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保育士歴20年以上の講師陣が子どもの意欲と自信を引き出し、自己肯定感を育む食育教室

子どもの自信を引き出し自己肯定感を育む食育のプロ

寺前三重子

寺前三重子 てらまえみえこ
寺前三重子 てらまえみえこ

#chapter1

テーマ性のある活動で子どもの好奇心と想像力を刺激し、調理へと展開

 阪急王子公園駅から徒歩約3分。カラフルな看板が目印の「こども食育教室みえハウス」を開くのは代表の「みえ先生」こと寺前三重子さんと、スタッフの「スー先生」こと陶山恵里さん。ともに20年以上のキャリアを持つ元保育士で、主に4歳から8歳頃までの子どもを迎え入れています。

 「レッスンでは『設定保育』という手法を取り入れています。旬の食材や季節の行事をもとに設定したテーマに沿った絵本の読み聞かせやクイズ、製作活動などを通して子どもの興味や想像力をかき立て、調理へと展開させます」と寺前さん。

 ある夏の日の教室では、エプロンをつけた子どもたちが「ピーマンボート作り」に熱中。おのおのが自分でピーマンを選び、縦半分に切ると、二つのボートが出来上がりました。

 「そこへ乗るのが、ウインナーやチーズのお客さま」と寺前さんがストーリー仕立てで作業を伝えると、子どもたちがボートから落ちないよう慎重に“お客さま”を乗せ、オーブントースターで焼いて完成。ピーマンボートは「おなかの中で泳ぐ」という設定にしているので、ピーマンが苦手な子どもも次々と口に運びます。

 「○○ちゃんのおなかの中でボートが泳いでいるのが見えるわぁ~」と寺前さんが声をかけると、子どもたちはうれしそうな表情に。

 「食に関する知識や技術も大切ですが、私たちが特に大切にしているのは、食育を通して子どもの個性を引き出し、自己肯定感を育むこと。『やってみたい』でも『できない』でも一人一人が表現することを受け入れ、前向きな言葉がけをすることで、自信を持ってもらえたらと考えています」

#chapter2

子どもを叱りがちな食事のシーンこそ、自己肯定感を育むチャンス

 寺前さんは27年間、保育園に勤務。0歳児から5歳児まですべてのクラス担任を経験し、延べ3500人の園児と関わりました。

 「ありのままの自分を受け入れる自己肯定感がないと、『どうせ自分なんか』と自らの価値や存在意義を見いだせず、自分を大事にできなくなる傾向があると言われます。保育士時代は『この子が前向きになり、自信につながることは何か?』を常に意識し、ほめることを心掛けていました」

 子どもたちが物事に積極的になれない様子や、チャレンジすることを拒む姿に出会うたび、 「最初からうまくできないことや失敗することは恥ずかしいことではない」「挑戦していないのに諦めるのはもったいない」と伝えてきた寺前さん。

 結果ではなく過程を認める保育に取り組み、自分を信じる力を育む上で特に重要性を感じたのが、食事の場面です。
 「子どもが食事に集中しなかったり、好き嫌いをすると大人は子どもを責め、子どもは自信を失いがちです。日々の営みである食事で自信を持てれば、子どもの自己肯定感は高まりやすくなります。給食で魚の干物が出てきた時に『お魚をガリガリかんで食べると、お魚みたいにスイスイ泳げるようになるよ!』と声をかけると、魚が苦手な子も挑戦してくれるようになりました」

 2018年、寺前さんは得意の設定保育と食育で「子どものやる気と自信を引き出したい」と教室を設立。2020年には後輩の陶山さんも合流し、今では月間で約50人の子どもがレッスンに訪れています。

#chapter3

「さしすせそ」で子どもの自信を引き出し、保護者に楽しい食事のコツを伝授

 寺前さんのもとでは、年齢や経験が異なる子ども全員が達成感や満足感を味わえるよう、個々の様子を見ながら作業を分担。「昼コース」「夜コース」「プチサンデー(おやつ作り)」の3コースで、気軽に参加できるようにと都度払いにしています。

 また、レッスンの様子は毎回、SNSを活用して画像とテキストで保護者に報告。「家で魚を食べない子がおいしそうにほおばっているのを見て、涙がこぼれました」「教室で作ったメニューを家でも作ってくれました」「親から離れられなかった子がお友達と楽しそうにしていてびっくり」など、保護者からは喜びのメッセージが届きます。

 「レッスン後、お子さまの変化を感じた保護者の方が『先生はどんな魔法を使っているの?』と冗談をおっしゃることがありますが、あいにく私たちは魔法は使えません(笑)。その代わり子どもの自信を引き出す『さしすせそ』があるんです」

 砂糖、しょう油など和食を味付けする順序を表す「さしすせそ」を、みえハウスでは、小さな成功体験を積み重ね、負けない心を育てるための“調味料”として使います。
 「『さ』すが‼」「『し』っぱいしても大丈夫‼」「『す』ごい‼」「『せ』いこう‼」「『そ』うそう、その調子‼」

 教室運営を通じて多くの子どもの笑顔と自信を引き出し、保護者からは「子どもの食が細い」「好き嫌いが多い」など、食の悩みを聞いてきた寺前さん。今後は親子で楽しく食事ができるコツをまとめた冊子の制作も視野に入れています。

(取材年月:2024年8月)

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寺前三重子

子どもの自信を引き出し自己肯定感を育む食育のプロ

寺前三重子プロ

子ども向け食育教室

こども食育教室みえハウス

保育士経験豊かな講師が、行事や食材等のテーマに沿った読み聞かせ・クイズ・製作などを通じて子どもの好奇心や想像力をかき立て、自然に調理へと展開。楽しいレッスンが好き嫌い改善や本人の自信につながります。

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