筋膜リリースで腰痛の根本改善を目指す整体師安富大悟

筋膜リリースで腰痛の根本改善を目指す整体師

安富大悟

「痛みの情報」が肝。じっくり時間をかけてカウンセリング

　なかなか良くならない腰痛。医者には「骨に異常なし」と言われたけれど、痛みが引く気配はない。原因不明が多いとされる腰の悩みに、長年培った技で応えるのが「整体院すみれ」の安富大悟さん。生まれ育った相模原市に店を構え、繊細な施術で腰痛を抱える人たちに手を差し伸べます。

　骨と筋肉を包み込んでいる薄い膜を解きほぐし、滑らかな動きへと導く「筋膜リリース」が主な整体術。施術後に痛みが再発しないよう、丁寧に筋膜をほぐし血行を促します。また、その場限りの処置にとどまらず、自宅でのセルフケアの方法もレクチャー。利用者と二人三脚で改善に取り組んでいきます。

　「痛みに関する情報を事前にどれだけ得られるかが肝」と話す安富さん。普段どんな生活をしているか、どれだけの時間どんな風に体を動かしているか、動作のくせは……。余談を交えながらも、施術前に徹底したカウンセリングを実施。「初回の方だと、1時間半〜2時間ほどかかる場合もあります。日常の行動を聞くうち、まったく違う場所に痛みの原因が見えてくることもあります」

　利用者の中には「話はいいから、ただ痛いところをケアしてくれればいい」という人も。しかし過去の経験から安富さんは首を縦に振りません。

　以前勤めていた接骨院で「とにかく押してくれ」という中年男性が訪れた際、安富さんは「『第六感』が働いて、危険信号が鳴った」と言います。施術を拒否したところ、中年男性は怒りを爆発させそのまま帰宅。ところが後日、その男性が腹部大動脈瘤（りゅう）だったと判明します。「あの時もし私が押していたら、亡くなっていたかもしれません」

現状維持ではなく改善を。独立に至る思い

　前述の男性の件を機に、施術を受ける人を守る責務を人一倍感じるようになりました。さまざまなリスクを想定し、対処できるよう勉強を重ね、いまも技術の向上に努める安富さんが、整体に興味を持ったのは高校時代。陸上部で毎日20〜30キロの長距離を走った後の、部員同士のマッサージが極上のひと時でした。
「重かった足が羽のように軽くなり、素人ながらも『まるで魔法のようだ』と感じました。社会に出ていくつかの仕事に就く中『手に職を』と考えた時、当時の出来事を思い出しました」

　以来、整体一筋。整体の専門学校を卒業後、整骨院を運営する会社を渡り約10年、多くの利用者に施術をしてきました。院長を務めるなど実績を積んでいましたが、徐々に安富さんの中に不満が蓄積していきます。「保険内では施術の種類と施術時間が限定されている。これでは現状維持はできても改善に結びつかない」。保険でまかなえる限界を知ったと言います。

　これまで培った技術を使えば、もっと良くなるかもしれないのに。その歯がゆさから安富さんは、独立へと向かいます。2020年、「自身の経験をいかし、生まれ育った地元に恩返しをしたい」と相模原駅のすぐそばで開業しました。
対話を通じて利用者の悩みを引き出し、痛みの元に適切にアプローチする安富さんの施術は評判を呼び、予約の電話やメールが多数。朝7時から夜11時まで休まず手を動かすことも珍しくないそうです。

世の中から腰の悩みをなくしたい。目標は「世界一のセラピスト」

　これまでの施術実績は4万人以上で、利用者の層も13歳の剣道少年から、起業への意欲を燃やす95歳の高齢者までさまざま。最近では慣れない在宅ワークで腰を痛め、足を運ぶ若い人も増えたそう。「整形外科に行き、整骨院に行き、それからうちを頼ってくれている人が多い。みなさんが、いつでも駆け込める『避難所』のような存在になりたい」と話します。

　また「腰痛の怖さに世の中がもう少し敏感になってくれたら」とも。「腰痛は国民病と言っても差し支えないほど大勢の人が苦しんでいます。学校で、腰の痛みをとる方法などを教える時間をとってほしいぐらいです。腰痛になる行動やその対処法を事前に知れば、施術を受けなくてはならない方は減るはずですから」。痛みにより日常生活に支障が出る可能性もあるので、軽んじてほしくない。安富さんはそう訴えます。

　同院の名前は、花言葉「誠実」「謙虚」「小さな幸せ」を持つスミレの花から取りました。「常に誠実で謙虚でいたいとの思いと、ご利用いただく方々に幸せになってほしいという願いを込めました。それにスミレはローマ字で書くとスマイル。多くの人が腰痛から解放されて元気に、そして笑顔になってほしい」

　展望を聞くと「世界から腰痛をなくすこと」と安富さん。「目標は『世界一のセラピスト』になること。これからも技術を磨き続け、世の中の腰痛の方を助けていきたい」。しなやかな手先と知識を武器に、慢性痛の悩みに向き合います。

（取材年月：2021年7月）

腰の痛みの根本改善を目指して丁寧に施術

「痛みの情報」が肝。じっくり時間をかけてカウンセリング

現状維持ではなく改善を。独立に至る思い

世の中から腰の悩みをなくしたい。目標は「世界一のセラピスト」

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