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旅館業ならではの労働問題を解決し、地元・草津の温泉地をサポート

温泉地ならではの労働問題解決をサポートする社労士

山本和久

山本和久さん
事務所外観

#chapter1

雇用主の方たちに、正しい情報をお伝えしたい

日本有数の温泉地、群馬県の草津町で社会保険労務士として労働保険や社会保険の手続き、給料計算の代行、労使間トラブルの相談などの業務に携わるやまもと労務管理コンサルタントの山本和久さん。

なかでも山本さんが力を入れている労使間トラブルの相談は、とくに世相を反映しているといいます。

「景気が悪くなると、従業員を解雇したいという雇用主からの相談や、逆に解雇されてしまったという働く人からの相談が増えます。景気の良いときに増えてくるのがハラスメントやいじめの相談です」

草津という土地柄、旅館業のクライアントさんが多いという山本さん、旅館業ならではの問題も少なくないと話します。

「旅館業というのは、とくに労働問題が凝縮していると感じます。たとえば、労働安全衛生法では深夜残業が一定の日数を超えた場合は健康診断を行わなくてはならないと決められていますが、それを知らずに実施していない事業者の方も多くいらっしゃいます。

また、ナイトフロントの業務につく従業員には、労働基準法では1時間あたりの単価を計算したうえで深夜手当を支給しないといけないのに、それより少額の独自に決めた手当を出して済ませてしまっているケースもあります」

これらは、いずれも雇用主に悪気はなく、「知らずにそうしていた」というケースが多いのだとか。そのため、「正しい知識をお伝えすることが大切」だと山本さんはいいます。

また、旅館業という業種の特性上、長時間労働になりがちな点も、労働問題につながる要因のようです。

「温泉地に限ったことではありませんが、旅館業というのは人を相手にするため、どうしても労働時間が長くなります。目の前にお客さまがいれば『労働基準法があるので私はこのサービスをしません』というわけにはいかない。そのため、必然と労働時間が長くなる傾向があります。そして、経営者の方たちは『旅館はそういうものだと』という認識で、その状況をあまり問題視していない現状があります」

#chapter2

雇用する側が変わっていく姿勢を見せていくことが必要

最近は海外から働きに来る人も増えたそうですが、ここでも長時間労働などが原因のトラブルは起こりがちなのだそうです。

「多くの外国人の方は入国してくる時点で言語の問題をクリアしているので、言葉の壁が問題になることはそれほどないのですが、実際に働き初めて長時間労働であることや、本来の業務以上の仕事を雇用主から要求されることに不満を感じる方が多いようです。

旅館業だけでなく、農業などでも同じような話を聞きますが、雇用主にとっては『うちの業種は長時間労働が当たり前、休みはなくて当然』という認識でも、働いている外国人の方たちにとってはそうではなく、『週に1回は休みがあって当然でしょ』となる。

これからどんどん人手不足は深刻化していくと思うので、雇用する側が変わっていく姿勢を見せていかないと、人が集まらなくなってしまいます」

このような状況を変えるためには、「まずは社長や経営陣の意識を変えていただくことが重要」と話す山本さん。法律ではどのようなルールになっているのか、現状を変えるにはどうしたらよいのかといったことをアドバイスし、改善をサポートしているそうです。

事務所内観

#chapter3

若い世代に「働くとは」を伝える活動も

また、山本さんは社会貢献活動として、中高生に『働くとはどういうことなのか』について話をする“職業講話”を10年以上続けています。

「“新入社員が入ってもすぐにやめてしまう”という多くの声を耳にしたことが、この活動を始めた理由です。社会に出た若い人が、会社で初めて怒られて傷ついてしまい、次の日から会社に来なくなってしまうことがよく起こるそうです。それは仕事をするうえでの心構えがうまくできていないのかなと思い、社労士の立場で『働くとは何か』について話すことで、将来の仕事について考えるきっかけづくりになればという思いで続けています」

山本さんの話を聞いた生徒さんが社会人になり、「あの話を聞いたことが、今の仕事を選ぶきっかけになりました」と、話してくれた方もいたそうです。

今後は、Zoomなどのオンラインツールも積極的に活用していきたいと話す山本さん。
「これからの時代は手続きの電子化が進み、社会保険や労働保険の手続きそのものは事業主の方がご自身で行えるようになっていくと思うので、そこからもう一歩踏み込んだ、困りごとの相談やコンサルティングに力を入れていけたらと思っています。社労士の事務所に足を運んで相談することは、これまで敷居の高いことだったのではと思うので、オンラインでも気軽に相談に乗れますよということをお伝えしていきたいと考えています」

(取材年月:2020年12月)

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専門家プロフィール

山本和久

温泉地ならではの労働問題解決をサポートする社労士

山本和久プロ

社会保険労務士

やまもと労務管理コンサルタント

温泉地・草津で、旅館業に起こりがちな労働問題の解決をサポート。「この業種は長時間労働も仕方ない」と考えている雇用主に法律面などの正しい情報を伝え、意識を変えていくためのアドバイスをする。

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