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魚介や肉料理など多彩な和食とマッチする、バラエティー豊かなポルトガルワインを展開

おすしに合う赤ワインを販売するポルトガルワインのプロ

南雲昌高

南雲昌高 なぐもまさたか

#chapter1

ポルトガルワインの輸入・卸・小売業を手掛け、おすしに合う赤ワインも提案

 「ポルトガルワインは、その土地ならではの土着品種が250種以上とバラエティー豊か。多様性に富み、食材の持ち味に寄り添うのが特長で、和食と親和性があることを知ってほしいですね」

 そう語るのは、群馬県・嬬恋村でポルトガルワインの輸入・卸・小売業を営む「72season's」の代表・南雲昌高さん。ポルトガルの伝統的な手法では、一つの畑で育てた複数品種のブドウをまとめて醸造するため、味わいは複雑で深みがあるうえ、風土の個性が際立ちます。

 「南北に長く海と山地で構成され、魚介類や米、煮込み料理を食すなど、日本とポルトガルは環境や食生活が似ているため、さまざまな和食にマッチするのです。おすしなど魚には白が一般的ですが、ぴったりと合う赤があることも驚かれます。会席料理で、刺し身、天ぷら、肉料理と多彩に提供する旅館では『1本でどの献立もいける』と好評です」

 しょうゆや砂糖、酢、ゴマ油など日本でおなじみの調味料、だしとも相性が良好。タレ焼きのうなぎや魚の煮つけ、きんぴらごぼう、明石焼きなど、高級料理から家庭料理まで幅広く合うとか。

 「理想は、食事や会話を自然に弾ませ、いつの間にか空いているワイン。お手頃価格の商品もそろえているので、ぜひご賞味いただきたいですね。宿泊施設や飲食店の方もお声掛けください。和食に合う赤ワインは付加価値につながると思います」

 現在は北部から北東部の3地区、微発泡の緑のワインで有名なヴィーニョ・ヴェルデ地区、ブランデーを加えたポートワイン発祥地のドウロ地区、果実味が強いトラス・オス・モンテス地区の6ワイナリーから約60種を扱っています。

#chapter2

師匠との出会いでワインの世界へ。ポルトガルに渡りワイナリーと契約

 コシヒカリの三大産地で知られる新潟・南魚沼の米農家の次男として育った南雲さん。味覚に自信があり、大学卒業後は当時、日本有数のワイン取扱数を誇る量販店「酒のやまや 新宿店」に勤務。ワインに詳しい顧客に薦めた商品がほめられ、大御所が集うワイン会に通うようになりました。

 「会で知り合った新宿御苑前の老舗ワインバー『タートヴァン』のオーナー金谷範男さんは、僕の師匠です。圧倒的な知識量とテイスティング能力をお持ちで、僕のワイン選びのコンセプト『食材や誰と飲むか?をメインに置き、食事を楽しく、“いつの間にかワインが空いている”が良いワインの条件』も影響を受けています」

 誘われてポルトガルワイン会にも参加し、飲んだ瞬間に繊細で奥行きのある味に魅了されます。ポルトガルと日本の歴史について調べるうちに、食文化など共通点を次々に見つけて興味が増し、ポルトガルワインの専門店を開くことを決意。単身で現地へ渡りました。

 「全域を巡るつもりで、まずは僕の好きな酸がしっかり立つワインを作る北部地域へ。幸運にも地元で有名な醸造家に出会い、彼の親切心と口利きもあり、周辺のワイナリーを数多く訪問できました。丁寧な作業や真面目な人柄にひかれ、初めて契約したのが少量生産で希少性が高いブランド『シークレットスポットワインズ』です」

 嬬恋村を拠点に選んだのは、ワインを保管・発送するのに適していたから。夏は涼しく、地下倉庫は平均18〜20度を保持。日本の中心部で送料が一定、冬は寒くても雪が少ないので運搬に支障がないそうです。

#chapter3

キャンプ場やレストランで、ポルトガルワインや嬬恋村の食の魅力を発信

 ヨーロッパ諸国が海外進出した大航海時代、数カ月にも及ぶ船旅で熟成した逸話など、ポルトガルワインのストーリーを伝えたいと、南雲さんは2019年にショップの近くに「百年小屋キャンプ場」を開業。施設では試飲会や講演会も開催しています。

 「宿泊すれば気兼ねなくお酒が飲めるでしょう。愛好家や料理人など業界の人も多いですが、ワインが苦手な方や初めて口にする方にも来てほしいですね。優しい風味に触れ、ワインの概念が変わったという人も多数いらっしゃいます」

 また、ショップに併設してレストランも営業。嬬恋村はイタリア・ポンペイと友好都市協定を結んでいることから、試行錯誤して完成させたもちもちのナポリピザを提供。野菜ソムリエプロの資格を持つ南雲さんが吟味、栽培した、朝採りの地野菜などをトッピングしています。

 嬬恋村を初めて訪れた時、地元の人から「田舎で集客は難しいのでは」と心配されたそうですが、観光地の軽井沢と草津温泉の中間に位置し、どちらも車で20~30分ほどの好立地。気軽に立ち寄ってくれる人も多いと言います。

 「嬬恋村はキャベツをはじめ野菜がおいしく、群馬県産のやまと豚のベーコンといった特産品も数々あり、素晴らしい食のポテンシャルを持っています。ポルトガルワインと共に“食の村”としてアピールしていきたいですね」

 2026年からは群馬県の酒蔵に限定し、ポルトガルへ輸出も計画。昔ながらの製法・山廃仕込みなどの日本酒や、名物の梅を使った梅酒を広めたいと展望を描きます。

(取材年月:2025年9月)

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南雲昌高

おすしに合う赤ワインを販売するポルトガルワインのプロ

南雲昌高プロ

ワイン、酒類の販売及び卸売、輸出入

72season's株式会社

和食に合うポルトガルワインを輸入・販売。個人の小売りはもちろん、旅館や飲食店などの卸にも対応。通販のほか、嬬恋村にショップ、レストラン、キャンプ場を運営。2026年から群馬県産の日本酒の輸出も開始。

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