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顧客との対話から弾きやすい状態を引き出す、初心者も相談しやすいギター調整・修理店

ビギナーにも優しい、顧客の特性に応じたギター調整・修理のプロ

佐藤駿介

佐藤駿介 さとうしゅんすけ
佐藤駿介 さとうしゅんすけ

#chapter1

言葉で表現しづらいギターの仕様について、実際に弾く人の気持ちを推し量り細やかに調整

 弾き手にとって快適なセッティングは、対話から生まれる。「一番町ギター」を営む佐藤駿介さんは、そんな信念のもとギターの調整・修理に当たっています。
 「大切にしているのは、お客さまとのコミュニケーションです。実際に弾く方が、どんな状態であればしっくりくるのかを対話の中から推し量り、頭の中にある引き出しから『これだ』という方法を選び出していくことが私の仕事です」

 店舗を構えるのは、JR仙台駅から徒歩約10分、仙台市青葉区一番町にあるビルの2階。個人工房はなんとなく入りにくい印象もありますが、佐藤さんが目指すのは、ビギナーでも気軽に立ち寄れる場所です。
 「音って抽象的ですよね。特に始めたばかりだと、どうもうまくいかないけど、何て表現すればいいか分からないということも多いでしょう。お客さまが抱く漠然とした違和感を解消するお手伝いをいたします」

 また調整は使い込む過程だけでなく、新品でも必要だとか。「新たに自転車を買う時と同じです。その人の体格や使用環境、目的に合わせて調整しないといい音は出ません」

 調整具合によって上達スピードも異なり、ドロップアウトする・しないにまで影響する可能性があると力を込めます。
 「ギター業界では、楽器を1回でも購入したことがある人は20人に1人。そのうち、演奏を続けてもう一度買い替える人は10人に1人と言われます。『せっかく買ったんだから上手にならなきゃ』とプレッシャーを感じることなく、もっと気軽にたくさんの人に楽しんでほしいのです」

 日常的にギターに親しむ人を増やしたいと、佐藤さんは中古品の委託販売を取り扱うほか中古楽器や機材の買い取りにも応じています。

#chapter2

「自分のギターって、こんな音がするんだ」調整で変わる音色、顧客の感動がやりがい

 佐藤さんがギターを手に取ったのは、北海道で過ごした中学時代。学友とバンドを組み、流行のJ-POPを演奏するようになり、ギターをいじるうちにのめり込んだと言います。
 「ギターは楽器として個体差もありますし、値段も1万円台のものから数百万円のものまでさまざまあります。音の好き嫌いはあっても、数字などで具体的に違いは説明できません。感覚的で繊細なところにギターの奥深さを感じました」

 高校卒業後は上京し、専門学校で2年間ギターについて学びます。日本有数の楽器街、御茶ノ水でギターの販売スタッフとして働き、自分の店を開く友人から声を掛けられて仙台へ。開業を後押しした後、佐藤さん自身も2018年に独立しました。
 
 職人として日々の業務に励む中で気付いたのは、「リペアマンにとって本当に重要なのは知識や技術ではなく、共感力だ」ということです。
 「今、理屈やノウハウはネット上にたくさんありますが、答えを見つけるのは容易ではありません。職人は寡黙で腕で勝負というイメージがありますが、お客さまとじっくり話して感性や個性を読み取り、ご本人にとっての正解を導き出すことが大事だと考えています」

 丁寧に言葉を交わした結果として表れた数々の変化に、感動を覚える顧客の姿を目にすることが佐藤さんにとって最高の喜びだとか。
 「『響き方が変わった』『自分のギターって、こんな音がするんだ』という反応が何よりもうれしいですね。お客さまにご満足いただけると苦労が報われますし、やりがいにもつながります」

佐藤駿介 さとうしゅんすけ

#chapter3

夢を追って音楽・楽器業界に入った仲間たちと、店舗展開を目指す

 今後は、理念を共有できる人と店舗展開していきたいと語る佐藤さん。理由は二つ。一つは、初心者であっても気後れすることなく相談できる場を設け、途中で挫折してしまう人を救いたいから。もう一つは、大きな志で音楽の世界に飛び込みながら、道半ばでやめていく仲間に進路を示し、業界を盛り上げたいからです。

 「みんな情熱を持って活動していますが、その道のりは険しく、決して楽ではありません。結婚や子どもの成長など、生活のために転職する人を数多く見てきました。続けたくても諦めざるを得ないというのは、あまりにも残念でさみしいことです」

 実は佐藤さんも東京にいた頃、2年ほど楽器業界と距離を置いていた時期がありました。しかし、強い意志で仙台に向かう友人の誘いを受け、業界に舞い戻ります。意気込みだけでは経営はできないと、同志と共にビジネススクールに入学。4年かけてMBA(経営学修士)を取得しました。

 「独立した時期と重なっていたので、勉強との両立は大変でした。ですが、『食っていくことと、夢を追うことは、いったん切り離さないと長くは続かない』とロジカルに考えて乗り越えました」と振り返ります。

 「ギターをやりたくてもサポートを受けられずに断念したり、期待に胸を膨らませながらも現実に直面して離れていったり。悔しい思いをする人を一人でも減らせるように、しっかり基盤を作っていくことが目標です。まずは仲間を増やし、裾野を広げていきたいですね」

(取材年月:2022年9月)

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ビギナーにも優しい、顧客の特性に応じたギター調整・修理のプロ

佐藤駿介プロ

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