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第二のおうちのような小規模園で子どもと丁寧にかかわり、子育ての悩みや不安もサポート

子どもの自己肯定感を育み保護者を支援する保育のプロ

池上裕子

池上裕子 いけがみゆうこ
池上裕子 いけがみゆうこ

#chapter1

幸せを実感できる温かい環境で子どもの自己肯定感を育み、心身の成長に寄与

 三宮駅から8分ほど歩くと、温かみのある木の壁とかわいらしい出窓が見えてきます。ここは「のぞみ三宮保育園」。0~2歳児までを対象とする定員18人の企業主導型保育園で、提携する企業で働く人や地域住民の子どもを受け入れています。

 「『よく笑う先生、子どもを待てる先生、明るい先生』を目指す保育士像とし、『自己肯定感に満ち、幸せを実感する子どもの育成』を保育理念としています」と話すのは、園長の池上裕子さん。
 大事にしているのは、日々の声掛け。危険な時以外はできるだけ否定語を使わず、子どもたちがこれをやってみたいと思った時にやさしく後押し。できたことをしっかりと認めることで、子どもたちは自信をつけていきます。

 「肯定の仕方はそれぞれです。壁にぶつかった時に、こんなこともあると開き直るのも、もう1回チャレンジしようと思うのも、今回はあきらめようと決断するのも自己肯定ではないでしょうか。園での生活を通して、社会に出た時に前向きに生きていける心の強さを育てたいと考えています」

 保護者が安心してわが子を預けられるよう心掛けているのは、密な報告。集団生活をしている以上、子ども同士のトラブルやケガは起こり得るもの。自由遊びをする中でおもちゃを取り合いっこした場合などには子どもの今の発達段階や、その過程で生じる気持ちの葛藤なども含めて伝えることで、誤解や行き違いがないようにしています。

 「何が起こったか見ていなかったから分からないということがないよう、丁寧に子どもたちに関わることを保育士全員に徹底しています」

#chapter2

20代から60代の保育士が在籍。多様な視点から意見を出し合い園を運営

 池上さんは短大の保育科を卒業し、社会福祉法人が運営する児童発達支援センターに就職。障がいのある子どもの保育に10年間従事しました。その後、同系列の成人を対象とする障がい者支援施設に異動します。

 「子どもたちの成長に関わりたいとの思いを強くしていた時に、当園の理事長に『保育園運営に力を貸してほしい』と誘われ、お手伝いすることにしました」

 理事長は不動産業を営んでおり、自身の子育て経験から地域に貢献したいと、保育事業の会社を新たに創業。自身が子どものころ育った環境に近い、情緒あふれるこの地域を選んで2019年に開園しました。建設業に携わっていたこともあり、園内の設えも、温かみのある木を基調とするなどこだわって作ったそうです。

 「園長を務めてほしいとの要請に当初は戸惑いもありましたが、今となっては自己成長の機会を与えてもらい感謝しています」と池上さん。保育士を束ねる立場ではありますが、園で主導権を持っているのは園長の自分でも理事長でもなく、「会議」だと言います。

 「当園は20代から60代まで保育士がいます。20代は明るくはつらつと、孫がいる先生は優しく見守るように、子育て真っただ中の世代は自分の子に重ね合わせながら、子どもたちに接しています。多様な視点から子どもを見て、職員同士で意見を出し合い、保育にあたっているのが当園の良さでしょうか。会議で決まったことは、一致団結して実現していこうという風土が醸成されています」

池上裕子 いけがみゆうこ

#chapter3

保護者の支援にも力を入れ、イベントで交流を深めコミュニティーも構築

 子どもたちの成長に携わりながら、池上さんは保護者の支援にも力を入れています。

 「核家族化が進む中で、子育てに孤独や不安を感じる方も少なくありません。保護者が気軽に頼れる場所があれば、育児も楽しくなるのではないでしょうか。第二のおうちのような小規模園という特徴を生かして、子育てのサポーターでありたいですね。保護者の様子がいつもと違うと感じたら、こちらから声を掛けるようにしています。そうすると、『実は…』と心の内を打ち明ける方も多いんです」

 園を通じて保護者同士のコミュニティーも広がってほしいと、夏祭りや運動会、ハロウィーンパーティー、生活発表会など親子参加型の行事を年に数回開催。イベントの一部は地域の人や、入園を考えている保護者も参加可能です。気軽に集える場になればと、土曜日を中心に発達に関するお話し会やヨガ、フラワーアレンジメントなど、ミニ講座も開催しています。

 さまざまな取り組みを通して、昔から住んでいる人も多い二宮町にもすっかりなじみ、子どもたちが公園まで散歩する時には、「今日もがんばってね」と応援してくれる人や手を振ってくれる人も多いとか。卒園後も地域の人たちに見守られながら、子どもたちは成長していきます。

 「保護者の方に伝えたいのは、一人で悩まないでということです。頼ることはいけないことと捉える方もいらっしゃいますが、助けたいから助けさせてほしいんです。0~2歳という心の基盤を作る大切な時期を、一緒に子育てさせてもらえたらうれしいですね」

(取材年月:2024年11月)

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池上裕子

子どもの自己肯定感を育み保護者を支援する保育のプロ

池上裕子プロ

保育士

ニューフィールド株式会社

三宮駅から徒歩約8分。0~2歳児までを対象とする企業主導型保育園を運営。「自己肯定感に満ち、幸せを実感する子どもの育成」を保育理念とし、子どもの心身の成長と保護者の育児の悩みに丁寧に向き合います。

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