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創業から半世紀余りの実績をもとに、手仕事で表情豊かに仕上げる左官業を展開

住宅などの内外装を手掛ける左官工事のプロ

南川茂寿

南川茂寿 みなみかわしげとし

#chapter1

住宅をメインに左官工事を手掛け、デザイン性に富んだ特殊左官にも対応

 モルタルなどの塗り材を現場で練り、鏝(こて)を使って塗り上げる左官業。北海道帯広市で1967年に創業した「南川左官工業」の代表取締役・南川茂寿さんは、住宅や店舗の外壁、外構、室内の天井、壁など、3人の職人とともに年間数十件を超える案件を手掛けています。

 「最終的にはクロスやタイル等が張られ、表には出てこないことも多いので、左官は縁の下の力持ちのような存在でしょうか。建物の外観や内装の美観を整える際に、下地をミリ単位で調整するのが私たちの役目。決められた工期を厳守し、次の職人さんにバトンを渡すことを第一に考えています」

 顧客の約9割はハウスメーカーや工務店。最近は、サンゴ礁をルーツとする漆喰や植物プランクトンの化石を原料にした珪藻土など、調湿効果のある自然素材が注目を集め、個人からの依頼も増えていると言います。

 「ご要望を正確に把握するため、元請け業者さんに掛け合ってお客さまと直接話をしたり、事前にサンプルを作ったり、イメージをすり合わせることを心掛けています」

 また特殊左官と呼ばれる技法も駆使。壁面などに扇や波のような曲線を描いたり、くしのように細かいラインを入れたり、木目調、石目調などさまざまなデザインを施します。

 「今は住宅がメインですが、これまでにビルなどの大型建築物にも多く従事し、全国各地の現場に赴いてきました。以前、呉服屋さんの壁を大理石のごとくまだらに塗ってほしいという難しいオーダーを受けた時には、デザイナーさん、塗装屋さんとコラボしてお客さまの希望に応えたこともあります」

#chapter2

システムエンジニアから30代で左官の道へ。父の急逝により家業を継ぐことに

 南川さんが現在の道に進んだのは30代のとき。子どもの頃から家業である左官業を手伝うことはありましたが、就職先に選んだのはIT業界でした。オフィスワーカーに憧れてシステムエンジニアになったものの、精神的なダメージが重なって仕事を続けることが難しくなったそうです。

 「時期を同じくして父から手を貸してほしいと言われ、実家に戻りました。昔は嫌がっていた左官の世界ですが、体を動かして働いた後はご飯がおいしく感じられ、自分の肌に合っているなと思いました。パソコン作業のように、目を酷使しないのもありがたかったですね」

 公共工事に携わっていた20年ほど前には、浄水場を担当したことも。左官工事だけで1億円を超える大規模案件で、無事やり遂げた時は仲間とともに大きな達成感を味わったと振り返ります。スキルを磨き、順調に実績を積んでいたさなかに父が急逝。2016年、会社を継ぐことになりました。

 「どの銀行に口座があるのか、どんな保険に入っているのかも分からないまま、すべてが手探り状態で苦労もありました。現場が減る冬季には北海道一円、さらには全国を走り回って施工を請け負い、コロナ禍もなんとか乗り越えることができました」

 父に代わり社を率いる立場になった南川さん。各方面からのニーズに応え、豊富な提案力で事業を維持・成長させてきました。
 「お住まいであれば、リビングの壁にタイルを張るのもおすすめです。重厚感や高級感が生まれ、上質で洗練された雰囲気になります」

#chapter3

技を追求し続け、終わりがない左官の魅力を伝え、次世代の育成にも注力

 南川さんいわく、左官の醍醐味は終わりがないということ。手作業ゆえに、鏝に伝わる感覚一つで仕上がりが変わり、常に研さんを重ね、技を極めきれないことこそが魅力だと語ります。

 業界では人材不足が叫ばれて久しいですが、南川さんの下では20~30代の若手が腕を磨いています。室町時代から受け継がれてきた工法を次世代に伝えるべく、講習会にも積極的に参加しています。

 「うちにいる30代の職人は、まったくの未経験からスタートしました。今ではどこでも通用する技術を身に付け、活躍してくれています。彼のような若者が一人でも多く来てくれることを願っています」

 南川さんが近年のライフワークにしているのが、子ども向けの「光る泥団子教室」。もともとは、左官職人の手習いとしていたものを地域の幼稚園で開催したところ大好評。今では地域のお祭りやイベントなどからも声が掛かるようになりました。

 「街の中で子どもから『泥団子のおじさん!』と指を差された時は、うれしかったですね。みなさんも機会があったら、左官の仕事をじっくり見てください。表現の幅が広いことがお分かりいただけると思います。塗り重ねることで多彩な表情を出し、趣ある空間をかなえていきたいですね」

(取材年月:2024年6月)

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南川茂寿

住宅などの内外装を手掛ける左官工事のプロ

南川茂寿プロ

左官業

有限会社南川左官工業

創業50年超、3人の職人とともに年間100を超える現場を手掛ける一級左官技能士。住宅から大型建造物まで幅広く手掛けてきた実績をもとに、顧客からの幅広いリクエストに応えます。

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