はサラリーマン時代にそれを目の当たりにして人材の大切さを痛感しました」

 とはいえ、「人」に関わる問題は難しいと大西さんはいいます。人には感情があり、ちょっとした行き違いで職場内の人間関係や労使関係が悪化することが少なくありません。
 さらに、労働者の意識も変わってきました。かつて、中小・零細企業ではうやむやになっていた感のある有給休暇の取得や、時間外労働についての賃金要求も、最近は労働者の当然の権利として申請されるようになってきました。

 大西さんは、そんな労働者と企業の間に立って、さながら社外にある人事部のスタッフのように、問題が起きないように労使双方の話を聞き、必要な対策を講じます。また、問題が起きたときにはその対応、解決を模索します。
「私が目指しているのは労使双方に満足していただき、永遠に継続される会社となっていただくことです」

小冊子「創業50年のあゆみ」

#chapter3

労働者と企業、企業と行政の潤滑油であることを目指す

 ネット環境の充実や働き方改革をはじめとする時代の流れも手伝って、人を重視する時代になり、現在は「社労士バブル」などと言われることもあるそうです。
 しかし、大西さんは現在の働き方改革のあり方に、少し疑問を感じているといいます。
「働き方改革は本来、労働力人口の減少に対応するために、主婦やシニア層などが働きやすい環境、制度を整えるためのものであったはずです。しかし昨今は、過重労働の撲滅や有給休暇の取得促進ばかりが話題になっています」

 大西さんが実際に体験したケースでも、売上が減少することを覚悟の上で「従業員に喜んでもらえる」との考えから働き方改革の一環として労働時間の削減を行なった会社が複数あるそうです。しかし残念ながら従業員からは「残業が減少したので賃金が減った」「自分は働きたいのになぜ働いてはいけないのか」という声が強く出てきたそうです。もちろん過重労働はいけないことです。しかし、一般的な基準では過重労働に当たらないのにも関わらず、従業員の「早く帰りたい」という声に応えて断腸の思いで行なった改革があだとなった形です。事前に労使双方の十分な話し合いが行なわれていればこのようなことにはならなかった実例です。  

 人事・総務のプロである社会保険労務士の仕事の目標は、企業を良い状態で長く継続するお手伝いをすることにあります。経営側、労働側のいずれか一方の味方をするのではなく、双方の意見をしっかり聞いた上で、労使どちらにとっても納得できる結果にむすびつけるのが、「労使間の潤滑油」「企業と行政の潤滑油」でありたいと願う大西さんの目指すところです。

(取材年月:2019年6月)

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大西正純

人事・総務部での実務経験を持つ社会保険労務士

大西正純プロ

社会保険労務士

南都社労士オフィス

メーカー、小売業の人事・総務部での勤務経験を生かして、企業経営に関わる広い分野に対応。問題が起きないようにさまざまな対策に取り組むとともに、問題が起こった場合にはより良い形での解決に尽力する。

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