多様なソリューションを扱い製造業の課題解決を導くプロ山本康雄

多様なソリューションを扱い製造業の課題解決を導くプロ

山本康雄

数千種類の中から製品を厳選し、組み合わせて生産性や品質の向上に貢献

　製造業の顧客を中心にコンサルティングし、課題解決につながる機械や工具を紹介している「大栄産業」の代表・山本康雄さん。祖父が立ち上げた商社は60年近い歴史を誇り、地元・広島の自動車部品メーカーを中心に、島根や山口、滋賀の企業もサポートしています。

　「扱えるソリューションは数千種類に及びます。1台で多様な加工を行えるマシニングセンタや、切削の量や位置をプログラム制御できるNC旋盤、多関節ロボットなど機能性に優れた機械も用意できます。お客さまの困り事をヒアリングし、豊富なラインアップから製品を厳選したり組み合わせたりして、生産性向上につながる仕組みを構築します」

　主な改善例は「部品の製造工程が2分から30秒に縮まった」「ダイヤモンドツールに変えて精度を高めた結果、毎月100万円分ほど発生していた不良品がほぼゼロになった」など。製品知識の深さに加え「勝負は物を売った後から始まる」という伴走支援の姿勢も評価されています。

　「中小企業診断士と連携し、設備導入時の補助金申請もお手伝いします。さらに省エネ機器の販売、製造ラインや事務作業のデジタル化、組織改革のコンサル、採用に向けたPR動画の作成などもフォローできます」

　また、多くの工具類にはタングステンやコバルトなどのレアメタルが使われていることから、海外流出を防ごうと国内でのリサイクルにも力を入れているとか。

　「日本の製造業を多角的に応援しています。『昔ながらの手作業を見直したい』『従業員の意欲を高めたい』『事業承継に不安がある』など、何でもご相談ください」

顧客への敬意と感謝の言葉を糧に知見を増やし、3代目社長に就任

　山本さんは大学の法学部を卒業後、全国に数万人の登録者を抱える人材派遣会社に就職。偶然にも製造業の営業担当になり、5年にわたりクライアントとスタッフの橋渡し役に徹します。

　「就職氷河期のなかで当時勢いのあった人材業界を選びました。一連の仕事を覚えて転職を意識し始めた頃、父から法律関連以外の道を選ぶなら後を継ぐよう言われ『大栄産業』への入社を決意しました」

　知識ゼロからのスタートでしたが、「まずは顔を覚えてもらおう」と毎日のように顧客を訪ね、会話を重ねる中で簡単な相談や依頼を受けるように。比例して自社が扱う製品への理解も深まり、対応できる業務の幅が広がっていくことにやりがいを覚えます。

　「提案したことがお客さまに業務効率化や売り上げ増をもたらし『余力で新しい事業に挑戦できるよ』『おかげで従業員の福利厚生を拡充できた』などと喜ばれるようになりました。また文系出身の私からすると、鉄の塊を削って形を整える職人技を目にするだけでも胸が熱くなり、尊敬の念が尽きません。ものづくりを支えられることに感謝しています」

　経験を積み、祖父が1965年に立ち上げ、父が継いだ「大栄産業」の3代目代表に就任。当面は地元広島や近隣県でのシェア拡大を目標としています。

　「お客さまを増やし、元気づけたいですね。特に弊社のある呉市は大規模製鉄所の閉鎖も味わったので、以前のような活気を取り戻せるよう尽力するのみです」

個々の意思を尊重する組織づくりで成長を目指し、海外進出も展望

　入社当時は6人だった従業員も12人に増え「一人一人に対し責任を感じている」と山本さん。順風満帆とはいかないこともあったと語りますが、それぞれが充実した日々を過ごせるよう常に意識しています。

　「お客さまにも案内している組織改革のコンサルを実際に弊社も受け、代表の私から従業員と向き合う姿勢を変えた結果、離職率も下がっていきました。例えば理由のある遅刻や早退にはかなり寛容で、若手をはじめ各自がどんな将来を目指したいのか1on1ミーティングも交え共有しています。個々の意向を尊重する風潮になったと思います」

　特に長期勤続の事務職員がいるおかげで、自身も営業活動に専念できるとのこと。売り上げを伸ばして新たな人員を確保し、また業績が伸びるという好循環が生まれています。

　「私もまだまだ頑張りますが、従業員の誰もが会社の“顔”として活躍できるよう引き続き支えていきます。また、特定の分野を突き詰める専門商社で働く魅力や業務の醍醐味を発信し、さらにメンバーを増やして会社を成長させたいですね」

　その先は、アジアやアフリカへの事業展開も視野に入れているとか。日本の高品質な機械や工具は現地で憧れの存在であり、月額定額制を取り入れて導入のハードルを下げることも構想。農業機械の分野でも力になれると考えます。

　「地元の呉への思いも強く、特に街の高齢化を危惧しています。シニアを大切できるようなビジネスも立ち上げたいものです」

（取材年月：2024年12月）

機械や工具の商社にして、組織風土の見直しや採用面でも知見あり。製造業を多角的に伴走支援

数千種類の中から製品を厳選し、組み合わせて生産性や品質の向上に貢献

顧客への敬意と感謝の言葉を糧に知見を増やし、3代目社長に就任

個々の意思を尊重する組織づくりで成長を目指し、海外進出も展望

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