企業の業績向上をサポートする省エネ対策のプロ石川智治

企業の業績向上をサポートする省エネ対策のプロ

石川智治

施策に取り組む前と後を比較して効果を見える化し、補助金の活用も助言

　世界情勢の不透明化などを背景に電気料金が高騰し、多くの企業で電力量の見直しを余儀なくされています。また、原材料の調達から製造、流通に至るサプライチェーン全体で温室効果ガスの削減が潮流となる中、取引先から脱炭素への取り組みを求められている中小企業も少なくありません。

　群馬県高崎市の「三究知」代表の石川智治さんは、事業活動におけるエネルギーの使用状況を診断。工作機械の劣化や不具合による運転時のロスや、営業時間外の待機電力など、光熱費を抑える具体策を授けることで、経営改善や利益アップをサポートしています。

　「私どもは、工場などのものづくりの現場を中心に、福祉・行政施設、ホテル・旅館にも対応しています。電気、ガス、太陽光といった再生可能エネルギーなど、設備の形態も問いません」

　効果を実感してもらえるよう、石川さんは現状の使用量を明らかにした上で、施策を実行した後にどのように変化するかを分かりやすく提示。顧客に寄り添った伴走支援を心掛け、省エネタイプの設備を導入する際に役立つ補助金についても案内しています。

　加えて、換気用の排気装置を点検したり、粉じんなどから呼吸を保護するマスクフィットテストを実施したり、作業環境の質についても調査。物理的にも心理的にもストレスのない“我慢をしない省エネ”を目指します。

　「エネルギーというのは目に見えないだけに、無駄遣いにはなかなか気付きにくいものです。形がないものを可視化するのが当方の役割であり腕の見せ所。データに裏打ちされた、有用な手だてを提案いたします」

省エネ診断で光熱費を下げ、設備更新で受注を増やすことで利益アップへ

　石川さんは依頼を受けると、クライアントから年間の電力使用量や燃料消費量などをヒアリング。さらに現地に足を運び、油や水、空気といった液体、気体の流量も測った上でエネルギー浪費の原因を探り、解決策を導き出します。

　「最近お伺いした中堅企業では、複数の空気圧縮機が稼働していましたが、調べたところ必ずしも効率的でないことが分かり、一部の装置を止めることを助言。電力使用量を検証すると、年間数百万円の電気料金を節約できることが明らかになりました」

　省エネ診断を手掛けた中小企業の中には、光熱費などの経費を下げるのみならず、補助金を活用して生産設備を更新することで受注を増やし、売り上げ拡大につなげたケースも多いとか。
　「企業の利益に直結する仕事だけにプレッシャーも感じますが、お客さまの会社が業績を上げていく過程に立ち会えることは大きなやりがいですね」

　作業環境に関するコンサルティングでは、揮発性が高く人体に有害な有機溶剤から従業員を守る方法などをアドバイス。視認できない排気の測定では、スモークテスターと呼ばれる白煙が出る装置を使って気流の流れを確認し、換気が適切に行われているかをチェックします。

　「特に相談が多いのは夏の高温対策。熱中症防止のために温度管理をしている工場は多いのですが、湿度や機械が発するふく射熱などにも気を配る必要があります。当方では暑さの要因となる熱指数を割り出し、数値に基づいて実効性のある予防策を練ります」

カーボンニュートラル実現のため、省エネとCO₂削減を進めるのが自らの使命

　大学時代は法律を専攻していたという石川さん。子どもの頃から機械いじりが好きだったこともあり、卒業後は産業廃棄物を焼却処理する燃焼プラントメーカーに入ります。

　「当時は就職氷河期。私のような文系の人材を技術職で採用する企業はほとんどなく、苦労しましたね。同僚はみんな理系だったので、熱計算の方法や図面の見方、電気の知識などを習得し、必死で追いついていきました」

　その後、転職した環境分析会社でも持ち前の探究心で、エネルギー管理士などの資格を取得。「かねてより起業の夢があり、身に付けた専門性と妻の後押しで2018年に独立して『三究知』を立ち上げました」と語ります。

　創業後は、近県の同業者からクライアントを紹介してもらったり、趣味のマラソンで全国各地の大会に参加する中で人脈を広げて案件を獲得したりしながら実績を構築。長年培った知見を生かし、現在は自治体が主催する省エネや補助金に関するセミナーや、企業の研修などで講師を務めるほか、一般向けのワークショップでも環境保全について発信しています。

　「世界全体が目標としている2050年のカーボンニュートラル実現に向け、省エネを徹底し、二酸化炭素（CO₂）などの温室効果ガスの排出量を減らすことが私の使命。幅広い世代に脱炭素について自分ごととして捉えてもらうため、学習の機会を増やしていきたいですね。ゆくゆくは大人から子どもまでが環境問題について理解を深める研修施設みたいなものをつくりたいと考えています」

（取材年月：2024年3月）

企業の省エネ、脱炭素化をサポートし、経営改善や業績向上につなげる

施策に取り組む前と後を比較して効果を見える化し、補助金の活用も助言

省エネ診断で光熱費を下げ、設備更新で受注を増やすことで利益アップへ

カーボンニュートラル実現のため、省エネとCO₂削減を進めるのが自らの使命

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