品物の価値を見極める遺品整理・生前整理のプロ小椋真樹

品物の価値を見極める遺品整理・生前整理のプロ

小椋真樹

丁寧に価値を見極めて多種多様なアイテムを買い取り、値引きした料金を提示

　「故人さまに思いを寄せ、ご家族のお気持ちに寄り添い、手元に置いておかれる形見などを仕分けながら、住まいに残された家財を片付けます。手放すにあたっても、処分されるのはしのびないという方もいらっしゃいます。お預かりしたものは無駄にすることなく、新しい居場所を見つけます」

　そう話すのは、広島市の「Wise world」の代表・小椋真樹さん。「ナーガサポート」という屋号を掲げ、遺品・生前整理、不用品の買い取り・回収を手掛け、広島県内と近隣の山口県や島根県に赴きます。

　「当方では、お引き取りする品を丁寧に評価して価値を見極め、値付けした分を引いてメニュー料金を提示します」

　ネックレスや指輪といったジュエリー、コレクションした切手や骨董品、家具・家電、食器、楽器など買い取るアイテムは多岐にわたります。「使い込んだブランドバッグや時計、壊れたおもちゃなどでも大丈夫です。『古くて無理だろう』というものも金額が付く場合がありますから、諦めずにお声掛けください」

　遺品整理の際には仏壇の回収を頼まれることもありますが、小椋さんのもとではお焚き上げの手配をし、供養証明書を発行しています。

　また、顧客の元から持ち帰った品々は、廃棄せざるを得ない場合を除きオンライン上で販売。「捨てればごみでも使えたら資源」の考えに基づいて、次の持ち主を探す努力をしています。

　「お客さまが大事にされてきたものですから、できる限り活用することを心掛けています。お見積もりは無料ですので、ご自宅の売却、解体の際もご用命ください」

親族の遺品整理で大事にされてきた品を引き継ぐことに使命感を持ち独立

　1989年に広島市で生まれた小椋さん。高校卒業後、飲食店勤務を経てリサイクル業界へ転身しました。

　「ある日、大叔父の他界に伴い遺品整理を手伝いました。大叔父や亡き祖父母の思い出話を聞いたり、親戚が遺品を懐かしそうに眺めている様子を見たりするうちに、愛用品などを次の方に引き継ぎ、再び役割を与えることにやりがいと使命感を覚え、この仕事で身を立てたいと考えるようになりました」

　査定や回収のノウハウを磨いた小椋さんは、2019年、30歳の節目を迎えたタイミングで独立を決意します。「個人事業主として『ナーガサポート』を立ち上げました。ナーガとは蛇の神様で、守り神です。私が蛇年生まれだったので命名しました」

　当初は、知り合いのつてをたどるほか、不動産管理組合に足を運んで営業活動に励み、ポータルサイトも駆使して集客していました。「2020年にはコロナ禍に見舞われましたが、在宅勤務が広がった結果、家をきれいに保ちたいという人が増え、お問い合わせが増加しました」

　住まいを整理整頓し、快適に過ごせる空間を提供するサービスは需要が高く、忙しい毎日を送りますが、次第に不安が募ってきたそうです。「ご依頼の数が増えて従業員を雇うようになると、『何としても給料を払わなければ』とプレッシャーを感じるようになったのです。事業を維持・発展させるためにも、仲間の存在を原動力に変え、お客さまに喜んでもらえるよう一つ一つの仕事に誠実に向き合ってきました」

必要なものが必要な場所に行き届く世の中の実現を目指し、事業を拡充

　個人の顧客に加え、不動産や建築関連業者など法人からの案件も請け負い、実績を積んだ小椋さんは2022年に法人改組。社名の「Wise（賢い） world(世界)」には、必要なものが必要な場所に行き届く、道理にかなった賢明な世の中をつくりたいとの願いを込めています。

　ビジョンを実現するため、買い取り・回収した品々を東南アジアへ販売する事業もスタートします。「日本国内では流通が難しくても、海外ではニーズがある製品も少なくないんです。まだ使えるものが次の方に渡り役に立つことは、資源を再利用する上で非常に意義深いですし、これまでは無理だった品にも値段を付けられるようになり、お客さまのためにもなります」

　広島発のフランチャイズ展開を目指し、全国に店舗を構えることも目標に掲げる小椋さんは、知名度の向上にも力を入れていきたいと言います。「残念ながら、買い取りやリユース業界に対し良い印象をお持ちでない方もいらっしゃるので、安心感を与えたいと考えています。従業員を大切にすることで職務へのモチベーションを上げ、お客さまに細やかに配慮し、責任を持って適切に品物を扱う組織づくりで信頼を築いていきます」

　高い志を持つ小椋さんにとっての先生は、日々出会う一人一人の顧客だとか。「まだまだ勉強しなければならない点は多々あります。お客さまから『こうしてほしい』とご要望をいただく機会もあり、可能なものは迅速に取り入れることで期待に応えていきたいですね」

（取材年月：2024年7月）

遺品・生前整理、不用品の買い取りや回収で大切な品を預かり、必要とする人の元へ

丁寧に価値を見極めて多種多様なアイテムを買い取り、値引きした料金を提示

親族の遺品整理で大事にされてきた品を引き継ぐことに使命感を持ち独立

必要なものが必要な場所に行き届く世の中の実現を目指し、事業を拡充

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