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どんぐりから育てる循環型林業の原木栽培で、おいしいキノコと美しい里山を次世代へ

キノコの栽培を通じて里山の景色を次世代へつなぐプロ

宮西真也

宮西真也 みやにししんや
宮西真也 みやにししんや

#chapter1

原木シイタケを主力に、「京茸」ブランドのキノコやおばんざいを展開

 山々に囲まれ、森林が約9割を占める京都市の京北エリアで、農林産物の生産と加工に取り組む「百里衆(おざとしゅう)」の代表・宮西真也さん。オリジナルブランド「京茸(きょうたけ)」を掲げ、4種類の原木キノコを手掛けています

 「『木の子』が語源とされるように、木の栄養を蓄えたうま味たっぷりの品をお届けしています。主力とするのは、クヌギやコナラなどの天然木で栽培する、原木シイタケの『京ぽんぽん』です」

 山から切り出した木に穴をあけて菌を打ち、菌糸が木質繊維に沿って伸びて養分を吸収。土地の風や湿度・温度を読み、十分に菌を回すことで成長を促します。

 「培養期間は半年以上で、手間も時間もかかりますが、身が詰まってぷりっとした食感があり、肉厚でジューシーな味わいをご堪能いただけます。食材にこだわる京都の料理店、主に関西圏の百貨店やホテルチェーン、星付きのレストランに出荷し、道の駅やECサイトでも販売しています」

 ほかにも、マイタケの「京おはな」、ナメコの「京でぼちん」、レイシの「京てずま」と原木による商品を用意。手塩にかけた素材を「おばんざい」シリーズとして展開もしています。

 宮西さんは森づくりにも励み、どんぐりを拾い、苗木を育てて植樹し、必要な分だけ伐採。使い終わったホダ木は、埋め込みマット等の昆虫商品として余すところなくリサイクル活用しています。

 「地域の大切な資源として、里山を保全したいと考えています。『伐(き)って、使って、植えて、育てる』持続可能な循環型林業を通じて、緑あふれる森のストーリーを未来へ紡いでいきたいですね」

#chapter2

森林公園の管理でキノコ狩りを担当したのをきっかけに、栽培をスタート

 1978年に京都市右京区で生まれた宮西さん。茶室などの建築に用いられ、平安の時代から銘木として知られる北山杉の産地であり、京都府立北桑田高校の森林リサーチ科へ入学。地場産業の林業について学習し、進学先の北海道の酪農学園大学では環境学を履修。卒業後は関西へ戻り、飲食店や外資系大手のスーパーマーケット、デジタル広告の制作会社に勤務しました。

 「食事を提供したり、食品を扱ったり、商材の宣伝に携わったり。実務を通じて、顧客や市場のニーズを捉える視点や、ターゲットに情報を発信するスキルが身につきました。サラリーマンの頃に培った商品の流通・プロモーションに関するノウハウは、現在の事業でも大いに役立っています」

 会社勤めを経て、母が運営していたNPO法人「森守協力隊」の事務局に入職。管理を担っていた京都市の森林公園で、現場責任者を任されたことが転機となります。

 「キノコ狩り体験を担当したのをきっかけに興味を持ちました。栽培に乗り出しましたが、周囲に教えてくれる人がおらず。気温や天候がキノコの生育にどんな影響を与えるのか、つぶさに観察し、実践と改善を繰り返しました」

 園内のバーベキュー場で食してもらい、評判も上々。公園の閉鎖が決まると、購入者から「栽培を続けてほしい」との声が寄せられ、一念発起。2023年に独立しました。

 「社名の『百里衆』は、里山と共に歩む百姓集団を意味しています。美しい里山の景色を後世のために守る、かけはしでありたいと思っています」

宮西真也 みやにししんや

#chapter3

空き家管理も手掛け、古民家のリフォーム・リノベーション事業も構想

 「市場に出回るシイタケは、短期間で安定的に供給できることから、おがくずや米ぬかを固めたブロックを使用する菌床栽培が主流です。口にする機会が少ないせいか、原木栽培との違いをご存じない消費者がほとんどで、残念でなりません。自然の中で育てる伝統的な林業の価値と、森の恵みがもたらす豊かな風味を1人でも多くの方に伝えたいと考えています」

 宮西さんは、生産者が減少し、国産原材料の確保が困難になっていると懸念。危機的な状況を打開し、連綿と続く里山の営みを絶やさぬよう、「農業界では珍しいフランチャイズのような仕組みをつくりたい」と意欲を見せます。

 「高齢化などを背景に廃業される農家さんが増えていますが、放置すると原木が朽ち、人が入らなくなると山も荒れてしまいます。私たちが譲り受け、現地に赴いて仲間を募りながら仕事を継続する。いわば百里衆の分身が全国の拠点で活動し、各地の里山を維持管理していくビジネスモデルを目指しています」

 初期投資や販路確保という障壁を組織的にカバーすることで、志ある若者がリスクを抑えて参入できる土壌を整えることを構想。地域の発展を願う宮西さんは、古民家をリフォーム・リノベーションする事業も視野に入れています。

 「空き家を賃貸物件として再生させた経験があり、右京区近隣を対象にお掃除などの管理サービスも承っています。手入れすることで移住者といった新たな住人を迎え入れ、にぎわいのある街づくりもお手伝いしたいですね」

(取材年月:2026年2月)

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宮西真也

キノコの栽培を通じて里山の景色を次世代へつなぐプロ

宮西真也プロ

農業

株式会社百里衆(おざとしゅう)

シイタケを中心としたキノコ類の栽培を手掛ける。原木栽培にこだわり、どんぐりから苗木を育てて植林し、原木として活用。使用後は埋め込みマット等の昆虫商品として余すところなくリサイクル利用されています。

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