会計で会社を強くする税務のプロ木村聡

会計で会社を強くする税務のプロ

木村聡

毎月訪問する巡回監査で正しい記帳を指導し、経営者の意思決定を支援

　「会計基準が変更されるなど税法が改正され、法人税に関するルールは複雑化しています。概要をきちんと理解できずに誤った仕訳をしてしまうと、収益の額が変わり、納める税金の額に影響します。お客さまが財務状況を正しく把握し、経営強化に向けて進んでいけるよう、全力でお手伝いします」

　こう語るのは、30年以上のキャリアを持つ税理士の木村聡さん。先代が1959年に北海道岩見沢市で開いた税理士事務所を引き継ぎ、2007年に「税理士法人TACS」として法人化。現在、2人の税理士と共に中小企業の会計や税務申告をサポートしています。

　「例えば、備品を固定資産として処理する場合、減価償却の開始日は購入日だと勘違いされている方もいるようですが、正解は使用を開始した日からです。3月末の買い替えでも、使い始めが4月であれば、次年度の処理になります」

　力を入れているのが、毎月事業所を訪問し、税法に則して適正に会計処理が行われているのかを確認する「巡回監査」です。従業員への給与の支払いや取引先との飲食、備品の購入など、事業活動で生じるお金の流れが帳簿に間違いなく反映されているかを、領収書や請求書、通帳といった取引内容が分かる書類と照らし合わせてチェックします。

　「巡回監査には、経理担当の方が不備なく会計処理を行えるよう指導し、スキルを高める目的もあります。月次決算の精度が上がれば、その数字を基に経営者さまは、経費の使い過ぎに気付いて対処したり、利益を予想して節税対策を講じたり、従業員に賞与を出したり、意思決定を下すことができます。迅速かつ的確な判断が会社の発展につながります」

毎月の成果を可視化し、課題を抽出する会計データは経営の羅針盤

　木村さんは、帳簿の数字を一つ一つ正確な数字に直すことから始めて、倒産寸前だった企業を建て直した実績もあります。

　「月次の会計データは毎月の成果を可視化し、目標へと導いてくれる羅針盤のようなもの。前年の自社データや同業他社のデータと比較して成長度を測り、課題を抽出することもできます。当方が使用する『TKC会計ソフト』は、お客さまの会社と同規模で、黒字経営の同業社の平均的な売り上げや各経費の額を確認できるので、施策を立てる際に役立ちます」

　事業を伸ばしていく上では戦略を事業計画書に落とし込むことが重要ですが、策定に難しさを感じている経営者も少なくありません。

　「簡易なもので構いません。まずは作ってみましょう。現状を踏まえた上で目標を設定し、実現するための計画（Plan）を立てます。実行（Do）した結果、予算と実績の差異を評価（Check）して改善（Action）します。例えば、毎月の売り上げが目標に達していないのであれば、仕入れ値や売り値を調整して目標額に届くようにするのです。PDCAを繰り返すことで目標達成を目指します」

　利益は未来への投資だと考える木村さん。時代の変化に対応できるよう、新しい分野に投資する意義についても言及します。
　「今は黒字が続いていても、いずれ事業自体が時代に合わなくなる時が来るかもしれません。将来を見越して先手を打つことが大事。設備、人材など何が必要かを見極めて資金を投入する。今、経営者に求められている姿勢だと思います」

経営者の相続対策にも対応。個人の相談を受ける相続税センターも開設

　「当方では経営者さまの相続についてもご相談に乗ります。事業所にお伺いした際にお顔を合わせますので、普段の会話から一人一人の思いをしっかりくみ取り、ご希望に添う方法を提案いたします」と木村さん。

　　ある経営者から生前贈与をしたいと持ち掛けられた時は、土地や建物、株式などの総資産を精査し、相続評価額を算出しました。
「現金に換えられるものは換え、遺言書を作成するよう助言しました。現在、お客さまと一緒に次の代に引き継ぐ準備を進めています」

　また、「相続税岩見沢センター」を開設し、1時間無料で個人からの相談にも対応しています。相続税の申告期限が1カ月後に迫った遺族に代わり、故人が市外に所有していたマンションの固定資産税評価額を計算、遺産分割協議書も作成して無事申告を終えたとか。

　今後は、見積書や請求書などの文書を電子データに変える「ペーパーレス化」や、自動的に売り上げを計上する「RPAツールの導入」など、会計のDX（デジタルトランスフォーメーション）化に関するアドバイスにも取り組んでいきたいと言います。

　「お客さまの中には代替わりを控えた方もいらっしゃいます。業務の効率化を図り、生産性を上げるDX化で盤石な基盤を築き、後継者さまがビジネスに打ち込める環境をつくりたいと考えています。医療法人や社会福祉法人、農業法人など、特殊な会計システムにも精通していますので、法令に準拠し、実情に応じた支援策を提供できると思います」

（取材年月：2024年9月）

適正な会計処理に基づいた正確な現状分析で、中小企業の経営強化をサポート

毎月訪問する巡回監査で正しい記帳を指導し、経営者の意思決定を支援

毎月の成果を可視化し、課題を抽出する会計データは経営の羅針盤

経営者の相続対策にも対応。個人の相談を受ける相続税センターも開設

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