PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

廃棄物をリサイクルする「資源循環技術」の普及に努め、環境保全に寄与することを目指す

独自開発の装置で廃プラスチックの再資源化に挑むプロ

松原宏行

松原宏行 まつばらひろゆき

#chapter1

廃プラスチック類や廃タイヤを再資源化する「乾留熱分解油化装置」を開発

 日本は石油や天然ガスといった化石燃料のほとんどを海外から輸入していますが、昨今は原油の約9割を中東から輸入していることから、エネルギー不足による製造分野の減産などが懸念されています。また、2025年に「再資源化事業等高度化法」が施行され、地球温暖化を招く温室効果ガスの排出量を削減し、脱炭素化を進めるため、リサイクル技術・産業の促進や、再生材の安定供給が推進されています。

 広島県三原市に拠点を置く「両備自動車」の会長・松原宏行さんは、貴重な資源を有効活用すべく、環境機器の開発事業を展開。「資源循環技術支援機構」の代表理事も務め、廃棄物の再利用や環境負荷の低減に力を尽くしています。

 「私が17年の歳月をかけて完成させた『乾留熱分解油化装置』は、廃プラスチック類や廃タイヤから油を抽出して再資源化できるのが特徴です。原油を精製する過程で得られる液体・ナフサなどから作るプラスチックを元に戻すイメージで、日本のような資源が乏しい国で有用な技術だと確信しています」

 密閉式の容器に廃プラ類を投入し、加熱の際に発生するガスを冷却・凝縮することでボイラーなどに使える油を回収。さらに、分離された炭化物を粉砕することで、ゴム製品などの補強材になるカーボンブラックや、不純物を吸着する活性炭の原料として応用できます。

 「結合している分子構造をバラバラにするので、毒性が強いダイオキシンなどの化合物の無害化を図ることもできます。例えば、産業廃棄物の焼却時に排出される有害物質に悩まされている地域で、汚染トラブルの解消につなげることもできます」

#chapter2

船や潜水艦の設計で得た資源循環の視点を、マテリアル・リサイクルに反映

 松原さんは大学の工学部で船舶工学を専攻し、卒業後は造船業に従事。地球環境に関心を持ったきっかけは、重工業メーカーに出向していた時のことです。

 「生産工程では燃料を燃やし、二酸化炭素が放出されます。ものづくりにおける高い技術で、環境に配慮する仕組みを作るべきだと、忸怩(じくじ)たる思いを抱きました」

 2000年に両備自動車に入社。自然破壊などを防ぐ一助として、環境機器を開発する事業を立ち上げます。

 「120日以上海面に浮上することなく無補給で水中に滞在する潜水艦の設計に携わったこともあります。密閉した空間で、人間が吐き出す二酸化炭素からどうやって酸素をつくり、ゴミや排水をどう循環させるかという知見を備えているのが強みになりました」

 資源を一方通行で消費するのではなく、再生利用する視点を開発業務に反映。廃棄物を材料へと変換し、新たな製品を生み出す「マテリアル・リサイクル」を目指しています。

 「衣食住のサイクルと廃棄物の処理プロセスを把握していないと、潜水艦や船の設計はできません。物を循環する考え方は、地球上においても同じです。人間が作り出すゴミや不都合な物質を、環境に影響を与えない状態にするまで責任を持つのは、技術者として当然のことです」

 乾留熱分解油化装置は、松原さんが恩師から受け継いだ教えを具現化したもの。「先生方が日本のために築き上げたノウハウを、環境保全のために役立てることが私の役割」と力を込めます。

#chapter3

自らの経験を踏まえ、「駆け込み寺」として困りごとを抱える人を支援

 自らについて、弱者や困っている人を放っておけない性分だと語る松原さん。権力者に臆することなく正論を述べるので、周囲から「変わり者」と言われることも。体制などに対する反骨精神は、幼少期の学校教育の場で芽生えたそうです。

 「私は、生まれた時から障害がありました。通常の学校に通学しましたが、障害者を排除するような不当な扱いを受けたことも少なくありません。そんな対応に屈したくない思いが、私の根底にあります」

 自身の経験も踏まえ、生活の中で生じる困りごとや不安をすくい上げる活動にも注力。利用できる制度やサービス、相談先に関する情報を提供しています。

 「自分に適したサポートを知ることで、経済的な負担を軽減できたり、今後の見通しが立って気持ちが軽くなったりする場合もあります。一人で抱え込まず、声をあげてほしいですね」

 助けを求めている人に手を差し伸べ、必要な手だてを案内することで苦境から抜け出してほしいと願う松原さん。状況に応じて、適切な窓口につながる大切さを伝えています。

 「資源循環技術の普及に努め、環境問題の解決に貢献するとともに、駆け込み寺のように、どんなご相談も受け止めたいと考えています。私の人生経験やビジネスで培った調整力などを生かし、苦しんでいる人や理不尽な思いをしている人を、寸暇を惜しまず支援することが目標です」

(取材年月:2026年6月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

松原宏行

独自開発の装置で廃プラスチックの再資源化に挑むプロ

松原宏行プロ

自動車整備業

両備自動車株式会社

17年をかけて開発した乾留熱分解油化装置で、廃プラスチックや廃タイヤの再資源化に取り組みます。船舶設計で培った資源循環の考え方を生かし、環境負荷の低減や有害物質対策を見据えた技術開発を進めています。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ広島に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または中国新聞社が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO