TikTokで若い世代にリーチする人材採用のプロ平山昌申

TikTokで若い世代にリーチする人材採用のプロ

平山昌申

就職活動をする学生の8割以上がユーザーのTikTokで企業をPR

　「就職サイトに出稿したり、自社ホームページでアピールしたり、求人に取り組んでいるけれど応募が増えない」と、青色吐息をつく経営者は多いのではないでしょうか。

　人手不足に悩む地元香川の企業のため、力を尽くすのは高松市十川西町の「エネブル」代表の平山昌申さん。動画投稿アプリ「TikTok（ティックトック）」を通じて企業の認知度を向上させ、若手人材の獲得を支援しています。

　「特に製造業、建築業といった企業間取引がメインの会社は、小売業などの一般顧客を相手にした業種と比べ、学生たちと接点が少ない傾向にあります。いくらホームページを作り込んで募集を掛けても、知名度の低さからエントリーしてもらえないこともあるのです」

　平山さんは、若い世代が多く利用するTikTokに着目。企業のPR動画を掲載することで学生が目にする機会を増やし、採用サイトに流入させるためのサービスを展開しています。

　「同じSNSでも、インスタグラムやYouTubeはフォロワーが多くないと閲覧数や再生回数がすぐには増えない性質があります。それに対しTikTokは、動画ごとに評価される仕組みで、新規の投稿者であっても200～300人には届くようになっており、比較的容易にアプローチすることが可能。あまり知られていない中小企業でもチャンスがあるのです」

　就職活動をする学生の8割以上がユーザーで、さらにその8割は企業情報の収集にも活用していると言われます。平山さんは「反響を得るには質の高いコンテンツに仕上げることが重要で、当方がお手伝いします」と呼び掛けます。

差し入れの食リポ、新人の成長日記など、親しみやすいコンテンツを制作

　動画は、平山さんと顧客との打ち合わせで本数や内容を決め、撮影・編集ののちに投稿。次の制作に適切にフィードバックするため、再生回数や離脱箇所などを分析しています。
　訴求力の高い動画を提供するため、映像クリエイターなどの専門スタッフを擁しています。
　
　「提携クリエイターの中には現役インフルエンサーとして実績を出している人物もおり、飲食店の店舗集客・求人でTikTokの運用を行うことで売り上げを1.4倍に上げ、6名が求人に応募してきた実績があります。ニーズを深掘りし、出演などでお客さまの協力をいただきながら、効果を生み出していきます」

　高松市内のとび工事・土木工事の会社では、平山さんのサポートを受けて定期的に動画をリリース。仕事内容や作業で使う道具を紹介する以外にも、差し入れの食リポ、釣りやもちつきといった親睦行事の様子、作業着のファッションショーなど、ユニークなコンテンツが並びます。

　ほかに、新入社員の成長日記や課長のダイエットへの道など、人にスポットを当てた企画も。「出演してくださる従業員が増えて以降、視聴回数も爆発的に伸びてきました」と手応えを語ります。

　「県内はもとより、四国地方でもTikTokの活用を図るWEBマーケターは少ないのではないでしょうか。地方では、まだWEBに順応できていない企業も見受けられます。地域に根付きながら、新たな切り口の人材採用を提案していきたいですね」

顧客が喜ぶ姿から仕事の楽しさを実感し、WEBマーケティングに参入

　クライアントに伴走し、成果に導く平山さんですが「今に至るまでは順風満帆でなかったんですよ」と笑います。
　「子どもの頃からサッカーに打ち込み、指定校推薦で大学に行ったものの中退。アルバイトなど職を転々とする日々が続きました。真面目に働くというわけでもなく、今思うとふてくされたような人生でしたね」

　転機となったのは、5年勤め上げたスポーツイントラクターでした。
　「元々体を動かすのが好きで、主にご高齢の方を指導しました。筋力アップを達成してお客さまが喜ばれる姿を見て、仕事って楽しいなあと初めて実感しましたね」

　その後、太陽光発電の会社に就職し、新電力事業の立ち上げを担当。月商0円から2億円規模に成長させる活躍を見せます。

　業績を伸ばしたものの、電力高騰など社会情勢の変化もあり、平山さんは退職して自ら起業することを選択。当初はエネルギー関係のビジネスをしていましたが、市場ニーズを鑑み、WEBマーケティングにかじを切ることに。社名がエネブルなのは、会社を設立した当時の名残だそう。
　「実はネット業務を始めるまでTikTokのアカウントすら持っていなかったのですが、東京のマーケティング会社のセミナーに通うなど、勉強を重ねてきました」と話します。

　「今後はTikTokを触媒にして、発信力を高めたい若い世代と認知度を上げたい企業をつなぐオフラインの場を作りたいですね。香川県を拠点に活動し、地元の企業に活力をもたらしていきたいと思います」

（取材年月：2023年10月）

TikTokで企業の認知度を向上させ、若手人材の採用につなげる

就職活動をする学生の8割以上がユーザーのTikTokで企業をPR

差し入れの食リポ、新人の成長日記など、親しみやすいコンテンツを制作

顧客が喜ぶ姿から仕事の楽しさを実感し、WEBマーケティングに参入

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