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「やさしい日本語」を通じて、外国人就労者との円滑なコミュニケーションをサポート

企業と外国人就労者の働きやすい環境作りをサポートするプロ

杉山絵理

杉山絵理 すぎやまえり
杉山絵理 すぎやまえり

#chapter1

外国人材を採用する企業や、日本で働く外国人に日本語学習の研修をオーダーメード

 「海外から人材を迎えるにあたり、企業側が的確に指示・指導できなければ認識の食い違いからトラブルが起きる場合があります。日本人と外国人の双方がストレスなく働けるよう、日本語学習をお手伝いします」

 そう話すのは、北海道河東郡の「杉山プロデュース」の代表で、日本語教師の杉山絵理さん。外国人就労者を採用する企業や、日本で働く外国人を対象にした研修プランを展開しています。

 企業には、難解な構文や曖昧な語句を避け、短い文章や平易な語彙を用いる「やさしい日本語」をレクチャー。外国人に分かりやすい表現で効率的に指導する方法も教えています。

 「例えば、建設現場では『こっちを持って』『これを運んで』といった言葉が飛び交いますが、どちらを、何を指しているのか明確にしなければ、ミスや事故が発生する原因になります。『やさしい日本語』は、コミュニケーションをスムーズにするためのツールで、外国人が業務内容や安全上の注意点を理解しやすくなります」

 外国人就労者に向けては、話す、聞くといった語学力を養います。実務に必要なフレーズや単語を教えるほか、生活習慣、日本文化について説明。日本語能力試験(JLPT)や技能検定試験(基礎級)に向けた対策も実施しています。さらに杉山さんは、本人と一緒に来日している家族の日本語学習も支援しています。

 「研修プログラムや教材は、建設業や食品製造業、農業、介護など企業さまの業種やニーズに応じてオーダーメードし、フォローアップもしています。受講に際しては、対面かオンラインから選んでもらえます」

#chapter2

外国人技能実習生を指導した経験から、企業の受け入れ体制を整える必要性を実感

 いくつかの企業に勤め、総務や経理、人事に従事していた杉山さん。起業のきっかけとなったのは、前職の建設会社でベトナムから来た外国人技能実習生の指導を担当した経験でした。

 「当時は実習生の受け入れが始まったばかりの頃で、企業側も手探りの状態でした。彼らに日本語を教える必要があると言われましたが、何から始めていいのか、会社内でも明確な方針がない状況でした」

 日本語をほとんど話せない実習生が、建設現場で専門用語を含む複雑な指示を受けて混乱するケースが散見。日本のマナーや職場のルールを把握していないことで、誤解が生じる場面もありました。実習生が戸惑う様子を目の当たりにし、杉山さんは企業側が受け入れ体制を整える重要性を実感します。

 「特に印象に残っているのは、けがをした実習生が病院で診察を受けた時のことです。横で心配そうに見守る企業の担当者が、どのように声をかけていいのか分からず困惑している姿を見た時、目の前の人を案ずる思いさえ伝えられない状況をどうにかしなければと強く感じました」

 会社勤めをしながら、日本語教師の資格を取得するため勉強を重ねた杉山さんは、2019年3月、意思疎通がままならない課題に対応するため「杉山プロデュース」を立ち上げました。

 「少子高齢化により日本では労働力人口が減少し、外国人を雇用する事業者は増えています。お互いのことを知り、分かり合うためにも、共通言語の日本語を解きほぐすことが大切だと考えています」

杉山絵理 すぎやまえり

#chapter3

違いを認め、尊重し合う多文化共生社会の実現と日本語教師の地位向上が目標

 杉山さんは、企業と外国人材をサポートする職場環境のコンサルティングを通じて、それぞれの違いを認め合い、尊重しながら生きていく多文化共生社会の実現を目指しています。

 「コミュニケーションが円滑になれば組織の風通しが良くなり、外国人だけではなく日本人の従業員も働きやすい職場になります。結果として定着率が上がり、人材不足の解消にもつながるでしょう」

 近年は、十勝・帯広エリアに移り住む外国人が増加。多様性を受容する街づくりに力を入れていきたいと、地元住民が参加できるイベントの開催を構想しています。

 「外国人と日本人が同じ地域で生活していても、交流の機会が少ないのが現状です。料理教室や語学教室を開くなど、いろんな文化を学ぶ場を設けていきたいですね。皆さまの協力を得ながら、地域全体で相互理解に取り組んでいければと願っています」

 また、移住者や就労者の増加に伴う日本語教育の需要の高まりを受け、日本語教師の地位向上にも心を配ります。

 「言葉で困っている人たちのお役に立てるよう教べんをとっていますが、ボランティアと見られがちな現状を変えたいと思っています。『特定技能試験・対策講師養成講座』をオンラインで開講したこともあり、日本語教師が価値のある仕事だと評価され、活躍の場を増やしていくことが目標です」

 日本人には相手に「伝わる日本語」、外国人には日本で「生きるための日本語」を伝授し、ともに寄り添える世の中を創造していきたいと杉山さんは語ります。

(取材年月:2024年11月)

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杉山絵理

企業と外国人就労者の働きやすい環境作りをサポートするプロ

杉山絵理プロ

職場環境コンサルタント

杉山プロデュース

企業の業種に合わせた教材や、希望の研修方法など小回りの効く対応やアフターフォローで、外国人就労者と日本人の両者がストレスなく働ける環境作りをサポートします。

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