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後進の優れた技術者を育成して日本のモノ作り業界に貢献する

日本のモノ作り業界の未来に貢献する生産技術者

荒毛一志

日本のモノ作り業界の未来に貢献する生産技術者 荒毛一志さん
生産技術者 荒毛一志さん仕事風景

#chapter1

専門的な技術から生産ラインの構築まで幅広くサポートしつつ、日本の技術者と育成に力を入れている

「現状のままでは、日本のモノ作り業界(業種により)はかなり衰退していくでしょうね」
と、ため息混じりに話すのは、ARAKE生産設計株式会社の荒毛一志さん。
大手外資系メーカーで生産技術者として長年勤務し、2016年に城下町として有名な神奈川県小田原市で独立。着々と売上を伸ばしてきています。

 ARAKE生産設計株式会社では、冶具やメカトロニクス、ゴム・樹脂などの生産設計やコンサルティングといった、一般の人がなかなか見かけない専門的な技術を扱っています。

 荒毛さんの強みは、単に一つ一つの部品の設計をするだけでなく、生産ラインの構築といった業務環境の設計までできること。長年の経験に基づく幅広い知識を持ち、モノ作りに関わる様々な領域の実務を経験し具現化してきたからこそです。

 そんな荒毛さんは憂いています。業種によりますが日本のモノ作り業界を眺めると、・現場・現物・現実の三原則による技術者育成の環境が失われつつあり、技術の伝承と人材育成が円滑に進まず後継者が育っていない。しかも、大手企業では上司や先輩から部下への指導や教育は、パワハラと認識されるケースが増えやりにくくなってきています。

 一方、中小・零細企業はなかなか人材を確保できず、事業継承がうまくいかなくて廃業する事例も多くあります。かつて国内で800万社創業していた中小・零細企業は、現在300万社程度のようです。

 また、20代30代の中では、モノ作り業界に入るよりソフトIT領域に取り組む人が多い風潮も逆風になっています。

 この状況の打開策として、海外のローコスト業者に生産製造委託をして、現地採用者を日本的な技術者に育成し、お客様の求める・品質・コスト・納期を実現しています。

「このままの状態だと20年後には日本の工業モノ作り(業種により)業界は衰退の一途になる危機的な状態。だからこそ、独立して自由な立場から国内メーカー様に貢献し、次世代の技術者育成に関わっていきたいんです」と熱く語ります。

 荒毛さんは、モノ作り業界で42年間自分自身を育て頂いた恩と習得した技術と知見を、ビジネスさせて頂く中で、・技術の提供・技術者の育成の観点でモノ作り(業種により)業界に還元したい、との思いで活動しています。

#chapter2

クラウドサーバ活用による在宅シルバー人材の活用

 荒毛さんはITを活用したシステム構築に関しても豊富な知識と経験を持っています。その知見を生かし、クラウドサーバを使って技術者と遠隔でつながり、一緒に仕事を進める環境を作っています。すでに2名のクラウド技術者と契約し、リモートデスクトップシステムによる業務を進める体制を整備しました。

 顧客である大手・中小メーカーとダイレクトにつながると同時に、提携している技術者と社内にあるサーバや端末をネットワーク化することで、顧客と外部の技術者とのやりとりがスムーズになり、作業するスピードが格段に上がるそうです。

 中でも特徴的なのが、定年退職をしたシニア世代の優れた人材を活用しようとしていること。実際、荒毛さんの会社では在宅シニア技術者と協業するようになってきています。かつて最先端で活躍していた優れた技術者であっても、定年退職すれば仕事をせずに家にいます。彼らに話をすると、経験を生かして何かしたいと思っている人が多いことに気付いたそうです。

 荒毛さん自身、会社を辞めてから3カ月ほど何もせずに家でじっとしていた時期がありました。悠々自適なはずなのに精神的にも身体的にもだんだんおかしくなってきて、「これは仕事をしないとダメだ」と思って起業した経緯があります。

 そんな自身の体験があるからこそ、在宅のシニア技術者を活用することに気付いたのでしょう。彼らとは業務委託契約なので、会社としては福利厚生の整備もコストも軽減されて優秀な人材を活用できる。一方、シニア技術者は家でじっとしているだけの生活から、お金をもらって社会貢献できるチャンスを得られる。お互いにとってWIN-WINの関係ができました。

日本のモノ作り業界の未来に貢献する生産技術者 荒毛一志さん

#chapter3

周りの人への思いやりがあってこその順調なスタート

 技術者として長年の幅広い経験と豊富な知識を持っている荒毛さんですが、起業したのはつい最近のこと。そこで会社を興すことでの苦労したことについて聞きました。

「私自身は起業することに苦労を感じていませんが、家族には気苦労をかけています。事業がうまく進まなかったときの生活への影響を心配していると思います」と語る荒毛さんは、周りにいる人のことを思いやる人柄がにじみ出ています。

 荒毛さんは、大手メーカーで定年まで後1年というところで早期退職し、モノ作り業界の現場で技術者がいなくなりつつある状況を改善すべく起業しました。

 あくまで世のため人のためを考えての起業です。起業してから右肩上がりで受注件数が増え、売上も伸びているのもそんな荒毛さんの人柄があってこそなのでしょう。

(取材年月:2019年2月)

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荒毛一志

日本のモノ作り業界の未来に貢献する生産技術者

荒毛一志プロ

生産技術者

ARAKE生産設計株式会社

一つ一つの部品の設計から生産ラインの構築といった業務環境の設計まで、幅広くモノ作りをサポートしつつ、後進の優れた技術者を育成し、日本のモノ作り業界に貢献していきます。

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