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「地産地承」のM&Aを目指し、東北地方の経営資源を未来につなぐ

「地産地承」のM&Aで中小企業を支えるプロ

鈴木芳徳

鈴木芳徳 すずきよしのり

#chapter1

地域の中小企業の身近な窓口として、M&Aによる事業承継を一貫サポート

 中小企業経営者の高齢化や、後継者不足による廃業が深刻化する中、「他人事ではない」と感じている経営者は多いと思います。親族内承継が難しい場合には、M&Aによる第三者承継の選択肢があります。

 仙台市に拠点を置く「EMA(イーエムエー)」代表取締役の鈴木芳徳さんは、地元銀行での経験をもとに、M&A支援を展開。中小企業庁のM&A登録支援機関として、東北地方の中小企業が相談しやすい体制づくりを重視しています。
 「M&A支援会社は大都市圏に集中していますが、私たちは、地域の身近な相談先として伴走します。料金体系も、企業規模にかかわらず利用しやすいよう最低手数料を500万円からとし、着手金や月額報酬も不要にして分かりやすく設定しています」

 鈴木さんが掲げるのは、地域内で経営資源を承継する「地産地承」の考え方。
 「宮城県内にも人口減少が著しい地域が増えており、一つの企業が廃業すれば、地域の雇用が失われ、コミュニティーの衰退にもつながります。事業が継続すれば、働く場所が確保され、人の流出を回避できるので、地域課題解決のお役に立ちたいという思いがあります」

 M&A支援では、譲渡価格の算定から候補先の選定とマッチング、契約手続きや資金の決済などのクロージングまで一貫して対応。詳細な資料やこれまで支援してきた成約の実例などを示しながら、要望や意見にきちんと耳を傾けることを大事にしています。
 「『本当に売却していいのだろうか』『交渉内容に不満がある』など、迷いはどうしても出てくるものです。早急に事を進めるのではなく、心情にも寄り添いながら、経営者自身が納得して決断できるようお手伝いします」

#chapter2

20年以上の実績をもとに、複雑な社会福祉法人のM&Aにも注力

 鈴木さんは、独立以前の銀行員時代も含め、これまで23年間で100件以上のM&A支援、50件超の成約実績を誇ります。宮城県内を中心に東北から関東まで、介護や建設、運送など幅広い業種に対応してきました。
 「特に人手不足に困っている業種では、買い手側から、熟練の従業員や職人など人材も資産の一つとして評価されます。雇用を守りたいと考えている経営者には大きなメリットとなります」

 銀行での法人営業を通じて、幅広い業界の動向や地元の優良企業に精通しており、マッチングの精度が高く、さらに首都圏のM&A支援会社とのネットワークもあるため、幅広いニーズに対応できます。

 中でも注力しているのが、手続きが煩雑で難易度が高い社会福祉法人のM&A支援。特に印象深いのが、民事再生手続き中の法人から、運営する特別養護老人ホームとグループホームの売却先を探したいという依頼でした。

 「弁護士や裁判所、行政、金融機関などと調整を重ね、宮城県内の社会福祉法人への承継にこぎつけました。手続きが完了した当日、若手社員から『私たちを守ってくれてありがとうございました』と声をかけられ、報酬以上のものをいただいた思いがしました。今でも胸にグッとくるものがあります」

 後日、施設の夏祭りに招待され、従業員のいきいきとした姿を目にしたといいます。
 「若手社員がよさこいを踊り、地域の方々も集まって、みなさんが笑顔で過ごしていました。『地域に施設が残ってよかった』と心から思い、まさに地産地承の実現を感じました」

#chapter3

地域貢献への思いを軸に、地元銀行で定年まで経験を積み独立

 宮城県出身の鈴木さんは、生まれ育った地元への貢献を志して地元の銀行に入行しました。支店勤務を経て、本部の法人営業推進部署に長年従事。地元企業の声を聞き、さまざまな課題に向き合ってきたことが今につながっていると振り返ります。

 東北の金融機関では先駆けであったM&A支援事業の立ち上げを担当することになり、経験を深めました。定年退職後に、培ってきた経験と、弁護士や税理士などの専門家や金融機関、M&A支援会社などとのネットワークをもとに、独立することを決意。2024年に「EMA」を設立しました。社名は、「いいM&A」と「絵馬」をかけあわせているとか。
 「社名は、古代ギリシアの数学者、アルキメデスが浮力の原理を導いたときに叫んだとされる感嘆詞『Eureka!(見つけた)』にも由来します。企業の価値を導き出し、従業員や取引先なども含め、関わるすべての人が『イイね』と思えるM&Aを実現したいという思いを込めています」

 SDGsにも取り組み、教育と健康・福祉分野の団体などに事業収益の一部を寄付するなど、社会貢献活動を大事にしている鈴木さん。先行きを不安に感じている経営者に向けて、次のようにメッセージを送ります。
 「経営者は孤独になりがちですが、身近に相談先はあります。業績が落ち込むと、譲渡価格やマッチングにも影響するため、『もっと早く相談してくれていれば』と感じるケースもありました。一人で抱え込まず、早めにご相談ください」

(取材年月:2025年11月)

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専門家プロフィール

鈴木芳徳

「地産地承」のM&Aで中小企業を支えるプロ

鈴木芳徳プロ

M&Aコンサルタント

株式会社EMA

地域の経営資源を地域で承継する「地産地承」を目指し、中小企業のM&Aをサポート。銀行員時代から20年以上のM&A支援の経験があり、社会福祉法人やMBO含む実績も多数。身近な相談窓口として伴走します

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