人手不足解消や生産性向上に貢献する産業用機械のプロ石井安美

人手不足解消や生産性向上に貢献する産業用機械のプロ

石井安美

専属の営業チームが立ち上げからアフターフォローまで一貫し、品質を管理

　「人の手に頼っていた作業を機械によって自動化し、マンパワー不足の解消や生産性の向上をお手伝いします」と語るのは、群馬県藤岡市の石井安美さん。産業用機械を製作から保守管理まで一貫するトータルエンジニアリング企業「石井工機」の代表で、省力化、省人化を促す生産設備を得意としています。

　ベルトコンベヤーに商品を流しながら、ラベル貼りやバーコード印字、箱詰などをする装置や、金属パイプの自動切断機、材料投入や製品取り出しを行うロボットなど、扱う商品は多岐にわたります。また、自動車のバッテリー製造ラインや半導体の上流工程を担う装置も手掛け、日本のものづくりを陰ながら支える存在です。

　「お客さまが求める機能を満たし、適切に運用していくため、専任担当者と補佐メンバーから成る専属の営業チームを設けています。見積もり、打ち合わせ、実装、アフターフォローまで迅速に対応することで、手際よく設備を立ち上げ、工程品質を維持します」

　祖業の金属加工で蓄えたノウハウをもとに、切削部品の80％以上を内製化。対象物を前後・左右などから仕上げる門形五面加工機で、幅2m・長さ3mの大型部品も効率的に工作。立体的に製図する3D-CADも導入し、設計段階であっても装置の構造を分かりやすく説明しています。

　石井さんは多方面で優位性を持ちながら、最も大切にしているのは“人”だと断言します。
　「知識、経験、技術を生かす人間力が、私たちの強みです。血の通わない機械を扱うからこそ、きめ細やかに提案し、サポートする熱い心が必要だと考えています」

大型製品に対応する広い工場を擁し、トラブル時は再稼働を最優先して対処

　四つの工場を構え、群馬県内でも有数の生産規模を誇る石井工機。さらに360㎡の広さを持つ五つ目の工場も建設する予定です。

　「以前、スペース不足のため得意先の注文をお受けできず、やむを得ず北海道の同業者にご協力をお願いしたことがありました。新工場では大型の製品も請け負い、お客さまのニーズに応えていきます」

　製品の設計・製作においてはメンテナンスのしやすさを重視しており、場合によっては組み立ての段階で図面を変更することもあるとか。
　「現場の方々の声に耳を傾け、いただいた意見や改善点はできる限り取り入れています。実際に装置を扱う方から『すごく使いやすい』とお言葉をいただいたときは、うれしさもひとしおですね」

　アフターフォローも手厚く、トラブル発生時は再稼働を最優先。内製できる部品は即座に製作に入り、外部からの調達部品がすぐに手に入らない場合、インターネットオークションやフリマアプリで中古品を探し、正規品が届くまで一時的に対処して操業を継続させるケースも。

　「機械が止まった際、操作ミスか不具合かによって、お客さまとメーカーどちらが費用を負担するか議論になることがあります。しかし責任の所在よりも、1秒でも早く機械を動かすことが大切です。たとえお客さまから復旧費用をいただけなくても、信頼につながれば良いと考えています」

　関東圏を中心に、東北や近畿地方からも引き合いがあり、リピート率は98％。海外で工場を開設する企業から「次も石井さんに」と依頼が寄せられることもあるそうです。

「群馬で一番働きやすい企業」を目標に、地域や社会から求められる存在へ

　石井工機は、石井さんの祖父が1966年に創業。自身も2000年に入社しましたが、当初は家業を継ぐ意志はあまりなく「優秀な社員が社長になればいい」と思っていたそうです。

　「経営者として自覚が芽生えたのは、入社5年目に中核技術者が大量に退職した出来事がきっかけです。当時の経営方針に対する不満や反発が要因でもあり、このままではいけないと危機感を持ちました。

　2020年に事業承継して代表に就いてからは「群馬で一番働きやすい企業になる」を目標に掲げ、風通しの良い職場作りや研修・福利厚生の充実に力を入れました。
　「業務に必要な資格取得やサークル活動などを補助し、社員一人一人と向き合いながら健康経営の取り組みを続けた結果、毎年1、2人発生していた離職者がここ数年はゼロになり、残業時間もおよそ3分の1に縮減。労働生産性と付加価値の向上につながり、2023年は売り上げ、利益ともに過去最高を記録しました」

　新卒人材の定期採用や従業員の健康づくりにも尽力し、2022年には若者雇用に積極的な企業に与えられる「ユースエール認定」を取得。2024年には、健康経営に優れた上位企業に贈られる「健康経営優良法人　ブライト500」に認定されました。

　ダブル認定の功績を評価され、石井さんは地域の経営者団体が主催する健康経営セミナーで講師を務めるなど、自社の取り組みを広く紹介しています。

　「組織が持続的に成長していくには人の力が不可欠です。従業員がやりがいを持って職務に励める環境を整え、地域や社会から求められる企業を目指していきたいですね」

（取材年月：2024年10月）

省力化・省人化に導く生産設備を手掛け、効率的かつ質の高いものづくりをサポート

専属の営業チームが立ち上げからアフターフォローまで一貫し、品質を管理

大型製品に対応する広い工場を擁し、トラブル時は再稼働を最優先して対処

「群馬で一番働きやすい企業」を目標に、地域や社会から求められる存在へ

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