汚れた車内シートを蘇らせる洗浄のプロ青山好一

汚れた車内シートを蘇らせる洗浄のプロ

青山好一

本業のかたわらで始めた車内クリーニンングで可能性が広がる

　三重県津市の中南部に位置する庄田町は、のどかな農村地帯と工業団地が周囲に点在する静かな町。この地に昭和56年に設立された『有限会社　青山商店荷役』は、主に地元の製菓メーカー・自動車部品や県内外の大手製造メーカーの荷物を扱う運送会社です。運送業は通年にわたり、毎月同じような物流が動くわけではなく、季節ごとに大きな変動があるそうです。
配車業務を中心に会社全体を統括する青山さんは、比較的配送業務が落ち着く時期に、何か別のことができないものかと考えていました。配送業務には大型のトラックが必須ですが、担当の従業員が交替するごとに頭を悩ますことがありました。それは車内の汚れや臭いです。従業員によっては喫煙者もいるし、また車内での飲食によってシートが汚れてしまうこともあります。従業員に気持ち良く業務に携わってもらうため、青山さんは、神奈川県にある自動車内装クリーニングを専門とする工房の門を叩きました。研修を受け、車内クリーニングの技術を身に付けた後、三重に戻り自社トラックのシートを美しく整備。従業員からの予想以上の反応に、「これは事業になるのでは」と青山さんは考えました。
最初は口コミで月に1件ほどの受注からスタート。顧客から話をうかがうと良質な車内クリーニング業者になかなか出合えずに、同社にたどりつくまでに苦労もあったのだとか。このようなエピソードを聞くたびに、困っている人々の力になりたいと広報活動にも力を入れなければと思うようになりました。またトラックを使う同業者へ少しでも役に立てるなら、という思いもあったのでしょう。
同社は10tから2tトラックまで大小合わせて40台ほどの配送車を所有しています。それぞれのトラックが車内だけでなくボディも美しく維持されています。仕事への姿勢が、トラックの維持管理を見ても感じられるほどです。フレンドリーな人柄と綺麗好きの青山さんならではの事業展開。これからの活躍ぶりに期待に胸が膨らみます。

トラックのシートを美しくしたい思いがきっかけに

　(有)青山商店荷役では、本業の運送業務のほかにも、異業種への展開を進めています。2012年から始めた洗浄の事業は、「自家用車、トラック、介護・病院送迎車のシート洗浄や、オフィス・飲食店・式場のイス洗浄」を対象にしたものです。専門的な器具と洗浄液を使い、汚れたシートやイスを驚くほど美しくよみがえらせます。特に、おう吐などによる強烈な汚れやニオイもすっきりと除去。
　「運送業をやっていてわかることですが、トラックのシートは思いのほか汚れるものです。仕事環境を整えるためにもシートの洗浄は必須です。それを事業にしました。アットホームな社風なので、一般の方々からもご依頼のお電話を頂きます。また一度頼まれた方からは、何度かご利用頂いており、シート洗浄の良さを実感して頂けたのだと思っています」と青山さん。実際にトラックのシートの洗浄をしているところは少なく、同業者からの依頼も少なくありません。　その洗浄の手順は、まず除菌・消臭剤などが配合された洗剤を塗布し汚れを浮かします。次に消毒・静電防止・抗菌在などを配合した洗剤を塗布しながら、汚れを吸引。あとはシートを半日程度乾燥させれば出来上がりです。きれいな車内環境だからこそ、良い仕事が生まれる―。そんな青山さんの思いが伝わるようなお仕事です。

新社屋と共に大きな未来へ向かう

青山さんは現在42歳。(有)青山商店荷役は、もともとは、食品工場の従業員だった父親が脱サラして立ちあげた会社でした。そんな父親の背中をみながら育った青山さんは、専門学校に進み家業の役に立つ整備士の資格を取得。卒業後も、より専門的なディーゼル車整備の資格も取り、親子で運送会社を営んできました。
昨年4月、以前の本社と近い場所に新たに社屋と倉庫を建築し、移転開業されました。「トラックが増えてきて新しい場所を探していたのですが、近くに良い敷地がありましたので」と青山さん。新社屋の敷地面積は、1,800坪に及びます。物流倉庫は1,000坪。大量の荷物が保管されている倉庫を歩いて一周するだけでも、その広さが実感できます。
この倉庫もトラック同様に美しく整理整頓され、食品物流を扱うプロの仕事が垣間見れます。
もともと家業を継いでいなければ飲食店をやりたかったという青山さん。「人と接する仕事が好きなんです。運送業では限られた方々とのやり取りしか生まれませんが、新しい事業を展開し、世界が広がっていけば嬉しい」と笑顔もほころびます。
(取材年月日：2016年5月)

信頼される配送事業のポイントは、美しい車内シートの維持に秘密あり。

本業のかたわらで始めた車内クリーニンングで可能性が広がる

トラックのシートを美しくしたい思いがきっかけに

新社屋と共に大きな未来へ向かう

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