着付け歴三十余年。手結び着付けを専門に教える着付けのプロ
中嶋千鶴子
Mybestpro Interview
着付け歴三十余年。手結び着付けを専門に教える着付けのプロ
中嶋千鶴子
#chapter1
「着物を着ると自然と背筋が伸び、所作が丁寧になります。日本の伝統衣装をまとい、普段とは違う自分を感じていただきたいですね」
そう語るのは、岐阜県土岐市で「きものコンシェルジュSEN千」を主宰する中嶋千鶴子さん。着付け歴三十余年、出張訪問などを通じて5000人以上に和の装いを施し、個別指導の「きものカルチャー研究所」土岐校の認定講師としても活動しています。
「当方は道具を使わず、ひもだけで仕上げる『手結び』を手ほどきしています。着る方の体形に合わせ、着崩れしにくい着付け技術と、帯結びのアレンジをお伝えします」
教室は「初等科」からスタートし、「中等科」「高等科」と学びを重ねるカリキュラム。初等科では1回90分の授業を16回受講し、浴衣から二重太鼓の留め袖まで自分1人で着られるようになります。
中等科は28回の授業を通して着物と帯の調和や人への着せ方を習得し、「着付師1級」の資格取得を目指すことができます。高等科では、多彩な帯結びや花嫁衣装の着付けについて技量を深めることができます。
「いずれも3人以下の少人数制。着物や帯、小物類はレンタル可能なので、一式をご準備いただく心配はありません。お仕事帰りにも手ぶらで通っていただけます。お稽古から時間がたち、手順を忘れてしまった場合は単発レッスンを受けることもできます。入学式や卒業式、同窓会など、特別な日に合わせて復習できると好評です」
中嶋さんは身につけたノウハウを生かしてほしいと、生徒と一緒に和服でカフェやお出掛けスポットへ赴く催しも企画。体験レッスンも開いています。
#chapter2
「私の母は和裁の先生でした。日常生活で和服姿を目にすることが多かったのですが、母が着物に厳しかったこともあり、若い頃は反発心から教えてもらう機会もなく過ごしました。義母も茶道の先生だったので、必要な場面では母や義母に着付けてもらいました」
学校の教師として多忙な日々を送っていた中嶋さん。30代で夏祭りに浴衣を着た時に「親も年を重ねてきたし、そろそろ自分で着られるようになりたい」と着付け教室に通い始めました。
「そこで運命的に出会ったのが、生涯の恩師となる先生です。帯結びの達人で、帯の切れ端を常に持ち歩き、電車の待ち時間にも新しい結び方を考えているような方でした。初めて自分で帯を締めた時、そのフィット感の違いに驚きました。作り帯とは全く違う、体になじむ感覚が新鮮でした」
4メートルほどの布を自在に操り、両端を畳んだり結んだりしてデザインを創作。中嶋さんは表現の奥深さに心をひかれます。
「着る人の身長や体形、着物の色柄、格に合わせた結びを考えるのがとても楽しくて。無限に広がる帯結びの世界に魅了されました」
教職を定年退職した後は、和装の魅力を伝えたいと迷わず「きものコンシェルジュSEN千」を開校します。
「長年教員をしていた経験から、生徒さん一人一人のペースに寄り添ってあげたいと思います。なかには、16回の初等科を25回かけて進んだ生徒さんもいます。コースを進級し、生き生きと取り組む様子を見るのがうれしいですね」
#chapter3
「着付けを習い始めた頃、レッスンに向かう時間だけは、ゆったりと優雅な気持ちになれました。着物に触れることが、日々の暮らしを豊かにしてくれると実感しています」
着付け師には定年がなく何歳でもできる仕事です。教室には70代の生徒が在籍し、同年代の友人から「できることがあってうらやましい」との声が寄せられるそうです。
「結婚式の親族はごあいさつで動き回るため、着崩れないように襟の支度や補正を念入りに行います。着付けは集中力や瞬発力、体力も求められますが『着姿が乱れず楽だった』というお言葉をいただくと、大きなやりがいと達成感を覚えます」
着物を仕立て直さずドレスとして着用する独自の技法「オリエンタル和装」にも対応。「日本理美容福祉協会」と提携し、入院患者や高齢者施設の入居者、車いすユーザーの着付けもしています。
「腰が曲がったおばあさまが、お孫さんの結婚式に出席する際もご用命くださいました。年齢に関係なくお召しいただき、楚々とした雰囲気や凛とした輝きを放てるのが、着物の素晴らしさだと感じています」
着物の美しさと文化的な価値が再認識される今、もっと身近にもっと気軽に親しむ人を増やしたいと語ります。
「花火大会に浴衣で行きたいといった学生さんも大歓迎です。中高生向けのかわいい帯結びもありますし、男性の浴衣姿も粋です。手持ちの着物に合う帯選びや、シーンに合わせたコーディネートも提案しているのでお気軽にお問い合わせください」
(取材年月:2025年4月)
リンクをコピーしました
Profile
着付け歴三十余年。手結び着付けを専門に教える着付けのプロ
中嶋千鶴子プロ
着付け師・講師
きものカルチャー研究所土岐校 きものコンシェルジュSEN千
道具を使わず紐だけで仕上げる「手結び」の着付けを丁寧に指導。初心者からプロの着付け師を目指す方まで幅広く対応。帯結びのアレンジも得意とし、着付けを楽しんでもらえる場を提供します。
\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /
掲載専門家について
マイベストプロ岐阜に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、またはぎふチャンが取材しています。[→審査基準]