光技術による除菌方法を用いた衛生管理のプロ
荻原真二
Mybestpro Interview
光技術による除菌方法を用いた衛生管理のプロ
荻原真二
#chapter1
長野県に本社を置くワークソリューションでは、光技術を利用した除菌製品を開発。主力は食品や医療分野の業務用手袋に用いる手袋除菌装置『ソルパット』と、空気を浄化する『ソルパットAP』です。
「自社の他、研究機関や納入先でも効果に関するエビデンスが豊富です。全国の食品工場や病院・外食チェーン、スポーツジムなどで導入が進み、計3600台ほどの採用実績があります」と、代表の荻原真二さん。
特に手袋除菌装置『ソルパット』は、食に携わる企業や店舗には必須であるとのこと。手洗いやアルコール消毒、手袋の交換だけでは食中毒を防ぎきれないと言います。
「例えば素手に付着したノロウィルスは、せっけんで2度洗いしても指紋やしわ・小さなキズなどに残存する為、その素手で装着した手袋は汚染されます。その手袋を介して製造ラインや厨房に運ばれ作業者が食品に触れた場合、食品そのものに伝播する、というのが代表的な感染経路です。言わば【手袋神話】に陥ったとも言えます」
「リスクの備えとして【手袋を付けたら除菌】という認識が広まってほしいですね。手袋除菌装置『ソルパット』は、手を差し込むとわずか3~5秒で大腸菌O157や黄色ブドウ球菌も死滅させます。作業着が半袖でも肌に光を当てない仕様の『不活性化くん』もあります」
室内に漂うウイルスやカビ・浮遊菌にアプローチする『ソルパットAP』も同様の仕組みで、感染症対策にも有効とか。除菌力の高いオゾンを発生させるモデルも人気です。
「因みに当社製品を導入したお客さまからクラスターの報告は1件もありません。ランニングコストやメンテナンスの負担も軽く、なかなか好評ですね」
#chapter2
長野県出身の荻原さんは地元の高校を卒業後、県内の電子部品メーカーに就職。製造や生産管理を担当し、社内の野球部では主将を務め、全国大会で優勝したこともあります。職務、部活ともに実績を築き、「一定の目標を達成したので新しい挑戦を」と派遣会社に転職します。
「勤めて数年後、かねてより起業を宣言していた35歳を迎えました。潔く退職して当社を立ち上げ、経験を武器に人材派遣業をスタートしました。今も関連会社を通じて外国人技能実習生を受け入れるなど、事業を続けています」
経営者として多忙な日々を送る中、ようやく取れた休暇を利用して1泊2日の家族旅行を計画。しかし、初日の夕方から下痢やおう吐、発熱に悩まされ、以降の予定をキャンセルしてしまいます。
「子どもたちにも泣かれて本当に切なかったです。長野に戻って病院に駆け込むとノロウィルスに感染したことが分かり『人間に害を及ぼす菌やウイルスを何とかしなければ』と決意して事業化しました」
その後は塩素系、アルコール、オゾン、紫外線などを利用した各社の製品で除菌効果を比較。研究を重ねる中、菌やウイルスに対して平均的に効果を出したのが紫外線などの光でした。
「特に紫外線は『肌に直接当てない』『直視しない』『照射ランプから距離を置く』という三つの条件を守れば、優れた装置を開発できると確信を得ました。競合も多いゆえに“本物”で勝負することが大切です。常に探求心を忘れず、ようやくここまで来ましたね」
#chapter3
荻原さんは現在、使用済み手袋のリサイクルシステムの構築にも取り組んでいます。多くの現場で使用されている合成ゴム素材のニトリル手袋は産業廃棄物として焼却されるため、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けても、再資源化の流れを作ることが使命だと感じています。
「ニトリルは石油から精製されるので、熱分解すれば重油、軽油、灯油などを抽出できます。手袋メーカーに再利用してもらったり、当社のボイラに使ったり、あるいは雪国の除雪作業のために寄付したりと多くの用途が考えられ、廃プラスチックにも応用できます」
手袋の回収は全国規模のため、輸送時のCO₂排出量を減らそうと固体を油にする油化装置を導入する企業を各地で募集。これまでに4社が協力を名乗り出ています。
「もう一つ、注力したいのは鳥インフルエンザ対策です。実は東南アジアなどでは人間にも感染し、死者が出ているとWHO(世界保健機関)のレポートで知りました。日本でも鶏の殺処分が絶えず悲しいですよね。養鶏業者の健康のためにも、経営のためにも研究を続けます」
荻原さんは除菌装置の開発だけでなく、菌やウイルスの種類や感染ルートを探ったり、対策を講じたりするコンサルティングも得意に。
「自社製品が売れるのはもちろん嬉しい事ですが、その前に『本当に安全や安心が守られているのか』をお客さまと一緒に考えたいですね。衛生管理において社内の工夫や努力だけでは不足しているとお悩みの方は、ぜひご相談ください」
(取材年月:2024年1月)
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Profile
光技術による除菌方法を用いた衛生管理のプロ
荻原真二プロ
除菌装置メーカー
株式会社ワークソリューション
光による業務用手袋の除菌装置やカビ・浮遊菌対策用空気除菌装置を開発し、全国に約3600台を導入。ノロや新型コロナウィルスの不活性化や、大腸菌・黄色ブドウ球菌などの食中毒原因菌の死滅に対応する。
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