家族が集い、季節の移ろいを伝える庭づくりのプロ安江茂樹

家族が集い、季節の移ろいを伝える庭づくりのプロ

安江茂樹

長野の冬に備えた凍結対策を施工に反映。物価高を踏まえ、デザイン性と費用対効果を両立

　玄関に続くアプローチやウッドデッキ、植栽などのエクステリアをプロデュースする「お家まわりのリフォーム屋さん」の代表・安江茂樹さん。顧客の思いを3D図面で具体化し、施工からメンテナンスまで対応しています。

　「調和の取れた仕上がりに加え、公共事業で培った堅実な技術力が私たちの強みです。特に長野は冬になると氷点下を迎えるため基礎部分に十分な厚さの砂利を敷くなど、しっかりと施工することが大切です。これにより、凍結による地面の隆起やコンクリートのひび割れを軽減させます。地域の気候に合わせて外構を長持ちさせられるのも当社の特長です」

　中でも大切にしているのが、笑顔を結ぶ庭づくり。設備類も組み合わせ「家族でバーベキューがしたい」「飼い犬と遊びたい」「近所の人と交流できるスペースを設けたい」といった希望を実現していきます。

　「草むしりの悩みもよく伺いますね。お勧めできる対策の一つが人工芝で雑草の繁殖を防ぎやすく耐久性も期待できます。また樹木で木陰をつくる、夜間は低電圧のエクステリアライトで足元を照らすなど、エコな工夫もご提案しています」

　主な顧客は新居を計画中の30代・40代や、セカンドライフでガーデニングに興味を持ち始めたシニア世代。また、実家を受け継いで外構を整えたいという相談も増えています。

　「いずれも当店スタッフが『大切な人と大切な時を刻む庭』をテーマに費用対効果も考慮しながらデザインします。プランニングのみのご相談も歓迎です。さらに当社では2年間の無償補修など、アフターサービスにも力を入れています」

祖父の代から公共事業に携わり地域の農閑期も支援。新築住宅の未整備な外構にチャンスを見いだす

　岡谷市生まれの安江さん。幼い頃は地元を通る特急「あずさ」に憧れ、鉄道運転士を夢見た時期もあったとか。一方で建設業を営む父親を見て育ち、家業を継ごうと大学で土木工学を専攻します。

　「卒業後は迷わず父が営む『安江工業』に就職しました。元は祖父の会社で農閑期を迎えた地域の方を雇用するなど社会貢献も果たしてきたと聞きます。父からよく話に聞いたのは1959年の伊勢湾台風ですね。父はマイクロバスに農家の皆さんを乗せ、朝から晩まで復旧工事の現場を駆け回っていました。そんな父親の姿から、私も自然と人間の営みに関わるこの仕事に興味を持ち始めました」

　入社後は道路や下水道の工事を通じて基礎知識を習得。現場を重ねる中で顧客が納得する仕事の質や職人が働きやすい環境について理解を深めていきます。

　「ただ、長野では公共工事が激減した時期があり、仲間の廃業も相次ぎました。周囲に新築住宅が増えているのに外構が未整備のままという現状に気づき、可能性を信じて『お家まわりのリフォーム屋さん』へと舵を切りました」

　当時はまだエクステリアの概念が一般的ではなく、安江さんは全国の先進事例を視察し、独学でデザインを研究。開放感とプライバシーの両立など、外構設計のセオリーを一つずつ覚えていったと振り返ります。

　「その後、1級造園施工管理技士の資格を取得し、企業のコンテストで最優秀賞をいただいたこともあります。実績を積み重ねて信頼を得ることが、私たちの目指す姿です」

花壇やシンボルツリーで季節を感じてもらえる喜び。今後は空き家のリフォーム支援にも挑戦

　安江さんは顧客アンケートを実施して自らの仕事を俯瞰。「物干しや読書に使えるガーデンルームができてうれしい」「カーポートの完成で雪が降っても安心」「玄関までの勾配が緩やかになって助かる」など、多くの感謝の声が寄せられています。

　「お客さまの暮らしが豊かになったと感じられる瞬間が、何よりの励みです。特に、当初は関心がなかった方が、庭のリニューアルをきっかけに木々や花々を愛でるようになると本当にうれしいですね。『芽吹き、新緑、開花、紅葉など、おかげで四季を感じられるようになった』とおっしゃっていただけるのが一番の喜びです」

　自社のモデルガーデンの見学に訪れた夫婦が屋外プールに興味を持ち、そのまま施工を頼まれたケースもあるとか。愛犬も一緒に水浴びを楽しむなど長野の短い夏を優雅に過ごしていると連絡を受けています。

　「古木を抜いて広々としたスペースを確保したことで夏休みにお孫さんが遊びに来る回数が増えた、との声もありますね。共に働く職人の皆さんは腕前に加えて人間性にも優れていて、施主のお子さまがなつき別れを惜しんで泣いてしまったこともあるんですよ」

　今後は志を共にするリフォーム業者と連携し、空き家対策に取り組むのも目標の一つ。建物と外構のトータルリフォームで物件の価値を高めて移住者の受け皿にしつつ、美しい街並みの維持にも貢献したいと語ります。

（取材年月：2025年10月）

公共工事の経験に基づく堅実で調和の取れたエクステリア。いつまでも美しく、家族が集う屋外空間を

長野の冬に備えた凍結対策を施工に反映。物価高を踏まえ、デザイン性と費用対効果を両立

祖父の代から公共事業に携わり地域の農閑期も支援。新築住宅の未整備な外構にチャンスを見いだす

花壇やシンボルツリーで季節を感じてもらえる喜び。今後は空き家のリフォーム支援にも挑戦

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