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家具用材で培ったノウハウを生かし、無垢材の中でも流通量の少ない国産広葉樹のフローリング材を製造

飛騨高山を中心に国産広葉樹の板材を製造販売するプロ

森本賢吉

森本賢吉 もりもとけんきち

#chapter1

地元・飛騨高山産を中心に産地証明付きの原木を製材、乾燥。豊富な樹種から用途や好みに合わせ提案

 「地元・飛騨高山の広葉樹を中心に産地証明付きの原木を製材、乾燥加工し、家具用材として全国の家具メーカーにおろしています。そのノウハウを生かしてフローリング材を開発し、中部圏の工務店やハウスメーカーなどに販売しています」
 そう話すのは、岐阜県高山市の「カネモク」で代表を務める森本賢吉さん。創業72年の歴史を持つ同社では、無垢材の中でも流通量が少ない国産広葉樹でフローリングを製造しています。

 自然な風合いとぬくもりが魅力の無垢のフローリング。フローリング材「森のじゅうたん」は、広葉樹ならではの豊富な樹種から選べる商品です。
 「美しい木目が魅力のクリ、硬さと耐久性に優れ店舗にも適したナラ、やわらかなピンク色がかわいいヤマザクラ、肌触りがやわらかく床暖房の熱が伝わりやすいマクルミなど4種類を中心に、約40種類の豊富なラインナップをご用意しています。使用する場所や用途、お好みに合わせてご提案します」

 これまでに住宅や公共施設、医療・介護施設、旅館・ホテルなどに導入され、2021年度にはグッドデザイン賞の受賞実績も。その品質を支えているのは、原木の乾燥技術の高さです。
 「無垢材は水分が多く残っていると変形の原因になります。当社は家具用材で長年培ってきた独自の乾燥技術をフローリング材にも生かし、従来の無垢材フローリングの含水率15%に対して8%±2にまで管理することで、変形リスクを約半分に抑えています」

#chapter2

独自の乾燥技術で変形リスクを低減、子どもの足の健康を育むフローリング材「sucoyuca」を提案

 森本さんのもとで行われている乾燥方法は「スチームフィルム製法」と呼ばれます。乾燥釜の中を蒸気で満たし、板の表面の湿度を保ちながら内部の水分を抜いていく手法です。
 「表面だけ乾いても内部に水分が残っていれば、後に変形の原因となります。そのため、表面と内部の水分量を均一に乾かすことにこだわっています」

 しっかりと乾燥させた同社のフローリング材は、水分による結露や建材の変形が起こりやすい高気密・高断熱住宅にも適しており、床暖房に強いのが特徴だそう。

 「無垢のフローリングは施工の際、後から隙間が生じたり隆起したりするのを見越してスペーサーという余白を持たせて張るのが一般的ですが、当社の商品はそうした手間がない点も好評です。汚れがしみ込みにくく、ほこりがつまりにくいため、メンテナンスも手軽で掃除しやすいと喜ばれています」

 自宅に設置した人からは「夏はサラッとしていて冬はぬくもりがあり、気持ちが良い」「選び抜いた素材なので部屋の雰囲気と調和して満足」といった声が寄せられます。

 また保育園や子育て関連の施設には、子どもの足の健康を育むフローリング材「sucoyuca」を提案。
 「『森のじゅうたん』と同じ広葉樹を使い、職人が木の表面を削って模様を施す伝統技法『名栗加工』を取り入れています。適度な凹凸がお子さまの足裏を心地よく刺激し、健やかな成長をサポートします」

 いずれも1平方メートルの小ロットから販売。安全面にも配慮し、乾燥工程で使用するボイラーの清缶剤には食品加工用のものを採用しています。

#chapter3

子どもたちに木を身近に感じてもらう「木育」活動に取り組み、地元の山を守る仲間づくりに注力

 カネモクは森本さんの曾祖父が1954年に創業した会社です。
 「幼いころから父がフォークリフトで材木を運んだり、機械で製材したりする姿をかっこいいと感じていました。同時に、山を大切にすることも教え込まれました」

 それは、「丸太を安く買うな」という教えだそうです。
 「山があっての商売です。材木を適正な価格で仕入れることで、山仕事に携わる人たちの暮らしが守られ、結果として山の保全にもつながります。製材工程で出た端材も捨てず、燻製チップに加工するなど、森の恵みを余すことなく使い切ることを心掛けています」

 フローリング材の開発に本格的に取り組み始めたのも、地元の山の価値を最大限に生かしたいという思いからでした。
 「家具に使えない小径木は、用途が燃料などに限られていました。厚みのないフローリング材であれば小径木にも付加価値を付けられる上、より多くのお客さまに飛騨高山の自然のぬくもりを届けることができます。加工の内製化を機に、開発に力を入れてきました」

 現在、日本木材青壮年団体連合会に所属し、「木育」活動に取り組む森本さん。小中学生を対象に木工工作コンクールを開催するなど、子どもたちに木を身近に感じてもらい、地元の山を守る仲間づくりに励んでいます。

 「フローリングは暮らしの中で人の体が長く触れる場所です。足裏から飛騨高山の自然をぜひ感じていただきたいです。当方が広葉樹の板材のプロとしてご相談に乗りますので、お気軽にお問い合わせください」

(取材年月:2025年6月)

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森本賢吉

飛騨高山を中心に国産広葉樹の板材を製造販売するプロ

森本賢吉プロ

製材業

株式会社カネモク

飛騨高山で創業し72年。広葉樹を自社で製材、乾燥加工し、家具用材として長年おろしてきたノウハウを生かしてフローリング材を製造。広葉樹ならではの豊富な樹種から、使う場所や好みに応じ提案します。

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