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鮮度とコストを両立した水産加工品を提供し、持続可能な調理オペレーションを設計

人手不足時代を支える水産加工オペレーション設計のプロ

久保郁

久保郁 くぼかおる

#chapter1

現場が無理なく回る「半製品」という選択肢

 「ただ魚を卸すのではなく、貴社の現場が『無理なく回る仕組み』までを納品します」と語るのは、「うおラボ」代表の久保郁さん。神戸市や大阪市を中心に、飲食店やホテル、介護老人保健施設、デイサービスなどへ水産物を卸しています。同社の特長は、半製品の開発まで一貫して手がけている点です。

 慢性的な人手不足が続く現場からは、「この加工はできないか」「調理工程を減らせないか」といった相談が絶えません。単なる食材供給ではなく、オペレーション全体を見据えた提案こそが同社の強みです。

 「人手が足りないうえに、HACCP(原材料の受け入れから製造・提供までの工程ごとに衛生リスクを管理する国際的な衛生管理手法)の順守など衛生管理も厳しくなっています。現場は相当な負担を抱えているはずです」

 こうした課題に対し、久保さんは魚のプロとして、できる限り工程を減らしながら安全性を確保できる半製品を提供しています。さらに、ゾーニングや交差汚染のリスクを踏まえ、調理動線まで考慮したオペレーションを提案。経験の浅いスタッフでも安定した品質を保てるよう作業を標準化し、属人化を防ぎます。それが結果として、スタッフが長く働ける持続可能な現場づくりにつながるといいます。

 「人手が足りないから仕方ない、で終わらせない。その『仕方ない』を解消するのが私どもの役割です」

 半製品の導入は単なる時短ではなく、組織全体のオペレーション改革でもあります。仕組みを整えることで、現場に余白と安心を生み出していきます。

#chapter2

野菜や米、卵も扱うワンストップ体制で手間と配送コストを削減

 安定供給の土台となっているのが、産地からの直接仕入れ体制です。流通経路を簡素化することで、鮮度の高い魚介類を、価格を抑えながら安定的に供給。さらに、それらを半製品へと加工することで、品質とコストの両立につなげています。得意先からは「さばき方や下処理が丁寧で美しい。届いてすぐ調理できる」といった声が寄せられているといいます。

 「作業スピードは後からついてきます。まずは丁寧にやることをスタッフに徹底しています」と久保さん。三枚おろしや皮引き、さく取りなどの基本工程を妥協なく仕上げる姿勢が、現在の取引関係を支えています。

 安定した下処理はクレームやロスの削減にも直結。その延長線上で、「お客さまのかゆいところに手が届く加工品も開発していきたい」と意欲を示します。さらに、野菜や米、卵なども扱うワンストップ体制を整えています。

 「どうせ配達するなら、まとめて何でも持っていきますよ、というスタンスです」

 たとえば寿司店では野菜の使用量が少なく、八百屋に頼みにくいケースもあります。水産物と合わせて納品することで、発注の手間や配送コストを削減。仕入れの一本化によって、資金の流れを把握しやすくなるという経営面での利点も生まれています。

 「近年は気候変動や自然災害の影響もあり、青果の品質が安定しづらい場面も見られますが、できる限り品質のばらつきを抑えられるよう取り組んでいます」

#chapter3

論理的思考で設計する持続可能なオペレーション

 久保さんは大学でコンピューターグラフィックを専攻し、複雑な工程を論理的に組み立て、可視化する思考法を身につけました。その後、あえて飲食の現場へ進み、イタリア料理店で調理・仕込みを経験。「どれほど良い食材でも、段取りが悪ければ仕事の質は落ちる」と痛感したといいます。

 水産業を営む知人から声を掛けられ、32歳で水産業界へ。活魚の神経抜きからフィレ・スライス加工まで行う工場の立ち上げにも携わりました。その中で、「人と物の動きの効率化」を追求する独自の手法を確立。受注や集計を一元管理するシステムも自ら構築しました。

 アナログが主流だった業界においてデジタルを柔軟に取り入れ、業務の効率化を推進。「少ない人員でも円滑に業務を回すにはどうすればいいか、常に考えてきました」と振り返ります。

 そして2021年に独立。調理現場の課題解決を目指し、半製品の開発にも本格的に取り組みました。

 「売上増でも現場は疲弊させない。論理的思考と調理経験で持続可能なオペレーションを設計します」と、久保さん。その一例として挙げるのが自社での取り組みです。売上が通常月比約50%増となった月でも、労働時間はほぼ変わらなかったといいます。業務量の増加を見越して工程を細分化し、事前に設計していたことが奏功しました。

 今後は、野菜も扱っている点を生かし、野菜を活用した商品開発も視野に入れているそうです。

 「最初に飲食業に勤めたのも、もともと料理が好きだったから。現場が楽になる商品を、楽しみながらつくっていきたいですね」

(取材年月:2026年2月)

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専門家プロフィール

久保郁

人手不足時代を支える水産加工オペレーション設計のプロ

久保郁プロ

生鮮卸売業

株式会社うおラボ

産地直送の仕入れ力と丁寧な加工技術で、調理工程の省力化に役立つ半製品を提供。調理現場における人と物の動きの効率化を追求し、売上増でも現場を疲弊させない持続可能なオペレーションを提案します。

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