技術士の知見を生かし技術・経営・人を育てるプロ池田和人

技術士の知見を生かし技術・経営・人を育てるプロ

池田和人

『仕事が終わった時、人が育っている』という一石二鳥を実現

　「池田和人技術士事務所」の池田和人さんは、総合技術監理部門と化学部門の技術士です。化学コンビナートで、合成ゴム、透明樹脂、熱可塑性エラストマー、半導体材料、液晶ディスプレー材料、光ファイバーコーティング材料の国内外のプラント建設プロジェクト、プロセス開発、生産技術そして海外技術ライセンス等に関与してきました。現在、これらの仕事で培った能力を生かして、企業指導、大学の非常勤講師、セミナー講師、書籍・雑誌の執筆に尽力しています。

　「総合技術監理部門と化学部門の二つの部門の技術士以外に、エネルギー管理士、公害防止管理者（大気Ⅰ種）、高圧ガス保安管理者（甲種化学・甲種機械）、危険物取扱主任者（甲種）の国家資格も有しており、これらの資格に関する仕事であれば、職種を問わず対応が可能です」と池田さん。

　顧客は、大手企業から中小企業までさまざま。技術がわかる者として、製造業だけでなく、金融機関などの手伝いもできるといいます。さらに、企業を訪問し、社員向けのセミナーを行うことも可能です。池田さんは『仕事の成就と人作り』の一石二鳥の実現を目指す技術士です。

国内外の多数のプロジェクトに関与してきた化学工学の技術士

　総合技術監理部門と化学部門の技術士である池田さんは、長年、化学コンビナートでプロジェクトや生産技術に関与してきました。また、対価を得て技術ノウハウを海外に売る技術ライセンスの仕事にも長年関わっています。技術ライセンスとは、『完成した製品を売るより製品の作り方を教えた方が良い』という原理を実現する仕事です。

　池田さんは、化学コンビナートで、合成ゴム、合成樹脂、半導体材料、液晶ディスプレー材料、光ファイバーコーティング材料などのプラント設計や生産技術に携わり、現在は、池田和人技術士事務所の代表として、企業指導をはじめ、大学の非常勤講師、出版会社等が主催するセミナーの講師、書籍や雑誌の執筆などに尽力しています。

　「企業指導の一例を紹介すると。ある大手企業で新製品の上市に対するリスクアセスメントを指導しました。まず、若手担当者の方からの技術情報をもとにリスクアセスメントの手順とフォーマットを提示しました。そして、その若手担当者の方とブラッシュアップを重ねた後、その企業の東京本社に出向き、各部門の幹部の方々を交えてリスクアセスメントを実行しました。その席では、各部門の持ち前が発揮された実のある議論が繰り広げられ、さらにレベルの高いリスクアセスメント手法の考案にもつながりました」

　池田さんは、『目的を共有した上で異なる知識を融合すれば技術が育つ』と語っています。
　「その企業の若手担当者の方は非常に有能なエンジニアでした。『日頃の職場で味わえない外からの刺激を通じて自己の成長を一層感じてくれた』のではないでしょうか」

目的から各論へ。演繹法の論理が仕事を早める

　「若いうちに会社経営の目的と市場原理を教えた方が早いと考えています。日本の会社は、各論から目的に向かう“帰納法の論理”で教育を進めるが、目的から各論を考える“演繹法の論理”を伝授した方が早いです」池田さんはそのように語っています。確かにプロの料理人は長い下積みを経ることが当たり前とされていますが、顧客満足の原理と店舗経営の手法を知った上で細かな仕事をした方が細かな仕事の価値がわかるのかもしれません。

　「会社というものが見えてきたのは入社してから10年後でした」
　池田さんによれば、技術系の会社に入社すると、技術は覚わるが、何となくモヤモヤ感を感じるそうです。一方、池田さんが会ってきた海外の有能な技術者たちは、「大きな目的を実現することから考える」と言います。
　「帰納法で考えがちな日本人に演繹法という考え方のコツを伝授したいです」

　「じっくり計画を練るための左脳だけでなく、ひらめきやイメージを担う右脳を育てなければなりません。そしてそのために、日常の職務に外部の刺激を入れなければならないと考えています」
　池田さんは、「国内外のプロジェクトを通じていろいろな人と仕事をしてきたことが能力向上につながった」と語っており、そのために技術士という専門家を大いに生かしてほしいと言います。

　「脱炭素やデジタル化も実行するのは人です。人が育てば会社が育ち、国が育ちます。そして国が育てば歴史になります。大局的な視点で本質を見抜ける本物の技術者を育てたいですね」

（取材年月：2024年4月）

化学工学の技術士が技術と経営そして人を育てる

『仕事が終わった時、人が育っている』という一石二鳥を実現

国内外の多数のプロジェクトに関与してきた化学工学の技術士

目的から各論へ。演繹法の論理が仕事を早める

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