マンションと住民を守るマンション管理士峰平宣明

マンションと住民を守るマンション管理士

峰平宣明

管理会社と住民の間に立ちマンション運営にまつわる問題に対応

　「『自分たちが住むマンションは、自分たちで守りたい』。そう考えるマンション住民と管理組合をサポートするのが、私の仕事です」と、関西弁まじりのやわらかな口調で語るのは、「峰平マンション管理士事務所」のマンション管理士・峰平宣明さん。マンション管理を委託された管理会社と住民がつくる管理組合の間に立ち、マンション運営の提案・助言を行っています。

　峰平さんのもとに多く寄せられるのは「管理会社が委託された仕事をきちんとしない」という相談です。

　「設備や施設の点検・修繕を行わない、会計業務が滞るなど、ずさんな管理では円滑なマンション運営が損なわれる上に、資産価値も低下します。管理会社は、住民が気付かないことにも先行して対応すべきです」

　峰平さんは、改善されない場合は契約を解除し管理会社の変更も検討。複数の管理会社から見積もりを取り、各社にヒアリングを行った上で管理組合に内容を提出するなど、管理会社選びをサポートします。契約の手続きから、その後の管理会社の業務チェックも継続して行っています。

　峰平さんいわく、管理会社を変えなくとも、毎月の管理費を精査し、見直すことが必要だとか。
「清掃や点検・修繕を請け負う業者のほとんどが管理会社の協力会社。かなりの手数料が上乗せされています。経費をおさえるために、新たに各業務の専門会社から見積もりを取り、内容・金額ともに納得できる会社と直接契約を結びます。管理会社とはその業務を外して再契約。これで管理費はかなり削減できます」

長期的な修繕計画には注意が必要、専門家によるチェックで問題点を改善

　日本でマンションの建設が始まって半世紀近くが経過。管理会社の不適切な管理などによる資産価値の低下、スラム化が社会問題となってきました。そこで、2001年に「マンション管理適正化法」が施行され「マンション管理士」という国家資格が生まれました。

　マンションの管理業務の中でも、長期的な修繕計画は特に重要と峰平さん。「管理会社でも『長期修繕計画書』を作成していますが、項目に不備があったり、かなり高価な金額設定だったりすることも。そのままでは必要以上に積立金を増額されたり、大規模修繕工事時に多額な一時金を請求されたりします」

　トラブルの発生を防ぐため、峰平さんが専門家の目で各項目と金額をしっかりチェック。建物の診断調査から見積もりの取得、業者選定を行い、適正な金額と内容の修繕計画を作成します。

　また、管理費の滞納も将来の修繕費の不足につながる大きな問題です。ところが、管理会社の中には数回督促するだけで回収まで責任を持たないことも。
「管理組合が行うにしても、住民同士での督促はしづらいものです。その場合も、私が督促業務や法的手続きを代行します」と峰平さん。資産価値の維持から住民同士が気持ちよく暮らせるマンションライフまで、幅広くサポートしてくれます。

マンション管理士による長期的なサポートでより良い運営を

　大阪出身の峰平さん。大学進学を機に神奈川に移り住みました。大学卒業後は不動産会社を経て、マンションの建設会社に転職。現場監督としてマンション建設に携わりました。このときに得たマンションを建てる側の視点は、現在のマンション管理の仕事にも役立っているそうです。

　その後、大手マンションの管理会社に転職。ファミリー向けマンションやタワーマンション、ワンルームマンション、リゾートマンションなど約150もの管理組合を担当してきました。

　管理組合との応対、折衝を重ねる中で「もっと住民の立場に立って、困っている人を助けたい」という思いが強くなった峰平さん。しかし、会社という枠の中で自分の思いを実現するには限界があると感じ、独立を決意しました。

　「そのとき、いくつかのマンションの管理組合が『会社をやめても、私たちの面倒をみてほしい』と言ってくれたんです。独立する決意の後押しをしてくれました」
　峰平さんの真摯な仕事ぶりは口コミで広がり、現在担当している管理組合もほとんどが紹介によるものだそうです。

　それでも「まず、自分自身を理解していただけるよう、契約前に3回まで理事会に無料で出席し、実際に話をしてから決めてもらいます」と峰平さん。人と人とのつながりを何よりも大切にする気持ちが伝わってきます。

「仕事や家事などに忙しい中で、自分のマンション管理業務に時間を割くのは難しく、また管理組合の役員もほとんどが輪番制です。だからこそ、マンション管理士の長期的な視野でのサポートが必要なのです。管理会社に言われるがまま、管理費などの安易な値上げに応じなくても、解決策はたくさんあります」

　常に住民の立場に立ち、プロの視点から管理会社と交渉をしてくれる峰平さん。管理組合とマンション住民にとって、心強い味方となってくれるはずです。

（取材年月:2019年1月）

住民の立場でマンション管理の改善策を講じる管理組合の頼れるサポーター

管理会社と住民の間に立ちマンション運営にまつわる問題に対応

長期的な修繕計画には注意が必要、専門家によるチェックで問題点を改善

マンション管理士による長期的なサポートでより良い運営を

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