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「健康」と「終活」は未来への自己投資。闘病経験と薬剤師の知見をもとに専門サポート

薬と医療・終活をつなぐ健康支援のプロ

中下麻衣

中下麻衣 なかしたまい

#chapter1

「薬剤師×闘病経験」で築いた、健康と終活の頼れる相談窓口

 「私が闘病を始めた頃に探し求めていた窓口を、自分の手で作り上げたいと思いました」と語るのは、「あやめグループ」代表で薬剤師の中下麻衣さん。札幌市を拠点に、健康や終活に関する相談を受けています。

 健康食品、睡眠改善、スポーツ、健康経営、学校教育、社会啓発などの各分野に専門の窓口を設け、薬学の知識をベースにセルフメディケーション推進を目指し、セミナー講師やメディア出演、執筆も展開。健康診断結果の捉え方、睡眠の質の改善方法、サプリメントと薬の相互作用など、専門的でありながら生活に密着した情報提供を行っています。

 中下さんは、ボランティア活動や吹奏楽など活発な子ども時代を送りながらも、長年体調不良に悩まされてきました。薬学部在学中にようやく希少難病の診断を受けたといいます。当時はまだ指定難病にも指定されておらず、情報の少ない病気でした。

 「根本的な治療法がなく、主治医と相談しながら試行錯誤を続ける日々でした。どのように診断にたどり着いたのか、どんなふうに情報を集めたのかを共有したくてブログを始めたんです」

 闘病記録として始めたブログは、いつしか病気を抱える人たちの交流の場となり、相談も次第に増えていきました。大学卒業後は、調剤薬局勤務や新型コロナワクチンのコールセンター立ち上げに従事。その後、自立訓練事業所から依頼を受けて、医療機関への同行支援や服薬相談を行いました。

 法人内では子どもたちに勉強を教える講師としても活動。「情報を整理して分かりやすく伝えることが得意」と笑顔で話します。

#chapter2

医療・福祉・教育の現場を経て、寄せられた声に100%応えたいと起業

 医療・福祉・教育の現場で経験を重ねるうちに、「声をかけてもらったことにはすべて応えたい」という思いが中下さんの原点に。闘病経験者として、薬剤師として、人々の“困りごと”に正面から向き合ってきました。

 健康相談に加え、終活分野への要望も増えたことから、一般社団法人終活協議会認定の心託コンシェルジュなど、終活関連の資格も取得。病気の診断を受けてから10年かけて得た知見をもとに、2025年に「あやめグループ」を設立しました。社名には「よい便り」「希望」という花言葉を持つ「あやめ」の名を掲げ、「一人ひとりの未来に希望を届けたい」という願いを込めています。

 「寄せられた相談に100%誠意を持って応えていきたいと思ったとき、知識がいくらあっても足りないと痛感しました。だからこそ勉強を重ね、常に新しい情報を得られるよう独自のデータベースを構築。どんな相談にも根拠を持って応えられる体制を整えました」

 提唱するのは「未来支度」という考え方です。
 「終活は人生の終わりに向けた活動のことを指しますが、私が伝えたいのは、今から未来への支度をしようということ。若い世代にも前向きに取り組んでほしいんです」

 若くして難病を抱える方や、その家族からの相談も多く寄せられています。「子どもが病気になったとき、何を準備すればいいのか」「自分が病気になったとき、家族に何を残せるか」。そうした悩みを安心して話せる「心の窓口」として、中下さんは寄り添い続けています。

#chapter3

未来への自己投資としての「健康」と「終活」

 現在、中下さんはオンライン相談を通じ、全国の相談者に対応しています。なかには、希少難病を抱え日本で治療を受けられる病院を探している外国籍の患者も。

 「診断がつかずお困りの患者さんから相談を受け、病院探しから受診までサポートしました。『診断を受けられました』と報告をいただいたときは、本当にうれしかったですね」

 医療現場では、体調や経過をうまく言葉にできず、診察時に戸惑う人も少なくありません。自身の経験から、そうした人たちが医療機関で適切な支援を受けられるよう寄り添っています。

 「私もかつて、症状をうまく伝えられず病気が進行してしまったんです。もっと早く診断につなげて治療を始められたらと、今でも悔いが残っています。自分の状態をどう伝えれば医師に伝わるのか、それにはコツがあると感じました」

 安心して治療に専念できる医療体制を整えることは闘病の第一歩。正確な診断を得るための履歴の整理、医療機関との関係づくりもサポートしています。

 「闘病生活では人の支えが必要になる場面が訪れます。でも、さまざまな人の力を借りながら、自分の思う人生を謳歌してほしい。それが私の願いです」

 闘病経験者として、薬剤師としての視点から、「健康」と「終活」はどちらも「未来への自己投資」と語ります。個別相談から講演、地域での啓発活動まで幅広く展開し、誰もが安心して未来を描ける社会を目指す中下さん。その根底にあるのは、座右の銘「一念通天」「蟻の思いも天に届く」。

 「最初は小さなブログからのスタートでした。『お互い頑張ろうね』という思いが、今の事業につながっています」

(取材年月:2025年10月)

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中下麻衣

薬と医療・終活をつなぐ健康支援のプロ

中下麻衣プロ

薬剤師

あやめグループ

薬剤師としての専門知識と自身の闘病経験、豊富な資格と情報整理力を生かし、健康・終活に関する相談窓口を開設。セミナー講師やメディア出演、執筆により、専門的かつ生活に密着した情報提供も行っています。

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