起業まもない経営者を応援するプロ熊谷雄一

起業まもない経営者を応援するプロ

熊谷雄一

町医者の感覚で、起業して間もない経営者を支援

　二人三脚。熊谷雄一税理士事務所の代表・熊谷雄一さんは、そこにこだわりを持っている。以前は大きな事務所で働いていたが、どうしてもクライアントとの距離が開いてしまうことにもどかしさを感じていた。そこで独立を決意したという。「自分は町医者のような感じですよね。顔と顔を突き合わせてやっていきたい」。クライアントとして迎えたいのは、やはり創業・起業から間もない人。「会社であっても、個人事業主であっても、これから大きくしていきたいという思いを持っている方の力になりたいんです」。そして、クライアントの会社が成長していった時には、熊谷さんから離れ、大きな会計事務所に移って行ってかまわないと付け加えた。自分の手に余るほど成長してくれたら…。それは熊谷さんの夢でもある。

　熊谷さんは「経営助言」という言葉を使って、仕事の一端を説明する。経営コンサルタントではなく、経営助言。毎月の月次巡回監査によって、正確性の高められた財務数値を基にして、クライアントとディスカッションを行う。その中で、会社の置かれている状況などについて、クライアントに気づいてもらい、実際に行動を起こしてもらうことが目的だ。ここで得られたことを経営計画・事業計画の中に盛り込んでいく。起業して間もない会社は、どうしても長期的な視点に立ちにくいのも事実。1年後、3年後、5年後、10年後、どんな企業になっていたいのか。そういう理想の姿をクライアントとともに描いていく。

お金の意識を経営者に持たせることも仕事

　岩手県の企業は従事員数10人以下がほとんど。だからこそ、税理士が提示する「数字」が役立ってくれればと熊谷さんは願う。そこには事業経営する中で、製品の品質と同様に、お金の知識も重要な武器になるという信念を持っているからだ。「数字を基にして、問いかけることで気づいてほしい。話しているうちに、頭を整理してほしいと思っています」。小さな会社の社長が忙しいことは十分承知している。それでも数字からの気づきで、結果に大きな違いが出てくると熊谷さんは力説する。

　熊谷さんが今取り組んでいるのは「自計化指導」だ。日本最大級の職業会計人集団TKC全国会が開発した会計ソフトFX2を使えば、会計のことがわからなくても、家計簿をつけている様な感覚で簡単に入力が出来るし経営者にも優しく語りかけてくれる。この会計ソフトは、毎年変わる税制や会計制度、時代に即していることも大きな魅力。時間と最低限のパソコンスキルがあれば、リアルタイムで会社の状態が把握できる上、何よりも、入力作業を習慣づけることによって、お金への意識が変わってくると言う。同じ税理士報酬を払うなら、自分で出来るところは自分で済ませ、税理士とともに会社の将来を考えてもらう時間を作ったほうが、メリットが大きい。この会計ソフトは、レンタル料はかかるが、それをはるかに上回る価値があると自信を持って薦めている。

「自利利他」の精神が基本

　熊谷さんの胸に光るTKC会員独自のバッジ。そこには「自利利他」という文字が刻まれている。それはTKC全国会創業者が設立当初から伝承する理念。元々は仏教用語だが、現代的にとらえれば、他の人の利益になるように図ること自体が、そのまま自分の幸せになっていくということだろう。人が本来、幼児のころから持ち合わせている、優しくて純粋な気持ちを持ち続けられるかが企業経営の成功のカギ。そこからこそ、中小企業が発展して社会貢献していくうえで必要な経営哲学が生まれる。哲学から理念が生まれる。哲学なきものに理念は生まれない。企業経営を支える税理士として、熊谷さん自身、「自利利他」の精神を大切にしている。

　仕事で飛び回る毎日。奥さんと二人で切り盛りする事務所は、なかなか忙しい。その合間を縫うように、熊谷さんはいろいろな場所へ積極的に顔を出している。「PTAであったり、TKCや税理士会の会合であったり、スポーツ少年団であったり。人の役に立って、喜ばれるのはうれしい。得た喜びを、今度は仕事の中でクライアントにサービスとして還元していきたい」。熊谷さんは、税理士は人が成長していくのを間近で実感できる仕事だと胸を張る。「最近の親は、自分の仕事は継がせたくないという人が多いけれど、私は継いでほしい。そのくらい本当にやりがいのある仕事ですから」。熊谷雄一税理士は、双子の息子さんを持つ父親でもある。自身の息子さんたちに寄せる思いも強い。

　家族ぐるみで応援する、ストリート・ミュージシャンの上村叶恵さんの曲をこよなく愛する、そんな一面もあるようだ。彼女のブログへのマメなコメント返信も欠かさず、また自身のHPにもリンクを貼るなど、彼女の無力無名からの成功を願っている。そんな熊谷さんに税理士としての姿勢との共通性が浮かびあがってくる。

（取材年月：2013年10月）

顔の見える税理士として、自利利他の精神でクライアントとともに歩む

町医者の感覚で、起業して間もない経営者を支援

お金の意識を経営者に持たせることも仕事

「自利利他」の精神が基本

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