企業の人材活用体制の強化と個人のキャリア形成支援の専門家臼井成美

企業の人材活用体制の強化と個人のキャリア形成支援の専門家

臼井成美

実情に合わせたプロセスで、人的資本経営という組織の支援と個人のキャリア形成支援の両面からサポート

　社会や企業を取り巻く環境が大きく変化する中、人材定着や人材活用、サステナビリティへの対応などに課題を抱える中小企業は少なくありません。

　「未来につながる選択肢を全ての人に」をコンセプトに、企業の成長に欠かせない人的資本経営と、個人のキャリア形成の両面から支援を行う「シェアワーク研究所」。人材不足や多様な働き方に対応するため「ワークをシェアする」「シェアをワークさせる」という2つの思いを込めて、企業の人材戦略や組織づくりを後押ししています。

　「人生100年時代に、多様な人生設計が求められる一方で、企業も個人も具体策を見出せずにいるのでは」と語るのが、代表でキャリアコンサルタントの臼井成美さん。
　事務所を置く神奈川県内に限らず、さまざまな企業活動の現場へ足を運び、課題を見極めたうえで、人材戦略に関するコンサルティングや研修など、実情に合わせた支援プログラムをカスタマイズして提供しています。

　「社外からスキルや経験を持つ人材を受け入れ業務をシェアすることは、有効な取り組みの一つですが、現状では高度な専門性や実績を持つ一部の人が、限られた分野で活動するにとどまっています。外部人材が社内の各層の人と関わりながら、存分に力を発揮できる受け入れ体制の整備を通して、双方の可能性を広げ、社会全体が円滑に機能できる未来を目指しています」

　地域創生や法務、経営といった多彩な分野で実績のあるパートナーとネットワークを結び、専門性の高いアプローチも可能。さらにデータ分析やフィードバックも徹底するなど、「研究機関」の役割も担います。

「誰かの役に立つことをするために、何ができるか」新しい環境を自らの舞台に変える覚悟を貫く

　臼井さんは転勤族の家庭で育ち、幼少期は関東から九州へ、2度の転校を経験。社会人となった後も、地方の中堅企業から東京の外資系ベンチャー企業、マーケティング関連企業、大手保険会社と3度の転職を経験して、新しい環境で自らの役割・スキルを磨いてきました。

　「どこへ行っても地元出身と間違われることも多く、方言の違いや人間関係には、さほど苦労しませんでした。ステップアップのためのキャリアチェンジでも、勤務先の事情であっても、環境を変えることに抵抗は少なかったです」

　ところが、30代で病気が発覚し、これまでにない覚悟を強いられます。
　「『治療しなければ、10年ほどで深刻な事態になる可能性が高い』と告げられました。幸い、治療方法を考える時間はあり、その時にもし10年しか生きられないとしたら、何をやっておきたいか？を考えました。心に浮かんだのは『母になる』『誰かの役に立つことをする』こと。これまでの転職経験やマーケティング、人材育成のスキルを活用していきたいと考えるようになりました」

　子育てと治療を続ける中、当時新設されたダイバーシティ推進室への異動が実現しましたが、直後に母親の介護で離職を余儀なくされます。
　「多様な働き方の実現をリードするべき立場だったにも関わらず、皮肉にも私が介護離職をしてしまった」と臼井さん。個人が大きな決断を下すのが難しいように、社会の意識を変えることもまた容易ではないと、臼井さん自身が実感することとなったのです。

閉塞感を抱える世代にも「次の一歩」を選べる力を

　在籍中から転職相談を寄せられるたび、自分らしい働き方を応援してきた臼井さん。本格的にキャリアコンサルティングを学び、2019年からキャリアコンサルタントとして活動して以来、誰もが自分らしく前向きに生きられる社会の実現を目指しています。

　「例えば女性活躍の施策など、数値目標が設けられている課題については、一時的な達成ではなく継続的に成果を出し続けられるよう同じ目線で伴走サポートしています。さらに今後力を入れていきたいのは、団塊ジュニアと呼ばれる40代から50代の男性への支援です」

　介護離職の際、同僚男性が「理由はどうあれ、退職できるなんてうらやましい」とこぼしたことがありました。驚くことに、同じ思いを口にする人は他にもいたとか。

　「この世代は就職氷河期・景気の低迷期といった過酷な時代を過ごしてきて、人生100年時代となり今までとは違う生き方の選択を求められています。社会の中心を担う世代が明るい未来を描けなくては、次の世代が社会に閉塞感を感じてしまうのも止められません」

　これまで約2700時間を費やし、一人一人のキャリアに向き合ってきた臼井さんは、「強みのない人はいない」と断言。自信を取り戻すための対話を重視しています。

　「多くの人が自分自身に備わる価値に気づいていません。第三者の視点から能力や魅力を再発見し、次の一歩を選べる力につなげたいですね」

　変化を糧にして、しなやかに歩みを進めてきた臼井さんの力強い言葉が、未来への歩みを後押しします。

（取材年月：2025年8月）

変革の時代に、組織と人の成長を促すソリューションで新たな一歩を

実情に合わせたプロセスで、人的資本経営という組織の支援と個人のキャリア形成支援の両面からサポート

「誰かの役に立つことをするために、何ができるか」新しい環境を自らの舞台に変える覚悟を貫く

閉塞感を抱える世代にも「次の一歩」を選べる力を

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