PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

障がい者も働けるゲーム制作会社。「隠れた才能に出合うのが楽しみ」

障がい者とチームを組んでゲーム制作に臨むプロ

大隈幹夫

大隈幹夫 おおくまみきお
大隈幹夫 おおくまみきお

#chapter1

キャラクターの表情や背景の制作、作曲や操作性チェックなど習熟度に合わせて提案

 家庭用ゲーム機のソフトやスマートフォンアプリを企画から開発まで手掛ける「ユニコーンジャパン」。特に登場キャラクターのアニメーション制作を得意とし、専用ツールを使って生き生きとした動作や表情を吹き込んでいます。

 「就労継続支援B型事業所の『スザキラボ』を併設しているため、障がいや病気で一般企業への就職が困難な方も働けるのが最大の特長です。業界歴約30年の私や現役クリエイターがサポートするのでスキルアップも望めるでしょう」と、代表の大隈幹夫さん。

 作業は週1日、2時間程度から相談に乗り、通院や体調の変化への理解も深く、継続的に就労しやすいとか。高度な技術や知識を身に付けた人には、他のゲーム開発会社などへの就職も案内しています。

 「利用者さんには、まだタイトルは明かせないものの人気ゲーム機の新作ソフトに携わってもらう予定です。ご自身の名前がスタッフロールに載るので大きな達成感を味わえるでしょう」

 具体的な作業は各自の経験や習熟度に応じ、アニメーション制作の他、画像の加工やチェック、背景の作画、システムテスト、BGMの作曲など。ゲームを進める上で重要なメニュー画面の操作性を提案する機会もあるとのことです。

 「私の知る限りでも、メロディーを一度聞いただけで再現してしまう方や、オリジナルの絵を新しい解釈で描きかえる方など、心身のハンディキャップを受け入れて素晴らしい才能を発揮する方がいます。多様な可能性を秘めた方々と出会えたらうれしいです」

#chapter2

フライトゲームなどヒット作を手掛け、人付き合いを大切にした営業活動で案件化

 大隈さんは大学時代、音楽サークルに所属。メンバーの欠員や交代などで楽器のパートが不足すると、パソコンやシンセサイザーを駆使して近しいメロディーを再現していました。

 「当時では珍しい、生演奏とPC音源を組み合わせたバンドを結成していました。音楽活動の合間に遊んでいたパソコンゲームに将来性を感じ、卒業後は兄が経営するソフト制作会社に就職し、この時代が私のルーツになっています」

 入社後は自ら業務を開拓して取締役まで昇進。1996年に第1作が発売された実在の戦闘機を操縦するフライトシューティングゲームでは、顧客に企画を持ち込んで自らプロデュースしました。

 「最終作は2003年発売のパート5まであり、私はシリーズの1作目と2作目に携わりました。特に1作目はなかなかのヒットでしたね。あとは1999年に出されたファンタジーシミュレーションRPG(ロールプレイングゲーム)も担当し、人気を集めましたね。魔物から妖精の国を守るという王道のストーリーが広く受け入れられました」

 その後はインターネットの発達と共にオンラインゲームを10本ほど担当。企画を考えて顧客に提案し、受注に結び付ける営業活動を今も続けています。

 「お客さまと関係を築くには互いに心を開くことが大切です。最近はコロナ禍で機会が減りましたが、会食を開いてゲームへの熱い思いを語り合うなど、私の根底には“古き良き昭和の営業マン”の血が流れています。今後も人付き合いを大切にする社風でありたいですね」

 また、IT関連サービス業務を行う企業「エンタオール」も立ち上げ、パソコンなどの導入時に実施するセットアップ作業(キッティング)から監視保守まで、IT関連サービスも手掛けています。

#chapter3

パソコン修理などの軽作業も可能。将来は健常者のリスキリングにも貢献したい

 「スザキラボ」では、クリエイティブな業務に自分のペースで取り組めるのが魅力。企業などから回収したパソコンを修理したり、新たにソフトをインストールしたりといった案件もあり、軽度な作業を望む人や、年齢を重ねた人の就労も受け入れています。

 「割れた画面や外れたキートップを直し、再び使えるようにしていただきます。世の中にはいくつも障がい者の就労先がありますが、その多くは資料のコピーといった雑用がメインと聞きます。しかしふたを開けると、パソコンを扱う仕事へのニーズが高いようです。やりたいことを諦めず、ここで自分らしい働き方を見つけてほしいですね」

 発注側の顧客にしても、障がい者に就労機会を提供することは社会貢献になり、企業のイメージアップにつながるとも。また、未知のスキルや才能を持った人材の発掘にもつながると言います。

 「近い将来、一般の方に向けて、技能を習得するリスキリングも用意したいと思っています。社内には画像や映像の編集、ホームページ制作などのカリキュラムが備わっているので、ソフトの使い方をはじめコンテンツを作って発信していくつもりです。外部講師を迎え、セミナー動画なども配信予定です」

 大隈さんは、それぞれの特性や意欲を引き出し、本人が望む場で活躍できるよう後押ししていきたいと話します。

 「定期的な出社は求めたいですが、リモートワークも活用して適切な働き方を探しましょう。見学も歓迎なので気軽にお問い合わせください」

(取材年月:2024年1月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

大隈幹夫

障がい者とチームを組んでゲーム制作に臨むプロ

大隈幹夫プロ

ゲームクリエイター

有限会社ユニコーンジャパン

経歴30年のクリエイターが運営するゲーム制作会社。就労継続支援B型事業所として、病気や障がいで通常の就職が困難な人にも働く機会を提供している。作業の内容や頻度も相談でき、通院や体調ケアにも理解を示す。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ福岡に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または九州朝日放送が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO