人とまちが幸せになれるデザインを提案するプロ
宮﨑達也
Mybestpro Interview
人とまちが幸せになれるデザインを提案するプロ
宮﨑達也
#chapter1
「宮崎建築事務所」の代表・宮﨑達也さんは、一級建築士として住宅をはじめ店舗や事業所、教育施設、公共施設など幅広く設計。三重県鈴鹿市に本拠を構え、東日本大震災後からは復興に携わるため岩手県釜石市にも営業所を置き、2拠点で活動しています。
大切にしているのは「幸せのデザイン」。使いやすくて居心地がよく、丈夫で長持ち。家族の“よりどころ”となる場所をつくりたいという思いや願いを込めています。
「生活の場となりますから、おしゃれに、かっこよくといったご要望に加え、家族構成や生活スタイル、趣味、何を大切にしているのかなども伺います。皆さんが長きにわたり、心豊かに暮らしを紡いでいける住まいを提案しています」
宮﨑さんは空き家を活用したまちづくりにも注力し、古民家リノベーション、買い取り再販事業も行っています。
「鈴鹿市の伊勢街道にある町家を改装し、現代の暮らしにマッチした建物にリノベーションして販売する事業を行っています。例えば現在販売中の寺家の家は着物を染める型紙として使われた伊勢型紙職人の作業場兼住居で、職住一体の家です。広い土間と梁を表した吹き抜け、タイル張りの洗い場や井戸ポンプ、かまどを残した風情あるたたずまいです」
自社オフィスも築100年以上の町家をリノベーションしたもので、通りに面した出格子など往時の姿をそのまま残す一方、オフィスとして使い勝手がいいように内部を作り替えています。
「木や石、土、紙といった自然の素材から人の手で生み出される住まいは、ぬくもりに満ち、作り手の息吹を感じます。巧みに組み上げられた木材、繊細な装飾を凝らした建具など、先人の知恵と技がつまった建物は財産であり、次代に引き継ぎたいと思っています」
#chapter2
宮﨑さんの父親も建築士で、1982年に事務所を設立しました。「この建物はお父さんが設計したんだ」と誇らしげに語る姿を見て憧れを抱き、大学では建築学科を専攻。卒業後は名古屋の工務店に就職し、現場監督として現場経験を積みます。帰郷後は父親の事務所に入社し、製図などを勉強して資格を取得。2010年に後を継いで2代目となりました。
「設計に転向してからしばらくは、実技や法令などを覚えるのに必死で修行のようでした。10年がたち、ようやく自分がつくりたいものを描けるようになり、日々の業務を楽しめるようになりました。建築は何十年も形として残ることが醍醐味であり、街中で自分が手掛けた物件を目にすると喜びを感じます」
また、さまざまなアイデアを具現化できる点も仕事のおもしろさだと話します。
「例えば古民家では、趣を出すために正面玄関の壁には昔ながらの焼き杉を、側面や裏手には耐候性に優れたガルバリウム鋼板を張ることも。土壁やガラス戸など古き良き部分は残しつつ、住む人が使いやすいよう間取りや動線を整え、水回り設備を一新しています。当方のオフィスや『寺家の家』を見てもらえると伝わると思います」
通常設計監理をしていると、図面通りにすることが難しいと工事業者から相談を受けることもあるものですが、現場監督をしていた経験が生きると言います。
#chapter3
多様な案件を請け負う中で身につけた応用力で、住む人や使う人に合わせ、また立地や扱うものを考慮して、宮﨑さんは柔軟にプランニングしています。
「最近では、地元でプラスティック容器などを製造する事業者さまの社屋と工場の新設に従事しました。創業時はレンガ造りを原点とされていることからエントランスの風よけ壁をレンガのルーバーとして現代的に表現したり、自社でリサイクルされているプラスチックペレットを階段の踏み板に使用したり、お客さまの会社のアイデンティティーを随所に反映しました」
「復興の工事がおおむね完了した釜石市では、カフェや商店、ゲストハウスなどのインテリアデザインを行っており、企業、個人、そして地域の特性を読み取ってデザインに盛り込んでいます。復旧の段階を終えた今はまちの価値を高めることを心掛けています」
一方本社のある鈴鹿市の白子地区では、古民家リノベーションを通して地域の慣習や文化の保全・継承に貢献していくことも目標としています。
「建物を新しく建て替えると、現在の建設価格の高騰による予算不足の傾向もあり個性のない建物になりがちで、どこも同じような景観になってしまうのが残念です。重厚感のある瓦屋根をたたえた家屋が軒を連ねる日本らしい街並みは、海外からの旅行者に人気があるので観光誘致にもつながります」
ものづくりの伝統と地場の歴史に育まれた古民家を再生していくことを、自らの使命とする宮﨑さん。「その地域ならではの魅力を伝え、アイデンティティーを残していくために力を尽くしていきたいですね」と熱意を語りました。
(取材年月:2024年12月)
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Profile
人とまちが幸せになれるデザインを提案するプロ
宮﨑達也プロ
建築設計、不動産
株式会社宮崎建築事務所
住む人・使う人の要望に、独自性や斬新なアイデアを加えたデザインを提供。住宅、一般建築から店舗デザイン、古民家リノベーションまで、幅広い経験と知識により培った応用力で「幸せのデザイン」提案します。
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