防災とAED設置を通じて地域の安心を守るプロ
谷口龍央
Mybestpro Interview
防災とAED設置を通じて地域の安心を守るプロ
谷口龍央
#chapter1
「誰かを守れる社会にしたい!」を理念に掲げAED(自動体外式除細動器)の普及に取り組む「AEDパートナー協会」の代表・谷口龍央さん。元消防士としての経験を持ち「特に子どもが集まる施設やスポーツチームは1台以上の所有を」と呼びかけます。
AEDは、心臓に電気ショックを与えて正常なリズムに戻すための装置で、音声ガイダンスに従って操作できます。処置が必要かどうかを自動で判断するため、一般の方でも安全に使用することができます。近年は学校や公共施設などで目にする機会も増えていますが、「まだまだ数が足りていない」と谷口さんは訴えます。
自身にも子どもが生まれ、事故などで幼い命が失われたと聞くたびに「AEDがあれば助けられたかもしれない」と痛感したことが活動の原点に。消防士としての経験から、リュックサックやスポーツバッグに収まる携帯型AEDを推奨しています。
「校外学習、部活動の遠征、あるいはスポーツクラブの練習や試合時にはAEDがそばに無い可能性があります。学校のマラソン大会や運動会でアクシデントが起きた場合、最寄りのAEDに駆けつけ処置を施すまでにどれだけ時間を要するのか分かりませんよね。そんな時に携帯型が手元にあれば、救命の可能性は高まります」
導入時には、目的に応じた機器の仲介や、実際の使用を想定したレクチャーも実施。特に広島県府中市近郊では、現場に即したサポートが可能です。
「地方では“自助・共助・公助”のうち、後者2つに頼れないケースもあります。人里離れた場所での活動や、病院が遠い地域、救急車の台数が限られているエリアなど、環境に不安がある場合はぜひご相談ください」
#chapter2
谷口さんは大学でテニス部に所属。体を動かすことに充実感を覚え、卒業後は福山市の福山地区消防組合に入庁しました。
「当初は消防士としての知識や体力を高めることに意義を感じましたが、数々の現場を目の当たりにし『命を救うため本当に必要なのは、アクシデントを未然に防ぐ安全対策ではないか』と考えるようになりました」
2019年、滋賀県大津市で発生した保育園児の交通事故に大きな衝撃を受け、「行政に頼るだけでなく、自ら動いて社会を変えたい」と決意。まずは交差点への歩行者保護ポール設置から活動を始めました。資金を貯めようと20年にわたり勤めた消防を退職し、海鮮丼専門の「炎の丼丸 府中店」のオーナーに転身。以前から店のファンだったと話します。
「マグロやイカ、イクラなどを自由に組み合わせられる丼を提供しています。お勧めは私が考案したシラス、サーモン、温泉卵にごま油をかけた『府中丼』です」
その後、より本格的に社会貢献へ力を注ぐため、2025年6月に「AEDパートナー協会」を設立。協賛企業を募り、AED導入を希望する施設への費用支援を行う仕組みづくりを進めています。
「スポンサーの皆さまには、数千円からご協力いただけます。お礼として設置したAEDのそばや配布物に企業名・メッセージを掲載し、広報支援につなげます。広告でありながら寄付控除の対象にもなるため、社会貢献と企業PRを両立できる仕組みです」
#chapter3
谷口さんが掲げる使命は「子どもたちの笑顔を守ること」。導入したAEDが実際に使われる場面はないかもしれない、むしろ“あってほしくない”と語りながらも、万が一に備えることの重要性を改めて訴えます。
「野球の試合中に打球が胸に当たり心臓震とうを起こした子が、近くにあったAEDで助かったケースがあります。一方で、水泳の授業中に溺れ、プールにAEDがなく救急隊の到着が間に合わなかった子もいました。こうした事例を見ると、やはりAEDは命を救うための大切な道具だと実感します」
自身の子どもが通う保育園にもAEDを寄付しており、教職員からは「外出時の安心感が違う」と感謝の声が寄せられたといいます。谷口さんは「まずは全国の未就学児施設に2台以上のAEDを導入したい」と目標を語ります。
「交通事故を防ぐ、交差点へのポールの設置も、継続して取り組みたい活動の一つです。協賛者名を掲示できるネーミングライツの仕組みを活用し、すでに府中市内での設置事例もあります」
今後は「旅先納税」の活用にも注力する考えです。出張や旅行先でふるさと納税を行い、事務手数料を府中市内の事業者に還元。その資金をAED設置に充てることで、地域経済の活性化と子どもの安全確保を同時に実現する循環型の仕組みづくりを目指しています。
「命を守る活動は、私一人の力では限界があります。企業や自治体、地域の方々との連携を深めながら、今後も誰もが安心して暮らせる社会づくりに貢献していきたいです」
(取材年月:2025年9月)
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防災とAED設置を通じて地域の安心を守るプロ
谷口龍央プロ
防災・安全対策
一般社団法人AEDパートナー協会
20年の消防士経験を基にAEDの重要性を伝え、保育園や学校、スポーツ団体への導入を仲介。協賛企業を募って費用負担の仕組みを整えるほか、歩行者保護のためのポール設置にも注力し、子どもたちの笑顔を守ります
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