地域に寄り添い対話で支える健康サポートのプロ
橋場慶子
Mybestpro Interview
地域に寄り添い対話で支える健康サポートのプロ
橋場慶子
#chapter1
石川県能美市辰口町にある「さくら薬局」は、地域に根差した調剤薬局として長きにわたり親しまれてきました。複数の医療機関からの処方箋に基づく調剤と服薬指導のほか、一包化や粉砕などの要望にも個別に対応。薬剤師に相談のうえ購入できる一般用医薬品や、セルフケアに関連する商品も取り扱っています。
同薬局を運営する「Cross Bridge」の代表であり、店頭にも立つ橋場慶子さんをはじめ、スタッフ全員が大切にしているのが「利用者一人一人に向き合う対話の時間」です。
「話題はお薬のことに限りません。日々の出来事やご家族のことなど、さまざまなお話を伺っています。悩みや不安を吐き出すことで、少し気持ちが軽くなる場合もありますし、生活習慣や食事内容などを知ることで、幅広い支援につながることもあります。例えば、食生活に配慮が必要な方や、スキンケア用品選びに悩む方に向けて、調味料や食品、ケア用品などの取り寄せにも対応しています」
「気軽に立ち寄れる健康スポットにしたい」との思いから、店内には体重や体温、脈拍、血圧ほか、体の状態を確認できる設備も用意。スタッフが操作方法や数値の見方などを案内し、日々の体調管理に役立てられるようサポートしています。測定結果をきっかけに、必要に応じて医療機関の受診につながることもあるそうです。
また、地域医療の一端を担う在宅服薬指導にも注力。医師の指示のもと、在宅療養中の利用者宅を訪問し、家族やケアマネジャーと連携しながら、その人が服薬しやすい環境づくりを支えています。
#chapter2
同店は、戦前まで続いた「橋場商店」をルーツに、練り薬や漢方薬を扱う「橋場薬局」として歩みを重ねてきました。約180年にわたり、地域の変化とともに人々の暮らしを支えてきた歴史があります。
「末っ子だったこともあり、もともと家業を継ぐつもりはありませんでした。ただ、厳しい環境にある人を支えたいという思いは、以前から持ち続けていました」と橋場さん。10代の頃、アメリカの児童心理学に関する書籍と出合い、大きな衝撃を受けます。海外での研究職を志したものの実現には至らず、その後は独学で学びを続けながら、介護施設で事務職として働いた経験も積みました。
兄姉がそれぞれ独立し、薬局の存続が危ぶまれた際には、4代目を引き継ぐ決断をします。2010年には自ら運営会社を立ち上げ、本格的に薬局運営に携わることになりました。
「心理学を学ぶ中で知った児童虐待の問題や、介護現場で感じた課題など、第三者の支援が必要な場面は数多くあります。自分自身の生き方に迷うこともありましたが、考えるだけでは何も変わらない。まずは行動しようと覚悟を決めました」
その言葉を体現するように、現場に立ちながら試行錯誤を重ね、現在のスタイルを築いてきました。
「歴史を受け継ぎながら、社会に必要とされる存在であり続けるためには、変化や成長も欠かせません。店名を一新し、運営会社名にも『人と人をつなぎ、暮らしと医療をつなぐ架け橋に』という思いを込めました」
#chapter3
在宅服薬指導を通じて地域医療を支える同店では、利用者本人だけでなく、家族やケアサービス提供者とも密接にコミュニケーションを取りながら、服薬管理に取り組んでいます。
「飲み忘れや飲み間違いを防ぐだけでなく、ご本人やご家族の負担軽減にも配慮しています。一包ごとに朝昼夜と色分けをしたり、お薬カレンダーに分けてセットしたり、手作りの箱を活用したりと、状況に応じて工夫しています。ご本人とのやり取りを通じて、その人らしさに触れられる時間を、私たち自身も大切にしているんです」
また、薬局業務に加え、健康を意識するきっかけづくりとして、さまざまな情報発信にも力を入れています。ホームページでは、店舗からのお知らせとともに、毎月「元気応援キャンペーン」を掲載。「朝ごはんのレシピ」や「季節に応じた生活の工夫」など、暮らしに取り入れやすい食生活や生活習慣のヒントを紹介しています。
さらに、季節ごとのテーマを取り上げたフリーペーパー「さくら通信」も発行。橋場さんやスタッフによる手づくりの読み物を店頭で配布し、地域の人々が健康を身近に感じるきっかけづくりにつなげています。
「これからも、生活のさまざまな場面で困ったときに、気軽に立ち寄れる場所でありたいと考えています。地域の皆さまの健やかな暮らしを支える存在であり続けたいですね」
(取材年月:2026年4月)
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Profile
地域に寄り添い対話で支える健康サポートのプロ
橋場慶子プロ
調剤薬局運営
株式会社Cross Bridge
調剤薬局として180年以上にわたり地域と関わってきた背景を持ち、一人一人との対話を重視。在宅服薬指導や情報発信にも取り組み、暮らしと健康を支える身近な存在を目指しています。
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