屋根瓦のプロ
服部竜大
Mybestpro Interview
屋根瓦のプロ
服部竜大
#chapter1
山三瓦工業は、天保年間に創業して、現在170年以上もの歴史ある瓦屋です。代表を務める服部竜大さんは、現在8代目。地域密着型スタイルを貫いて、三重県四日市市の屋根を守り続けてきました。
創業当初から製瓦業を主として営んでいましたが、先代からは新築屋根工事はもちろん、屋根葺き替え、屋根修理といった、今ある瓦屋根を後世に残すための事業を手がけてきています。
元々製瓦業を営んでいたからこそ、古い材料や他ではなかなかないレアなものを多く持っていることも、歴史ある家業だからこその強みです。
「瓦屋根の家は減少傾向にあることも事実です。しかし、瓦は日本文化の1つ。後世に繋げていきたいという思いは強くあります。そのためには、今あるものを残し活かすことも1つ大切な仕事でしょう」と服部さんは話します。
日本の瓦には、1,400年もの歴史が詰まっています。そこには、雨漏りをさせないための工夫が詰まっており、ものとしての文化だけでなく、瓦に関わる技能・技術の文化も残していくことが、今後の課題になっているのです。
歴史ある瓦屋、歴史を残していくための職人とはいっても、新しいことを取り入れていくのも服部さんの強み。3年前からはドローンによる屋根診断を無料で行なっています。古くからの歴史を持つだけでなく、新しいものを取り入れ続けていくことも未来へ歴史や事業、文化を繋いでいくための挑戦です。
また、瓦を後世に残していくためにも、文化財を手がけていくことに服部さんは着目しています。そのため、文化財の所有者団体に所属し、古民家鑑定士の資格を取得するなどの取り組みも行っているそうです。家は住む人、利用する人がいなければより傷んでしまうもの。古民家をカフェとして利用するなど、残していくための工夫にさまざまな方面からの関わりを考えているのです。
#chapter2
屋根トラブルで1番多いのは、やはり「雨漏り」だと言います。しかし、一口に雨漏りとはいっても、その状況の違いも家の数だけあるのです。
「屋根の修理は、ただ単に修理するのではなく、そこに住む人が今後その家をどのように使うのかによって変わります。その家をどう使うかを考えた上で1番優先的な修理の仕方、プランの立て方を提案するのが我々の仕事だと思っています」
例えば、築50年の家屋で雨漏りがあった場合。1箇所の修理だけでは追いつかず、全面葺き替える必要があるケースも少なくありません。しかし、その家に住む人が「来年には取り壊す予定がある」というのであれば、全面修理してしまう必要はないと服部さんは話します。反対に「のちに孫がこの家を継ぐ予定がある」というのであれば、屋根替えを勧めるのだとか。
「私は先を考えずむやみに修理してしまうのは良くないと考えています。そこに住む方がどうやったら1番幸せになるかを考えて提案することを心がけています。住んでいる人があってこその家、屋根瓦。その家をどう使うかを考えた上で1番最適な修理の仕方、プランの立て方があると思うのです」
#chapter3
雨漏りは、専門家に相談するまでに意外と時間がかかってしまっているケースが多いと言います。雨漏りはちょっとしたことを見落としただけで、気がつけば大変なことになってしまっているケースが多い反面、ちょっとしたことに気をつけるだけで雨漏りは止められると服部さんは話します。
「屋根は、家屋の根本。家の中で最も過酷な環境に耐えているのは屋根です。そして屋根には、その地域の気候に適応してきた人間の歴史が詰まっています。ほんの少し屋根に対する気遣いを持つことが、家を長持ちさせることに繋がるのです」
早期発見早期治療が、家屋のためにも1番だと服部さんは話してくださいました。伝統的な屋根と工法の家屋をたくさん後世に残していきたいと考えている服部さんは、建物の所有者に屋根の知識を持ってもらうことが大切だと考えているそうです。
山三瓦工業は現在、「三方よしの屋根点検」という、ドローンを使った屋根の点検費用の全額を、自然災害によって被害を受けた地域へ寄付をする被災地支援プロジェクトにも参加しています。服部さんは、日常生活においても相手よし、自分よし、みんなよしとなり、世界中が明るく幸せな世の中になることを願い、歴史と家屋を守り続けます。
(取材年月:2020年5月)
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Profile
屋根瓦のプロ
服部竜大プロ
瓦屋根職人
有限会社 山三瓦工業(ゆうげんがいしゃ やまさんかわらこうぎょう)
山三瓦工業は、天保年間の創業から170年以上に渡り、四日市市で地域密着スタイルを貫き続け、現在8代目。地元に暮らす人々に寄り添って続けてきたからこその、信頼や蓄積した技術、経験は、何よりの強みです。
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