足トラブルのケア＋再発予防で足元の環境を整えるプロ川原祐平

足トラブルのケア＋再発予防で足元の環境を整えるプロ

川原祐平

丁寧なカウンセリングで痛みなどの根本原因を探り、必要なケアを提案

　足の爪が皮膚に食い込む巻き爪は、軽症も含めると日本人の10人に1人が患っていると言われます。他に、親指がくの字に曲がる外反母趾、角質が厚く硬くなるウオノメやタコ、両膝が内側や外側に湾曲するX脚・O脚など。足に関する多種多様なトラブルに向き合っているのは、鹿児島市で「F.I.T 足とインソールの専門店」を開く、理学療法士の川原祐平さんです。

　足の形状や状態に合わせて製作するオーダーメードインソール、再発防止を重視したフットケア、“痛み”と“ケガ予防”に特化したパーソナルトレーニング、靴の選び方や履き方を教えるシューフィッティングを通じて、それぞれが抱える課題にアプローチしています。

　「基礎を強固にしなければ建物が傾いてしまうように、土台である足がしっかりしていなければバランスが崩れ、ゆがみが生じます。例えば、土踏まずがつぶれて偏平足になると、着地時の衝撃を吸収できず疲れやすくなるほか、膝・股関節・腰といった下半身の不具合だけでなく、肩こりなど全身に影響が及びます」

　同じ“痛み”でも、じっとしていても痛い場合は炎症を起こしている可能性が高く、歩行時に痛む時は歩き方のクセなどに起因している場合が多いため、原因を知った上で対策を立てることが肝心だと言います。
　「今起こっているつらさに対処するとともに、不調を繰り返さないよう、初回カウンセリングで困りごとを丁寧にお聞きし、原因を探ります。からだ全体を整えるために必要なケアを、お一人お一人に合わせてご提案しますので、気になることがあればお話しください」

立ち歩きの姿勢や動作を整え、足や体を正しく使えるようにサポート

　インソールの作製において、川原さんは、理学療法士の先達・入谷誠氏が創始し、国内外のアスリートや著名人にも支持される「入谷式」を採用。全身を詳細に検査・分析するため、1日2足に限定しています。

　「座位や立位で足型を取り、足裏の凹凸を補正する従来の製法とは違い、立ち歩く際の姿勢や、日常のさまざまな動作を整え、体にかかる負荷を軽減していくことが大きな特徴です。フィッティングも細やかに行い、その人に適したものをお作りします」

　どの動きが負担となっているのか見極め、1ミリ以下の微調節を施して精度を高めていくそうです。
　「インソールを使い始めて腰痛が和らいだ方や、初期段階の巻き爪が改善した方、外反母趾が緩和して走りやすくなり、運動会でリレーの選手に選ばれた中学生もいて、とても喜んでくれましたね」

　フットケアの相談で多いのが巻き爪。川原さんは「器具を使わず、痛みがない」ケアを身上に、ネイリストが使うアクリルネイルを塗布することで本来の平らな形を取り戻し、家庭での手入れ方法も伝えて状態の維持に努めます。

　パーソナルトレーニングは、「足の悩みの再発防止策の一つ」と位置付け、1～2カ月の短期間で実施しています。
　「理学療法士として培った“体と動き”に関する専門性と経験知を生かし、体の軸である足と体幹の双方を意識したメニューを提供しています。ご本人の運動能力や動き方のクセなどに合わせ、足や体を正しく使うことができるように導いていきます」

“足のかかりつけ医”を目指し、足元から人生を豊かに。講演活動もスタート

　学生時代の実習中、足をケガした患者を担当したことから足について学び始めた川原さん。以来約20年、医療機関でリハビリに携わりながら勉強を続けてきました。
　「個々に合ったシューズをアドバイスするためシューフィッターの資格を取得したり、足部の機能に基づいた医療用インソールの成形技術を習ったり、各種手法を習得しました」

　ノウハウを養い、より多くの人の足の悩みに応えたいと、2021年に独立。足腰に不安を抱える高齢者や、パフォーマンスアップを目指すプロスポーツチームの選手など、幅広い層を迎え入れます。週に1度のトレーニングをはじめ、定期的に足を運ぶ人も増えてきたとか。

　「ご来店時には毎回、足や、立つ・歩く動作などを撮影し、変化を記録しています。歯科や眼科で定期検診を受けるように、足のメンテナンスに当方を利用することで、旅行に出掛けるなど生き生きと暮らしを楽しんだり、満足のいくプレーをしたり、皆さんのお力になれればうれしいですね。目標は地域の“かかりつけ医”のような存在です」

　子どもから大人まで足やシューズの正しい知識を身につけ、「生涯にわたり快適に過ごしてほしい」との思いから、講演活動にも力を入れます。
　「フットケアの実務者を対象にした実践的なセミナーのほか、幼稚園やジュニアスポーツチームの子どもと保護者に向け、靴の履き方やホームケア、ホームトレーニングなどを伝えることもあります。体を支える足元から、人生を豊かにするお手伝いをしていきたいですね」

（取材年月：2023年12月）

理学療法士の知見をもとに、足に合ったインソールやフットケア、パーソナルトレーニングを提供

丁寧なカウンセリングで痛みなどの根本原因を探り、必要なケアを提案

立ち歩きの姿勢や動作を整え、足や体を正しく使えるようにサポート

“足のかかりつけ医”を目指し、足元から人生を豊かに。講演活動もスタート

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