頭痛診療のプロ
井上健
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頭痛診療のプロ
井上健
#chapter1
日本人の約840万人が罹患(りかん)しているとされる片頭痛。苦しんだ経験のある人も多いのではないでしょうか。これくらいは仕方ないとがまんしがちな頭痛ですが、「がんばれば、かなりのレベルでコントロールできますよ」と話すのは、「いのうえ内科脳神経クリニック」の院長・井上健さんです。
井上さんは、父親の俊一郎さんが1970年に開業した医院を引き継ぎ、2012年8月より同クリニックで診察を開始。以来、風邪や腹痛などの一般内科をはじめ、専門の脳神経内科で頭痛・めまい・しびれなどの症状から脳卒中・パーキンソン病・運動機能異常、脳脊髄末梢神経関連の整形外科疾患・脳神経外科疾患まで幅広く治療を行ってきました。片頭痛だけで年間約900人以上を診察。西洋医学を根本としながら、東洋医学も積極的に取り入れた治療には定評があります。
「頭痛は投薬治療に加えて、生活習慣の改善や体操などでかなりコントロールできます。子どもと大人では症状の出方が違ったり、誘発要因も人によって異なったりとさまざまですが、当クリニックでは予防薬として一人一人の患者さんに合った漢方も処方することで大きな効果を上げています」
軽い頭痛だと市販薬を使う人も多いと思いますが、これも使い過ぎると「薬剤の使用過多による頭痛」を引き起こすこともあるそうです。
「月に15日以上市販薬を使う生活が3カ月以上続くとそうなります。ここまで来ると薬も効かなくなり日常生活に支障をきたす場合も。しかしながらこの頭痛も予防薬と頓服薬を併用する治療で改善が期待されますので、まずは診察を受けてほしいですね」と井上さんは言います。
#chapter2
脳神経内科専門の医師として、これまで数多くの患者を診てきた井上さん。単なる頭痛、あるいは原因不明と思われていた人から、思いもよらなかった病気を発見することもあるそうです。
「4年ほど前から頭痛が始まり、2年前からは毎日頭痛に苦しんでいた患者さんがいました。これまでMRI検査やCT検査をしても緊張型頭痛あるいは原因不明とされ、なかなか改善されませんでした。問診では、症状は頭痛と全身倦怠感のみとのことでしたので、これだけではやはり緊張型頭痛と診断されてもおかしくはありません。しかし私は患者さんが診察室に入ってくる姿勢と歩き方や顔の表情を見てパーキンソン病だと思いました。当初患者さんもご家族も半信半疑でしたが、私の説明で納得され、投薬治療することで2週間後の再診時には頭痛はなくなっていました」
また、原因不明の息苦しさで10年近くも総合病院の呼吸器科にかかっていた患者の場合。その「表情」を見ただけで微妙な表情筋の筋萎縮と口唇周囲の震えに気付き、遺伝子の異常が原因で発症する球脊髄性筋萎縮症であると分かったと言います。これらの話は、まさに「専門医だからこそ」と言えるでしょう。
「『餅は餅屋』で、経験を積むといろいろ分かるようになるんですよ」と穏やかにほほ笑む井上さん。専門医を受診することの重要性を痛感しました。
#chapter3
「『町のかかりつけ医』として多くの患者さんから慕われている父の姿は、子ども心にショッキングでした」と医師を志した原点を振り返る井上さん。
高校時代は数学の道に進もうとするも結局は医学部へ進学。「まねをしたつもりはないけれど、気付けば専門も研究分野も父と全く同じ。不思議ですね」と笑顔をみせます。
広島大学病院、アイオワ大学、川崎医科大学付属病院などで経験を重ね、県立広島病院脳神経内科部長を経て、父の医院を継ぐ形で独立しました。
「生前、父は私に『やりたいようにやった方がいい』と言ってくれました。それは経営のことばかり考えるのではなく、患者さんのためになることをしろという意味だと考えています。そのため設備投資も積極的に行い、MRIやCT、脳波計、筋電計、超音波エコーなど各種検査機器も充実させました。頭痛に関連する内科疾患から精神疾患まで網羅するために、これらの検査機器が活躍することも多いですね」
地域の身近な医院として親しまれてきたこれまでの歴史は生かしつつ、専門の脳神経の分野に特化した治療にもさらに力を入れていきたいと話す井上さん。
「『たかが頭痛、されど頭痛』で、その裏にはくも膜下出血や脳腫瘍など命にかかわる病気が隠れていることもあります。また貧血や甲状腺異常など一般内科の病気が原因の場合もありますし、睡眠時無呼吸症候群が見つかる人もいます。たかが頭痛と軽視せず、まずは気軽に当クリニックを訪れてほしいですね」と呼びかける井上さんに、医師としての強さとやさしさを感じました。
(取材年月日:2019年1月)
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Profile
頭痛診療のプロ
井上健プロ
内科医
いのうえ内科脳神経クリニック
あらゆる頭痛の原因を診断するためには脳だけの専門でなく全身を診ることが必要になることもあります。
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