PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

デジタルギフトで福祉施設利用者の工賃向上や自立支援、互いに支え合う共生社会の実現へ

ノベルティ(デジタルギフト)で福祉と社会の橋渡しを行う事業家

福地寛芳

福地寛芳 ふくちひろよし

#chapter1

障害者らが手掛けた福祉商品と交換できる「Greenery Gift」を展開

 「福祉と社会の架け橋となり、互いに支え合う共生社会の実現と福祉施設利用者の工賃向上を目指しています」と語るのは、神奈川県横浜市の「青葉ギフト」代表の福地寛芳さん。福祉とつながるデジタルギフト「Greenery Gift(グリナリーギフト)」を展開しています。

 「デジタルギフトはURLコードを発行してネットから取得するもので、メールで手軽にプレゼントできます。スマートフォンで読み取るQRコードも作成しますので、あいさつ状など紙媒体にも印刷できます」

 就労支援事業所といった障害者らが働くカフェで飲食したり、パンやクッキーを買ったり、店頭で買い物券として使用可能。オンラインショップのようにWEB上に登録された品物から好きなものを選べば、事業所から配送されます。

 「各事業所ではお菓子や雑貨など多様な品を制作していますが、お客さまと接点が少なく、商品を知っていただく機会がないのが現状です。当方は多くの方に認知してもらい、販路拡大をサポートしています」

 企業や団体に向けては、ノベルティや景品、謝礼品としてギフト券を活用し、顧客や取引先、従業員に進呈してもらうことを提案しています。

 「最近では企業が地域社会に果たすべき責任が重視されていますが、何をすればいいか悩まれるようです。福祉商品と交換できるギフト券を配布することで社会の役に立つことができ、お客さまや従業員が社会貢献活動に参加するきっかけにもなります」

 「グリナリーギフト」は、贈る側と受け取る側、商品を作った人の全てにメリットがある「三方よし」のサービスとして注目されています。

#chapter2

定年前に社会貢献活動を担当し、デジタルギフトのプラットフォームで起業

 サラリーマン時代に事業企画やコンサル業務などを経て定年前に社会貢献活動を担当することになった福地さん。「社会貢献や福祉に関わった経験がほとんどなく、担当になった時は戸惑いましたね」と振り返ります。

 福祉事業所が焼くパンを販売したり、従業員らと植林ボランティアをしたり、さまざまな取り組みを模索する中で、作業に励む障害者の工賃が驚くほど低いことを知ります。

 「当時の月間工賃が1万5千円程度で、自立には到底足りない金額でした。一方でパンを購入した際、丹精込めて作った方のうれしそうな笑顔が心に残りました」

 頑張っている人たちの力になりたいと考え、自社の顧客に配るエコバッグ1000個をある事業所に依頼しましたが、「手作りのため大量生産が難しい」と断られたそうです。

 「発注を複数の事業所に分配する仕組みが必要だと感じました。また、就労支援施設は社会復帰や就労支援を主業としているため、商品を販売して売り上げを拡大するということに十分に手が回っていないことも分かりました」

 福地さんは「企業の悩みと福祉施設の悩みの両方に触れた自分ができることが無いか」との思いから起業を決意。退職してデジタルギフトのプラットフォームを立ち上げました。

 「利用者さんの工賃に最大限還元できるよう商品や施設の登録などの費用を無料とし、作業やコストの負担を減らせるように、注文が入ってから3週間以内に発送するルールを設けました。クッキーなどは、まとまった数になってから仕込めるので無駄が生じません」

#chapter3

マーケットニーズを調査し、商品づくりに反映できるようフィードバック

 山歩きが趣味の福地さん。厳しい冬を乗り越えて新芽を出す木々の生命力に敬意を抱き、社名を「青葉ギフト」としました。

 「人間は時に怠けてしまいますが、植物は毎年春になると必ず芽吹きます。新緑をたたえる力強さや凛とした美しさにならいたいとの願いを込めました」

 ふるさと納税の返礼品にもギフト券が採用され、商品を手にした人からは「意義のある事業なので応援しています」「活動が広がることを期待しています」といった声も。

 「福祉事業者の方々は、送る際に丁寧なメッセージを添えることが多く、受け取った方がさらに応援したくなるようです。温かいお言葉をいただくとやりがいを感じますし、障害者の方々にも、自分が作ったものが売れる喜びを味わってもらえれば幸いです」

 福地さんはデータを蓄積し、どんな商品に需要があるかも分析。例えば絵はがきを販売する事業所が多いですが、実際に交換されるのは一筆書きのような実用性が高い商品であることが分かりました。マーケットニーズを調査して事業所にフィードバックすることで、商品づくりに反映してほしいと考えています。

 地域単位の施設を応援するギフト作成も可能で、自治体のイベントで利用されることも増えてきました。大都市から地方の福祉事業所を支援することで、地方創生にも寄与していきたいと意欲を見せます。

 「焼き菓子やコーヒー、ぬくもりあふれる木工品や個性豊かなアート作品など、多彩な品を皆さんと一緒に届けていきたいですね」

(取材年月:2025年1月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

福地寛芳

ノベルティ(デジタルギフト)で福祉と社会の橋渡しを行う事業家

福地寛芳プロ

デジタルギフトプラットフォーム運営

株式会社青葉ギフト

企業や団体向けに福祉商品と交換できるデジタルギフトをノベルティとして発行。福祉事業所の販路拡大による障害者の工賃向上や、ギフト券を贈る企業や団体の社会貢献活動を推進し、共生社会の実現を目指します。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

MYBESTPRO

Other Interview