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情報を伝え、心を動かす“機能する”デザインで、より良い未来を創造

人の気持ちを動かす“機能する”デザインのプロ

柴宮夏希

柴宮夏希 しばみやなつき
柴宮夏希 しばみやなつき

#chapter1

ペーパーアイテムからブランディングまで。ターゲットに伝わるデザインを追求

 「デザインとは、単なる装飾ではありません。目標を達成したり、問題を解決したりするための手段でもあります」

 そう語るのは、「nemo graph.(ネモグラフ)」の屋号で、群馬県太田市を拠点にデザイナーとして活動する柴宮夏希さん。名刺やパンフレットといったペーパーアイテムの制作、企業・店舗の強みや特長を打ち出すブランディング、ミュージシャンのビジュアルプロデュースなどを手掛けています。

 「例えばお店を開く時、ドーン!と太く大きな文字の看板を出したら、力強いイメージを好む人が来ますよね。『お店に足を運んでもらう』『商品を手に取ってもらう』などアクションを促し“機能する”ことが重要で、人の気持ちを動かしたり、情報を正しく伝えたりすることこそがデザインの本質だと思っています」

 1枚のチラシもお店の外観・内装ディレクションも、柴宮さんはクライアントとコンセプトを共有することから始めます。

 「個人でもアーティストでも企業でも、クライアントが持つ雰囲気や価値観を表現するのと併せて、伝えたい相手にきちんとメッセージを届けることを重視。訴求力を高める上で、ヒアリングを大切にしています」

 集客や販促など望む成果はあるものの、「なんかいい感じにしてほしい」と明確なプランがなくてもいいとか。
 「“なんか”の中身は一人一人違いますから、丁寧に真意をひも解き、“誰に”“何を”といったターゲットや目的を明らかにします。導き出した方向性に、文字・色・形などデザインの理論を取り入れ、“なんかいい”を一緒に具現化していきます」

#chapter2

バンドのCDジャケットやグッズ、ポスターなどビジュアルをプロデュース

 3歳からピアノを始め、音楽に親しんできた柴宮さん。高校生の頃には1人でもライブハウスに出掛けるようになり、ロックやパンクなど時代を席巻する海外のアーティストやクラブミュージック、ビジュアル系、映画音楽に現代音楽。多様な音楽に浸る中で夢を抱きます。

 「ジャンルを問わず、ミュージシャンが持つ独特の美学や感性にすごくひかれたんです。自分が演奏するよりも音楽を聴いて、それぞれの世界観に入るのが好き。小学生の頃から絵を描く仕事をしたいと思っていたので、抽象的な概念を具体的に表すデザインに『これだ!』とひらめきました」

 さっそく地元のライブハウスで演者に声を掛け、宣材写真の撮影やデモテープのジャケットデザインを買って出ます。多摩美術大学進学のため上京した後も、都内のライブハウスや音楽ホールなどに通います。
 「好きなバンドにビッグになってもらうために、目の前のできることをやろうと思って。私が作ったジャケットをきっかけにファンが増えたら、うれしいじゃないですか」

 21歳で出会ったのが、インディーズで活動していたロックバンド「フジファブリック」。柴宮さんはCDジャケットやグッズ、ポスターなど総合的にビジュアルを担当。同世代のメンバーとディスカッションを交わしながらバンドの個性を練り上げます。メジャーデビューを果たした後もともにキャリアを積み、レコード会社や音楽レーベルなどからオファーを受けて実績を重ねました。

柴宮夏希 しばみやなつき

#chapter3

幼稚園や保育園のロゴやクラスプレートの制作、行政のサービス告知にも尽力

 生まれ育った太田市にUターンしたのは、仕事と家庭を両立し、暮らしを充実させたい思いから。夫とともに2人の子どもを育てるなかで、こども園・幼稚園・保育園・子育て支援センターといった育児の場にも目を向けます。

 花や森、星、月、虹、動物や子どもの笑顔などをモチーフに、色とりどりのロゴマークやクラスプレートを制作。メールやSNSで問い合わせが可能で、リモートで打ち合わせができる気軽さから、群馬県内はもとより東京・大阪・埼玉・富山・石川県、北海道などからも依頼が舞い込みます。

 「壁に、大空を舞う鳥のレリーフや、背丈が測れるように天に向かって伸びる木々を施したこともあります。園で過ごす子どもたちが、豊かな感受性を育むお手伝いができればと願っています」と目を細める柴宮さん。近年は行政の案件にも注力しています。

 「太田市では便利なサービスを用意しているのに、周知できていないケースがあると聞きました。案内状や封筒のデザインを変更したところ反響があり、職員の方が喜んでくださいました」

 市民がサービスを知るきっかけを作れたことが何よりのやりがいで、デザインの力でより良い未来を作っていきたいと語ります。

 「どこに住んでいても、自分たちの住むまちに誇りを持てたら生活の満足度が上がりますよね。一人一人の思いを形にしたり、伝えたいことを的確に伝えたりすることで、相互理解が深まります。地域のコミュニケーションを円滑にして、暮らしやすいまちを創造していけたらいいですね」

(取材年月:2024年3月)

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柴宮夏希

人の気持ちを動かす“機能する”デザインのプロ

柴宮夏希プロ

デザイナー

nemo graph.

情報を正しく伝え人の気持ちを動かす「機能」こそデザインの本質。メジャーバンドのCDジャケットからショップディレクションまで経験豊富なデザイナーが、思いを形にし、伝えたい相手に届けることをお手伝い。

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