地域の美観を守り、彩りを与える塗装のプロ五十嵐真佐紀

地域の美観を守り、彩りを与える塗装のプロ

五十嵐真佐紀

現地調査から施工、アフターフォローまで自社で責任を持ち一貫して対応

　「塗装の目的は建物の保護と美観の向上です。屋根や外壁は日々紫外線や雨風にさらされ、定期的に手入れをしなければ色あせが生じるだけでなく建材なども劣化が進み、修繕費用がかさみます。培った知識と技術で住まいの寿命を延ばすお手伝いをいたします」

　そう語るのは、北海道帯広市に拠点を構える「五十嵐塗装工業」代表の五十嵐真佐紀さん。1975年に創業して以来、約50年にわたり地域密着で活動し、戸建てやマンションといった住宅塗装を受注。こだわりは外注や下請けに出すことなく、現地調査から施工、アフターフォローまで自社で責任を持って一貫対応することです。

　「診断や打ち合わせはすべて私が担当します。屋根に上がり不具合がないか詳細に調べ、図面がない場合は測定して面積を算出します。写真も撮影してお客さまに結果をご報告し、工事内容をご案内します。場合によっては『まだ塗り替えなくても大丈夫』とお伝えすることもあり、お見積もりは無料ですので気になることがあれば気軽にお声がけください」

　防汚性や耐候性、断熱・遮熱性など各種塗料を扱い、立地や顧客の要望などを踏まえて選定。色選びや配色はカラーシミュレーションを活用し、景観や周辺の住宅に調和する色を提案しています。

　「ひび割れは補修し、雨漏りがあれば板金業者に頼んで修理します。下地を丁寧に整えた上で、塗料メーカーの施工要領に従い、素地調査をして下塗り、中塗り、上塗りと塗りを重ね、しっかりと塗膜厚を形成します。適切な工程を踏むことで色つやが長持ちし、耐久性などの性能も発揮して建物を健康に保つことができます」

職人が働きやすい環境づくりで丁寧な仕事をかなえ、質の高い仕上がりを追求

　五十嵐さんは大学卒業後に建設会社に勤務し、父親の病気を機に家業を継ぐ決断をしました。2代目に就任した2011年、最初に着手したのが就労環境の整備でした。

　「当時は業者の多くが、福利厚生が不十分な状況でした。働きやすい会社でなければ若手が入ってこないと考え、健康保険や厚生年金といった社会保険への加入を従業員に適用しました。日曜日は必ず休みにする、資格取得をサポートするなど制度を拡充しました」

　従業員9人のうち、20代が3人、30代が2人と若手が半数を占め「息子を育てるような感覚で、育成が楽しい」と目を細めます。

　「お客さまから『近隣にもちゃんとあいさつをしてくれる』『説明が丁寧で後片付けが徹底している』など、従業員に対するお褒めの言葉をいただくと、自分のこと以上にうれしくなります」

　塗装は単調な作業ではなく、建物の状態や依頼内容によって毎回異なるノウハウが求められ、変化があるのが大きな魅力とのこと。コテを使った塗り壁風などデザイン性の高い技法も手掛け、職人たちは常に研さんを重ねて成長しています。

　「塗装は飽きることがないと思います。例えば、日当たりがいいとすぐに乾いてムラになりやすく、気温や日照条件によって塗る順番や塗り方を変えるんです。質の高い仕上がりを目指して技巧を凝らし、一つの作品を作るようなもので完成後は達成感があります。屋外で作業をするので開放感もあり、季節の移ろいを感じられるのも醍醐味です」

冬季は船や橋梁の塗装工事を請け負って雇用を維持し、技術の承継にも注力

　寒さが厳しく降雪量が多い北海道において、冬場は塗料の乾燥や定着に適さないため、五十嵐さんのもとでは住宅以外の案件にも赴いています。

　「当方は船や橋梁の塗装工事も担っています。橋梁は川の水量が減る冬の方が足場を組みやすくなり、橋を囲むように足場を組むことで温度確保もできるんです。冬季の雇用を維持し、職人たちの安定した生活を支えるのも私の役目です」

　人手不足が進む昨今、塗装業界全体として後進の育成と技術の継承は大きな課題です。五十嵐さんは、帯広塗装工業協同組合が実施する育成事業の一環として、職業訓練校における塗装工の学科・実技指導を担当。長年にわたり塗装科長を務めた功績が認められ、北海道知事より感謝状が贈呈されました。

　悪徳業者による手抜き工事が問題視される中、「技術の安売りはしない」という姿勢も貫きます。
　「安価で請け負えば現場に無理が生じ、質の低下につながります。ありがたいことに、弊社のお客さまは情報をチェックして適正価格をご存じの方ばかりです。『なぜこの塗料を使うのか』『なぜこの工程が必要なのか』をお伝えして理解を深めてもらい、お客さまからのご紹介や口コミでご依頼が多いのも、正直な仕事がもたらす成果だと思っています」

　母親がいつも笑顔でいたことから、明るい毎日を届けたいと「笑顔と信頼」をモットーに掲げる五十嵐さん。「お客さまにとって最善は何かを追求し、家族の皆さまが末永く幸せに暮らせるように、大事なマイホームを全力で守ります」と熱意を見せます。

（取材年月：2025年2月）

塗装の目的は「保護と美観」、地域に根差した塗装店として住まいの健康を守る

現地調査から施工、アフターフォローまで自社で責任を持ち一貫して対応

職人が働きやすい環境づくりで丁寧な仕事をかなえ、質の高い仕上がりを追求

冬季は船や橋梁の塗装工事を請け負って雇用を維持し、技術の承継にも注力

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