PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

DXと安全開発でものづくりを支え、地域産業の未来に貢献

開発および製造現場の生産性と安全性をDXで支えるプロ

小笠原豊和

小笠原豊和 おがさわらとよかず

#chapter1

20年にわたる運転支援技術の開発経験。培った知見を製造業のために

 太田市を拠点に、自動車を中心とした製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する「おおた開発効率化プロジェクト」の代表・小笠原豊和さん。20年にわたり自動車の先進技術開発に携わった経験を生かし、培った知見を地域産業へ還元しています。

 「私が掲げるテーマは『DXによる生産性向上』です。日本ではDXへの取り組みが進んできた一方で、紙の資料をデータ化するだけで終わってしまうケースも少なくありません。重要なのは、集めたデータを業務改善や新たな価値の創出につなげることです。その実現をお手伝いしています」

 中小製造業では、DXを支えるAI(人工知能)の活用が十分に進んでいない企業もあります。例えば自動車用電子機器では、安全性を証明するために1000項目以上の確認が必要となる場合もあり、多くの時間と熟練者の経験が求められます。

 「DXやAIを活用すれば、お客さまが保有する実験データを解析し、各確認項目の評価指標や不具合の危険度を数値化できます。経験だけに頼らない仕組みづくりが可能になります」

 もう一つの事業の柱が、エンジンなどを制御する電装品の安全性を高めるためのコンサルティング。故障時にも乗員や歩行者の安全を確保するための国際規格ISO26262の準拠を支援するほか、DXを活用して規格対応業務の効率化にも取り組んでいます。機能安全とDXの両面から開発および製造現場を支えられることが、小笠原さんの強みです。

 「私は国立大学法人群馬大学の産官学連携研究員としてAIの調査に携わった実績もあります。自動車業界だけでなく、幅広い製造業の課題解決に貢献したいと考えています」

#chapter2

パソコンに夢中だった学生時代。大手自動車メーカーを経て独立

 小笠原さんの原点は、学生時代に夢中になったMicrosoft Windows 95。パソコンが広く普及し始めた頃、「自分もソフトウェアをつくってみたい」と考えるようになり、情報工学の分野へ興味を深めていきました。

 「後にプログラミングやグラフィック、物体認識のアプリケーションを扱う研究室に進みました。2台のカメラで距離や形状を捉える画像認識や、現在のAIにつながる機械学習などを研究していました」

 卒業後はSUBARU(当時の富士重工業)に就職。ステレオカメラによる運転支援システムの開発が自身の学びと重なること、運送業を営む父親が同社の車を愛用していたことが決め手になったといいます。

 「2001年に入社し、運転支援システム・アイサイトの開発などに20年携わりました。華やかに見えるこの仕事も、実際には地道な検証や評価の積み重ねです。その中で強く意識したのは、自動車メーカーとしての責任でした。『万が一故障した場合でも安全をどう確保するか』を考え続けた経験が、現在の機能安全やDXの仕事につながる礎になっています」

 そして2020年に独立し、「おおた開発効率化プロジェクト」を設立。企画から設計、実装、評価まで開発工程を一通り経験した上で、「44歳を迎えた節目に将来を見据え、地域の産業やものづくりに貢献したい」と決意したことが背中を押したと振り返ります。

#chapter3

人とのつながりを力に、DXとAIでリスクを可視化し未来へ

 会社を立ち上げて実感しているのが、人とのつながりの広がりです。前職で築いた関係性はそのままに、自動車メーカーや部品メーカー、認証機関、大学教授などとのネットワークが大きく広がったと話します。

 「先日も、DX向けのモデリング言語を開発したエキスパートと『システム開発と機能安全をどう結びつけるか』について意見を交わしました。やはり私の仕事のやりがいは、自らの専門性が社会の安全に直結する点にあります。機能安全では、電装品一つでも1000項目以上を確認することがあります。それが現代の自動車には少なくとも20個、多いものでは100個を超える電子制御装置として搭載され、互いに連携して動いています。だからこそ、経験や勘に頼った検証だけでなく、新しい技術を取り入れ、リスクを可視化する仕組みづくりが重要だと考えています」

 DXやAIについて「コストがかかる」というイメージを払拭することが当面の目標。また、自社では初となる従業員の採用も実現しました。

 「採用したのは、プレゼンテーションやイラスト制作が得意な20代のメンバーです。私の理念である『価値創出』や『相互理解』をイラストで表現する業務を任せています。うれしいのは、IT未経験からスタートし、自分でホームページを制作できるまでに成長したことです。DXも同じで、とにかく第一歩を踏み出し、まずは実際に取り組んでもらうことが大切ですね」

(取材年月:2026年7月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

小笠原豊和

開発および製造現場の生産性と安全性をDXで支えるプロ

小笠原豊和プロ

DX・AI導入コンサルタント

おおた開発効率化プロジェクト

機械やシステムの故障や性能限界、セキュリティ脅威に伴うリスクを抑える安全プロセスと、DX・AIを組み合わせて開発および製造工程を効率化。人手に頼る作業を見直し、生産性と安全性の向上を支援します。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ群馬に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または上毛新聞社が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO