中小企業法務に精通し、経営の伴走をする法律のプロ松山純子

中小企業法務に精通し、経営の伴走をする法律のプロ

松山純子

日常的に相談できる関係づくりで、法的リスクを予防

　「経営者の右腕となり、法務コンサルタントとして経営のサポートを行います」と話すのは、金沢市の中心部にある「香林坊法律事務所」代表の松山純子さん。事業者向け法務で豊富な実績を誇ります。

　弁護士に相談するのは、紛争や訴訟になってからというイメージがありますが、事業を進める中では、取引上のトラブルや人事労務上のトラブル、行政への対応など、さまざまな問題が突発的に起こります。「特に中小企業や個人事業主にこそ、日常的に相談できる法律の専門家の重要性を知ってほしい」と松山さん。

　例えば、新たな事業を立ち上げる際にどんなリスクに備える必要があるか、契約書に問題はないかなど、法的な観点からチェックすることで、トラブルの芽を摘むことができます。

　「大企業では、何か問題が起こったとしても、法務部や総務人事部など専任の人材が対応できる体制があります。一方、中小企業などでは、社長以下数名であらゆる問題に対処しなければならず、本業に支障が出るケースが多いので、そのような事業者にこそ頼ってほしいですね」

　顧問先は多業種にわたり、介護施設での労務トラブルや介護事故、多店舗展開する飲食業における加盟店の権利問題など、事業の命運を左右する問題を解決に導いた実績があります。

　松山さんのもとには、顧問先から頻繁に連絡が入るそう。「3日あけることなく連絡をいただくことはしょっちゅうです。ちょっと悩んだときに思い出してもらえるのはうれしいですね」。日頃から気負わず相談できる信頼関係を築くことで、迅速な対応や的確なアドバイスにつなげています。

文書管理の営業コンサルタントから、企業の役に立つ法律の専門家に

　松山さんは大学卒業後、複合機の製造販売などを手掛ける会社で12年間営業を担当。大小さまざまな企業にPCネットワーク構築などを提案し、ビジネス支援を行っていました。

　当時は、企業が保管する文書の電子化を認める「e-文書法」が施行された頃でした。複合機とあわせて文書管理システムの紹介をした際、「顧問弁護士さんに相談しないのですか？」と聞くと、どこも「そんなことで弁護士には相談しない」との回答。企業経営にもっと法律の専門家が関わることが必要ではないか、と思うようになり、法律の専門家を志します。

　当初、弁護士の実務にそれほど詳しくなかったという松山さん。大学院入試の面接で、松山さんが語った目指す弁護士像に、面接官が返した一言は「経営コンサルタントになりたいの？」だったとか。それほど「中小企業の役に立ちたい」という強い思いを抱いていました。

　弁護士としての一歩を踏み出した大阪の法律事務所で中小企業法務を担当。「世の中にはこんなに良いものを作っている会社があるのか」と、感銘を受ける企業と出合う一方、法律上の思わぬところでつまずく企業も少なくなかったと言います。

　「労働者や消費者、大企業は、法律や政治によって少なからず守られています。中小企業や個人事業主は、そのはざまで、どちらの恩恵も受けにくく、苦しい状況になることが少なくありません。法的なサポートにより、少しでも負担を減らすお手伝いをします」

社外取締役の経験も強みに〝縁の下の力持ち〟として本業を守る

　数々の中小企業法務の実績から、高知県にある中小企業の社外取締役に就任したことも。木のおもちゃと子ども用家具を製造販売する企業で、創業者から子の代に交代した直後の4年間、株主総会実施や事業の再整備など経営をサポート。「中小企業の社外取締役を経験している弁護士は少なく、珍しい存在ではないでしょうか」と松山さん。今でも、顧問先として関係が続いているそうです。

　「一つの企業と密にやりとりを行うため、多くの顧問を引き受けることは難しいですが、それぞれの企業と何十年にもわたる関係をつくりたいと思っています」と話します。弁護士になって10年近く。当初から付き合いが続く顧問先も多いそう。

　「経営者が不安や悩みを抱えたままでは、本業に専念できません。日常業務に集中できるよう、大変な問題は一緒に背負います。大ごとになる前に、ぜひ相談してください」と力を込めます。

　また、法人だけでなく、個人の身近な法律問題にも対応。例えば、破産や債務整理などお金の問題を抱える人には、すでに起こったトラブルへの対処だけでなく、家計の見直しや家計簿の付け方など、その先の対策まで具体的にアドバイスします。

　「企業の経営も、人の人生も、ずっと続けていくものです。トラブルが起こると、経営や人生は一変するように思えますが、不安を乗り越えて日常を取り戻せるように支えるのが私の役割です」と松山さん。「あのとき任せてよかった」と思える未来につながる道を導いてくれます。

（取材年月：2021年6月）

中小企業や個人事業主のビジネスを法律面から支える

日常的に相談できる関係づくりで、法的リスクを予防

文書管理の営業コンサルタントから、企業の役に立つ法律の専門家に

社外取締役の経験も強みに〝縁の下の力持ち〟として本業を守る

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