音楽の楽しさを広め、若手演奏家をサポートするピアノ指導のプロ武内園子

音楽の楽しさを広め、若手演奏家をサポートするピアノ指導のプロ

武内園子

小さい子どもからシニアまで、楽譜を読み取る力を養い表現力をアップ

　「美しい音色で心を癒やしたり、躍動的なメロディーが元気をくれたり、楽曲がもたらす恵みを皆さんにお届けし、音楽を一生の友にしていただければと願っています」

　そう話すのは、仙台市にある「たけうちピアノ教室」の代表・武内園子さん。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会の仙台中央支部長であり、同協会が開催するピティナ・ピアノステップのアドバイザーとして、また各種コンクールの審査員として、数多くの演奏を評価してきました。

　奏者としての知見も併せ、個々の習熟度に応じて的確に指導。教室には初心者から経験者まで、年齢も4歳から70歳と幅広い層の生徒が集い、中にはオペラ歌手やピアノ講師など音楽関係の道に進む人もいます。

　「音楽を好きになり、生涯を通して楽しんでほしいという思いから、読譜力をつけることを最初のステップにしています。楽譜を読む力は、ピアノをはじめ楽器を演奏するための素地となります。途中で辞めてしまっても、譜面を見れば感覚を取り戻すことができます。何より、曲の世界観を理解し、自分らしく奏でられるようになります」

　生徒に寄り添うことも大事にしている武内さん。文字や五線譜の音符を読むのが難しい小さい子どもの場合、指に番号を付けて練習するところからスタートします。

　「自分のイメージを音で表現できるように、『太陽が出てきてポカポカした気持ち』といった身近で分かりやすい例を用いて、具体的な言葉で伝えることを意識しています。さらにレッスン中は生徒さんの良いところを積極的に伝え、何か『できたこと』を持ち帰ってもらえるよう心掛けています」

生徒の目標や希望に合わせたレッスンを提供するためピアノ教室を開校

　武内さんがピアノを始めたのは4歳のとき。祖父がピアノを買ってくれたのがきっかけでした。
　「家にクラシックのレコードがあり父がよくかけていたので、子どもの頃から時代を超えて愛される名曲に親しんできました」

　音楽大学に進学し、卒業後は楽器店の音楽講師に。生徒と向き合う中でピアノを深く学びたいという思いが湧き、ロンドンの生涯学習スクールに音楽留学します。

　「現地では、まわりの人から『あなたの英語は分からないけれど、ピアノの演奏はすてきだね』と言われたのがうれしくて、もっと上手になりたいと励みになりました。また高校生から年配者まで多様な人が学ぶ姿が印象的で、チャレンジ精神や前向きな心を養うことができました」

　帰国後は、決められたテキストで画一的に教えるのではなく、生徒に合わせたレッスンをしたいと、ピアノ教室を開設します。

　「発表会やコンクールに参加する・しない、どんなジャンルの音楽に取り組むかなど、生徒さんの目標や希望に沿って指導しています。仕事や家事で忙しい大人の方でも無理なく続けられるよう、それぞれのペースに合わせて進めています」

　ピアノ教室と並行し、クラシックなど音楽の普及にもまい進。地元の若手演奏家を応援すべく「株式会社S.A.musicking」という会社を立ち上げ、コンサートを企画・運営しています。

　「『一般社団法人〜東北を明るくする〜仙台ストリートピアノ協会』の代表理事も務め、ストリートピアノの設置を通して街を盛り上げたいと考えています」

コンサートやストリートピアノのイベントを通して若手演奏家の活躍を応援

　武内さんは、コンクール出場者や音大出身者が演奏家になっても、活躍できるシーンが少ない現状を受け、音楽の裾野を広げるべく尽力してきました。

　「演奏の場を求める若手の皆さんの一助になればと、市内のサロンなどでコンサートを展開しているのですが集客が難しいんです。興味を持ってもらえるよう、ストリートピアノのイベントも開いているので、気軽に音楽の魅力に触れて、鑑賞会に足を運んでいただければ幸いです」

　これまでに、百貨店や商業施設、公共の場所などでストリートピアノの催しを開催。地元のピアニストを招き、「たくさんの人に自分の演奏をアピールできて、存在を知ってもらう良い機会になっている」と喜ばれているとか。

　「オンラインショッピングが浸透し、買い物目的の外出が減っているようで、仙台の街では今、空き店舗が目につきます。コロナ禍を経て人と人との交流も減っているように感じます。音楽を通してにぎわいを作り、地域の活性化に貢献できればと思っています」

　「仙台ストリートピアノin定禅寺ストリートジャズフェスティバル」など、ストリートピアノを活用した催事は、会場となったビルや施設はもとより、周辺店舗の来客も増加。SNSでもストリートピアノの活動を発信し、投稿を見て来てくれる人も増えているそうです。

　「今後は、演奏家を目指す人のためにイベントのセッティングや出演依頼を取りまとめる団体を作ることも展望しています。若いアーティストが音楽で生計を立てられる仕組み作り、パフォーマンスを発揮できる場を提供していきたいですね」

（取材年月：2024年11月）

音楽の楽しさを伝える活動で、心を癒やし元気をくれる音楽を一生の友に

小さい子どもからシニアまで、楽譜を読み取る力を養い表現力をアップ

生徒の目標や希望に合わせたレッスンを提供するためピアノ教室を開校

コンサートやストリートピアノのイベントを通して若手演奏家の活躍を応援

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