親子三代に渡る屋根、雨とい、外壁の修繕・加工のプロ
乾祐輔
Mybestpro Interview
親子三代に渡る屋根、雨とい、外壁の修繕・加工のプロ
乾祐輔
#chapter1
板金加工は鉄や銅、ステンレスなど金属の板材を加工する仕事で、加工された製品は生活用品や工業機械などさまざまな場面で使われています。板金工事業を営むには国家資格が必要で、専任技術者の設置や財産要件などの条件があるそうです。
そんな板金加工を主に扱う「乾板金工業所」は、松本電鉄上高地線下新駅からほど近い場所にあります。板金加工というと車のボディの修理をイメージするかもしれませんが、同社では「建築板金」が専門で主に建物の外側にある屋根や外壁、雨といなどの施工を行っています。
代表取締役の乾祐輔さんは「建築板金は住宅の印象を決める外観にたずさわるため、高い加工技術やセンスが必要になります。使用する金属はステンレスや亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム合板などです。さまざまな素材に対応していますが、今一番屋根に使うのはカラー鋼板ですね。また、新商品の勉強会には欠かさず参加して、良いものは積極的に取り入れるようにしています」と語ります。
最近はDIYやセルフリノベーションの流行から、量販店でも板金加工された部品が販売されています。便利な反面、実は素材の質を落として低価格を担保していることもあるのだとか。「わたしたち建築板金のプロは建材のルートが違うため、高品質なものを提供できます。また要望に合わせてオーダーメイドできるのも利点ですね」と乾さん。「お客さまの中にはインターネットで事前に調べてくる方も大勢いらっしゃいます。それらお客さまの知識と要望を生かしつつ、最適なものを提案できますよ」
#chapter2
建築板金は暑くて寒くて危険な仕事だと乾さんは言います。「屋根に登ることが多く危険な作業が多いので、日々気持ちを引き締めながら仕事をしています。また信州という場所柄“雪止め”が必要なこともあり、冬に向けた作業も多数ありますよ。体にこたえる寒さもありますが、ふと手を止めて屋根の上から景色を眺めるのは嬉しい瞬間ですね」
建築板金の業務の中でも、雨漏りに関する作業“水切り”は特に慎重に行います。水切りとは雨水の侵入を防いだり、侵入した雨水を排出させる金属部品のことで、建築板金の要(かなめ)となる作業です。
「水の流れをよく読み、絶対に漏れないような板金加工をする。板金職人は雨漏りの専門家でもあるんです」と乾さん。「水切りの作業は先輩職人から見て盗んで覚えました。昔は口が悪くて教えてくれない職人が多かったので苦労しました。今は徒弟制度のようなことはなく、自分が職人にちゃんと教えていますよ(笑)」
実は「乾板金工業所」は親子三代続いている歴史ある加工所です。「曽祖父が銅板加工職人で祖父が創業しました。私は親父の背中を見ながら育ったので、いずれは自分もこの仕事をするのだなと子供心に感じていました」
高校時代は自転車を装飾する“デコチャリ”をしたり、大人になってバイクをいじったり、機械を触るのは昔から得意だったそうです。「細かい加工作業が好きなので、これからも技術を磨いていきたいです。……仕事のスピードは速い方だと思いますよ」と、どこまでも謙虚な職人である乾さんです。
#chapter3
昨今はスマートでシンプルな家が多い建築業界ですが、松本には歴史的建造物も数多くあります。そのような建物にたずさわるのも乾さんのやりがいの一つで、最近の思い出深い仕事は『松本城天守』と『池上百竹亭』です。「松本城の天守屋根からの眺めは格別でした。『国宝旧開智学校校舎』が見えたのですが、実は開智学校の屋根の修理は祖父が手がけていたので、感慨深かったですね」
開智学校の屋根を手がけたおじいさんは、柔らかく加工の難しい銅板を得意としており実技講習の講師も行っていたという実力者。そして乾さんのお父さんも腕が良く、地域では知られた人でした。「地元で乾板金工業所といえば、今でも技術も人望もあった親父のイメージが強い気がします。そんな父のようになり、いつか超えられるようにこれからもがんばっていきたいです」
乾さんは町の各所で自分の作業したものが形になり、感謝される喜びを日々感じていると言います。仕事柄個人宅に伺うことも多く、乾さんの朴訥とした人柄からお茶に呼ばれることも多いのだとか。「打ち合わせや作業で直接お客さまに会えるのが嬉しいですね。いろんな話をして作業が終わり、最後に“ありがとう”を言われたときはやりがいを感じます」と話す表情から、優しさと誠実さを兼ね備えた職人らしさが伝わってきました。
「これからも地域との繋がりを大切にしていきたいです。雨漏り修理のときは気軽に電話してください。小さな箇所、一か所からOKです。松本市周辺ならどこでもお伺いします」と乾さん。住宅の外観や屋根に関する悩みを気軽に相談できそうですね。
(取材年月:2020年11月)
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Profile
親子三代に渡る屋根、雨とい、外壁の修繕・加工のプロ
乾祐輔プロ
建築板金業
有限会社 乾板金工業所
親子三代続く信頼ある、町の板金屋さん。より外観を美しくする板金加工を目指す職人で、DIYの相談にも対応します。松本市を中心にスマート住宅から歴史的建造物まで、施工実績あり。
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